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それ、本当に殴るの?


1.はじめに
 

 こんにちは、pottarと申します。体調を崩したこともあって、今回急遽思い立ち、自分が普段ビートを握っている時にどんなことを考えているのか、簡単にではありますが、思考の裏側、主にリスクリターンの部分をメモの意味も込みで残そうと思います。全文無料ですので、最後までお楽しみ下さい。(気が向いたら投げ銭してね)

・筆者の主な実績
 最高レート1772 1700×11
    10期連続1700到達継続中
 1730↑・・・6回 1750↑・・・4回

2.刻むリスクとリターン

 このターン殴るのか、それとも溜めるのか。ビート使いはこの葛藤に苛まれる毎日です。この項では、採れたてのリプレイを参考に、その判断を普段どのように行なっているかを見ていきます。(今のNDにその判断をするデッキがほとんどないからわざわざ白単使ってリプレイ取りに行ったのは内緒🤫)

次のターン、決死のダイビングしそうな手札だね

 白単ミラー、先攻3ターン目です。マナに特に大型がいるわけでもないので、次のターンにはアガピで突っ込むことがほぼ確定している状況です。ここでエバーローズなんかが捲れてくれれば楽なのですが、現実そう上手くいかないことの方が多いでしょう。皆さんならこの場面、どうしますか? 

いっけ〜い(迫真) 

 私は、1点行くことにしました。ほんま!?と思う人も多いと思います。そんな人のために、リスクとリターンを整理していきましょう。

 まずは状況の整理から。相手の2ターン目はソルハバキ。つまり、オリオティスが相手の手札に無いだろう、ということは容易に推測できます。その上で、返しの相手のターンに想定され得る最も強い動きはコッコルア出しエンドであることまで頭に入れておきましょう。

 殴らなかった場合の盤面を想像してみましょう。コッコルアorオリオティス展開以外なら問題なし、今のところオリオティスは手札にないのでこれらを考慮しないものとして、コッコルア展開を詳しく考えます。トップサザンを引かない限り、次のターンはアガピを出してアガピから殴ることになります(アクロアイトから殴らないのは、スパークを踏んでアガピ効果が不発に終わる事象があまりにもリスクとして大きすぎるため)。すると、相手の盾が3枚の状態でゲームが進行していくことになります。これは現状見えているカードでは削り切るのにかなりのターンがかかることが予想され、相手の展開次第で十分に負ける可能性を秘めています。

 では殴った場合はどうでしょうか。先程とは違って盾は2枚になり、アガピのタップ効果と打点形成能力を加味すると、5〜6ターン目には盾を詰めきれている可能性のある枚数になりました。これは、ここで1点行くのに値するリターンであると言えるでしょう。

 ここで考えるべきことは、ここの1点で負うことになるリスクよりもこのリターンが勝っているかどうかです。この場面で踏んではいけないカードはオリオティスとスパークの計6〜8枚です(バロンアルデはオリオティス効果で山札の下に送られるため、先攻の場合むしろこのタイミングで踏むのがベスト)。このうち2〜4枚のスパークは、アガピで殴った時に踏んだ場合でも有効である可能性が高いため、どのタイミングで踏んでもダメ、いわゆる「切る」カードだということができます。つまり、この場面で殴ることが現実的に裏目になりうるカードはオリオティスの4枚だけとなり、4枚のカードを1点で踏むリスクよりも、ここで1点通すことのリターンは大きい、と考えることができます。

 つまり、リターンがリスクに見合っているため、ここは1点刻んでも良い、という判断ができます。
 では、この後の盤面を見てみますか。

あっ(察し)

 引くんかーい!コッコルアも出てこんし、何が何だか分からないですね。じゃあ、この1点は行かなくても良かった、となるのでしょうか?

