ドキュメント翻訳の難しさ

こんなツイートを拝見しまして。

たしかに現在の Obsidian 日本語ヘルプ は英語版と比較すると不足している部分も多いので、新たな翻訳が実現するのであれば応援したいところ。

ちなみにアプリ本体の日本語化は専用のリポジトリが用意されていて、やろうと思えば誰でも参加できます。(冒頭で取り上げたhann-soloさんも、アプリ日本語化の初期に携わられていたそうです)

ただドキュメントの翻訳となると、「ぜひやりましょう!」とか「お願いします!」とは軽々しく言えません。僕がもし知り合いでもない人からこんなことを言われたとしたら「じゃ金を払え」となるでしょう。
ドキュメントの翻訳は、アプリ本体とはケタ違いの苦労を伴うからです。

翻訳というクリエイティブな作業

はっきり言って「割に合わん」のですよ。たとえばこの英文を読むとしましょう。

While Obsidian is great for taking notes, the true power of Obsidian lies in being able to link your notes together. By understanding how one piece of information relates to another, you can improve your ability to remember them and to form deeper insights. In this guide, you'll learn how to create and navigate links in Obsidian.

https://help.obsidian.md/Getting+started/Link+notes

本当に何の加工もせず、読んだままを日本語で表記するとこんな感じになります。

Obsidianは優れているけれど - ノートテイキングに - 、Obsidianの真のパワーはこれに起因する - ノートをリンクできること (互いに)。
理解することによって - どのようにある1つのピース (情報の) が関連するか (互いに) 、あなたは向上できる - 能力を (記憶したり、より深い洞察を形成する)
このガイドであなたは学ぶ - リンクの作成と閲覧の方法を。

多少なりとも英文を読むのに慣れている方であれば前から後ろに、できるだけ日本語に訳さず読むのではないでしょうか。
逐一訳すというのはかなりエネルギーを消耗する行為だし、無駄に時間がかかるから。

ただ他人に読んでもらうことを前提として自然な日本語に訳すとなると、そんなことも言ってられない。
だいたいこれくらいは「組み立て直す」必要が出てくるかもしれません。

Obsidianは優れたノートテイキングツールですが、真の力はリンクにあります。
ある情報を記憶したり、より深い考察を行うためには、そのノートがどのように他のノートとつながるかを知る必要があるでしょう。
このページでは、リンクの作成といくつかの閲覧方法をご紹介します。

翻訳作業の難しさ。その大部分を占めるのは英語ではなく、むしろ日本語にあるんです。

機械翻訳はどうか?

そこで機械翻訳という話が出てくるというのは自然な流れ。当のhann-soloさんもこのように付け加えられています。

全く同感ですね。マニュアルのような文章なら機械翻訳でもある程度使えるだろうし。
ただ「それならむしろ、何もしなくてもいいんじゃない?」という意見も出てくるかと思います。

DeepLもChatGPTも気軽に使える現在。原文さえあれば、ユーザー個人個人が部分的に機械翻訳するのは簡単です。そしてその方法さえわかってしまえば、公式フォーラムやDiscordの文章にも同じ方法を使ってアクセスできるでしょう。

一方でリンク構造を移植して機械翻訳を通すとしても、このような課題は残ります。

  • メニューの表記などは日本語化した状態を基準とするのか

    • だとすると、その部分に関しては人間のチェックが必要になる

  • 公開後のメンテナンスはどの程度行うのか

  • 信頼性を重視してごく少数の人間で進めるのか、それともアプリ本体のように広く有志を募るのか

マンパワーか機械翻訳か、それともユーザー個人に任せるか。
どういった方向に進むのかはわかりませんが、Obsidian 日本語ヘルプ更新プロジェクト、いずれにせよ注目しておきたいところです。


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