1点行ってて良かった〜

 少し場面を進めると、こんな感じになりました。この場面で1→1→2の順番で盾を詰めることに裏目が一切ないことは、デュエプレをやりこんでいる皆さんなら理解してもらえるでしょう。しかし、ここで盾が5枚残っていたら、1枚残ってしまうため、このターンに詰めるかどうか考慮の余地が生まれてしまいます。当初の意図からはそれましたが、3ターン目の1点が、勝ち盤面をより太く勝ちに近づけているのが分かりますね。今回はそこそこのリターンにかなりリスクが小さかったケースでした。

吸い込むでは帰りません!

 次の試合を見てみましょう。殴れるのはエバーローズだけ。相手は前のターンに吸い込むを打って鬼スナイパーを回収しています。そもそもここで殴ることを考える人はほとんどいないだろうという想定の元話していますが、この場面は本当に殴らなくていいのでしょうか。

ちなみにマナはこんな感じ

 例の如く、殴らなかった場合のことを考えます。殴らなかった場合、基本的には次のターンには鬼スナが飛んできてシュライバーなど小型が1体破壊されることが予想されます。エバーラストに龍解しているので、7打点残っている状態でターンが返ってくることになりますね。その状態で盾を詰めたらどうなるでしょうか。3点から殴った場合、盾から大地を踏むとマナからヴィル→エバーラスト破壊でリーサルが止まってしまいます。1→1→3で殴る場合でも、最初の2点条件ですね。1→3→1なら最初の1点大地、もしくは4点大地+ラス盾トリガー条件です。この裏目をどれだけ重く見るか、そしてこの1点のリスクがどれだけ大きいのか、がここのプレイ方針を左右するでしょう。

 では、ここで殴る時のリスクを考えましょう。主なリスクは、ブーストトリガー→3枚目のヴィルヘルムor大地トリガー→サイクリカ大地ヴィルヘルムです(吸い込むは踏んでも龍解でき、拾われて裏目になるカードが存在しないためここでは裏目としない)。しかし、1点大地の場合は殴らなかった場合も完全に裏目であり、サイクリカが手札にない場合はこのタイミングでむしろ踏み得であるため、これも完全に裏目と言い切ることはできません。よってここは、ブーストトリガー→3枚目のヴィルヘルムのみを裏目として考えます。

 基本的に今の4cのリストに入っているブーストトリガーはライフ4枚とシャワー4枚の計8枚、声援が増えても1〜2枚程度と考えると全体で8〜10枚入っていると想定できます。マナにシャワーが1枚、墓地にライフが1枚見えているので、残りは6〜8枚ですね。今回の対面の場合、マナに青銅とジャスミンが見えているため、声援を積んでいる可能性は限りなく低いです。よってここでは残り6枚として考えます。
これを1点で踏む確率なので、大体15〜20%くらいに収まります。相手の手札にヴィルヘルムがあると仮定するなら、これが全体的な裏目の確率になります。しかし、相手は本当に3枚目のヴィルヘルムを持っているのでしょうか?
 
 ここで大事になってくるのが相手の残り1枚の手札を何と読むかです。前のターンに吸い込むを打ってエンドしていることから、リュウセイホールやブーストの類ではないことが分かります。7マナ以上である可能性はかなり高いので、大地やサイクリカ、ヴィルヘルムの3枚目、吸い込む2枚目などが主な候補に上がります。ここで相手が吸い込むで鬼スナイパーを回収したことに着目します。ヒットしていない場合を別として、この場面ではリュウセイホールがあればリュウセイホール、次点でヴィルヘルムなどを回収したいと考えるはずです。リュウセイホールなんかは今のところ0見えなので、真っ先に飛びつくと思います(ここは筆者がビマナのプレイングに疎いので言い切ることはできませんが…)。しかしこの場面で敢えて鬼スナイパーを回収したということは、それとシナジーのある、もしくは綺麗に繋がるカードを持っていると考える方が自然でしょう。そこで候補カードの中から最も綺麗に繋がるカードを考えると、大地キープで種を拾ったのではないか、という仮説が成り立ちます。逆にヴィルヘルムやサイクリカはリュウセイホールの方がシナジーがあり、この場面でも優秀であることから、持っている可能性が大地と比べて少しばかり下がります。吸い込むはどちらにせよシナジーが薄い盤面なので、最も確率は低いでしょう。となると、手札キープの可能性は見えている枚数まで考慮すると、吸い込む<ヴィルヘルム<サイクリカ<大地の順で高くなります。これだとヴィルヘルムキープの可能性は上から3番目なので、違う可能性もそこそこあるだろうと考えられます。

 ここまで見ると、リスクに見えるブースト→ヴィルヘルムはそこまで起こり得ない事象であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。よって、殴り順ではケアできないリスクを先に追うことで無理やりケアするという意味で、ここのエバーローズの1点はリスクを追う価値がある、と捉えることもできるわけです。

 今回は普通だったら殴らないような場面で、本当に殴らなくていいのかを考えてみましたが、実はこういった場面はランクマを回す上で知らず知らずのうちに遭遇しています。逆に言えば殴った方がいいと思っている場面でも、殴らない方がいいこともあります。毎試合これをやれというのは無理がありますが、何がリスクで何がリターンなのか、それがどのくらいの頻度で起こり得るのかを常日頃から考えることが、ビートを強く使う上では大事になってくるのかなと、個人的には思っております。

3.ケア範囲を広げる殴り順

 

いいリプレイないから使い回すね

 この項では、殴り順をどう考えれば勝ちを最大化できるのか考えていきます。いいリプレイが無かったので、先ほどの2戦目を使い回します。

 この場面で先ほどは殴った場合を考えましたが、殴らなかった場合、7打点をどのような順で殴るかによって通る確率は変わります。上でも説明しましたが簡単に条件を整理すると、3→1→1なら最初の3枚大地条件、1→1→3なら最初の2枚大地条件、1→3→1なら最初の1枚大地、もしくは4枚大地からのラス盾トリガー条件となります。3→1→1は1→1→3に明らかに劣るので考慮しないものとして、1→1→3と1→3→1の検討になります。ここの詳しい確率計算はできないので、どちらが具体的に分のいい勝負をしているのかは分かりませんが、どちらの方がリカバリーが効きやすいか、という観点では評価をすることができます。

 まずは1→1→3からですが、最初の2点で大地を踏んでエバーラストが破壊された場合、殴れるクリーチャーが2体、盾が3枚残ってターンを返すことになります。これでは、返しのターンに何をされてもトップ解決の目が薄く、リカバリーが現実的でないと言えます。

 1→3→1ならどうでしょうか。最初の1点で踏んだ場合はどちらにせよリカバリーは不可能ですが、4点で大地を踏み、ラス盾でトリガーを踏んだ場合には話が変わります。この場合、盤面には殴れるクリーチャーが1体と起きているブロッカーと寝ているブロッカーが1体ずつ、相手の盾は0枚です。これだと、相手の動きが緩かった場合にトップアガピトスなどで捲れる可能性を残せています。リーサルが止まることを想定するなら、これはかなり大きいと思います。

 実際にどちらの方がより優れたプレイなのかは分かりませんし、この場面に直面してすぐに結論が出せるものではないと思いますが、殴り順が明確に勝ち負けに影響を与えているという感覚は分かってもらえたのではないでしょうか。

4.終わりに

 今回は短めではありますが、ビートが好きな1プレイヤーとして、思考の一部をまとめさせていただきました。気まぐれに書いたので全てを書ききれたわけではないこと、ご了承下さい。もし好評でしたら、今度はシーズンを通してリプレイを集めて、解説集みたいなのを作ってもいいかも、と思っています。正直今環境でビートを握るのは酷な選択になると思いますが、一緒に頑張りましょう!最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

このnoteが、皆さんの強くなる第一歩になれますように。

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