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マッチでパチンコホールMAPを作ろう ③愛知県・日乃出(名古屋市北区)

こんにちは。偏愛パチンコライターの栄華です。

今回も「マッチ箱」を使ってパチンコホールMAPを作ってゆきますよ。

<マッチでパチンコホールMAPを作ろう>
昭和時代のパチンコ店の広告マッチを蒐集している栄華が、ラベルに記された情報からお店の所在地(できればマッチの作られた時期も)を特定し、「昔のパチンコ屋さんマップ」を作成する!

第3回目は名古屋市北区大曽根の「日乃出」です。

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先月は名古屋市北区の「パチンコ正村」というホールがあった場所を突き止めました。

今回の「日乃出」はどうやら「パチンコ正村」から徒歩圏内。マッチラベルに記された「大曽根日劇隣」は大きなヒントになりそうですね。

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それに加えて今回は、なんと住所がわかってるんです。私が閲覧可能な『全国遊技場名鑑』の中で最も古い1969(昭和44)年版に「日乃出」が載っておりました。お題のマッチラベルは昭和30年代のものと思われますが、昭和44年にまだ営業していたのです。

「パチンコ日乃出 北区東大曽根町上2-900」

なーんだ、住所分かってんなら簡単じゃん!

ね、そう思いますよね。ではGoogleMAPで「東大曽根町上2-900」と検索してみてください。きっちり該当する場所が見つかりません。

「住居表示」が実施されたためですね。

住居表示とは、住所をわかりやすく表示するため、1962(昭和37)年に作られた制度のこと。明治以降、住所の表示は「地番」で行われていましたが、同じ地番の家がたくさんできてしまったり、欠番ができたり、並び順に規則性がなくなる等の問題点のある地域が出てきました。それを市町村が住居表示を行うことで解消するのです(区画整理事業と同時に行われることが多い)。

地番から現在の住所がだいたい分かるパターンもありますが、今回はどうも想像力だけでは解決できない感じです。

ということで、図書館にやってきました。

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図書館へ行くと、地元の古い住宅地図を閲覧・複写することができます(複写は制限あり)。鶴舞中央図書館には、1955(昭和30)年からの名古屋市北区の住宅地図がありました。

古い順にじっくり閲覧しようと思ったら、コロナ対策で長時間の滞在を控えるよう呼びかけられたので、とりあえずのカンで1955年、57年、59年、1970年と、4年分の住宅地図を資料室から出して頂きました。

●1955(昭和30)年版
→大曽根日劇あり、日乃出なし
●1957(昭和32)年版
→大曽根日劇あり、日乃出なし
●1959(昭和34)年版
→大曽根日劇あり、その西隣にパチンコ日乃出あり
●1970(昭和70)年版
→大曽根日劇あり、その西隣にパチンコ日乃出あり

やりました!

大曽根日劇と日乃出、どちらの場所もしっかり分かった上に、日乃出がオープンした時期まで判明。昭和33年前後ですね。

肝心の場所はこちら。現在の地図上に示すとこうなります。

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国道19号線沿い。現在は大きなビルが立ち並んでいます。

ということで解決~。
めでたしめでたし~。

…と、これでシメるつもりでおりました。でもあとちょっとだけ書かせてください。「大曽根日劇」について調べていて、面白い資料を見つけたんです。

「大曽根日劇」は、その昔「日の出館」という名前だったそうなのです。

ソースは中日新聞社の関連企業だった名古屋タイムズ社が発行していた地元紙『名古屋タイムズ』1956年2月23日号です。記事を引用します。

<引用>
昭和六年に建った「日の出館」は戦災で消失。すぐ再建したがまた火を出して焼けた。「ヒノデ」が悪かろうというわけで、二十四年再々建したとき一般公募で大曽根日劇と改めた。もう大丈夫と支配人はいっている。

「名古屋の窓口 大曽根日劇」 名古屋タイムズ 1956年2月23日号

火事が続いたので「ヒノデ」を避けた、とは面白いですね。そして「日劇」という名称はおそらく「日の出」から1文字残したものだったんですね。

●映画館「日の出館」
●パチンコ店「日乃出」

この名前の重なりは偶然でしょうか。

昭和40時代頃まで、「日の出(日ノ出、日之出)」という名称の商店が業種問わず多かったのは確かです。

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パチンコ店にもゴロゴロありました

ただ、パチンコホールの昔の店名を見ていると、「東映」「東宝」「〇〇大劇」といったものがちらほら見られます。映画館の近くにあったパチンコ店は、レジャー施設が集中する歓楽街の中で場所がわかりやすいよう、映画館の名前を店名に入れていたのではないでしょうか(あるいは同じレジャービル内にあったとか)。

パチンコ日乃出がオープンした時、日の出館はすでに「大曽根日劇」に改称済みでした。しかし、もしかすると地元ではまだ「日の出館」と旧名で呼ぶ人が多かったのかも……なんて想像してしまいました。


<MAP>

『全国遊技場名鑑』を1969年から年ごとにたどってみたところ、日乃出のデータは1973年版を最後に消えました。営業期間は15年ほどだったということになります。


~次回のマッチラベル~

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次回は、名古屋市西区にあった「共楽」です。「西区藤の宮通り3」とザックリ所在地が書かれてます。これは名鉄栄生駅の近くです。

「共楽」という店名に覚えがなくても、栄生駅周辺の古いホールについて何かご記憶やエピソードをお持ちの方は、

栄華Twitter:@henaieika 宛にDMか、

tengo2.5.777@gmail.comにe-mailをお寄せください。

どうぞお気軽に!
お待ちしております。


※この記事は2021年5月に発表されたものです。掲載サイトの移行に伴い加筆修正しました(2021.11)

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パチンコ店の「建物」に偏愛を捧げるフリーライター。全国47都道府県、2500店舗以上のホールを訪問。「八画文化会館 vol.7 I ♡ Pachinko Hall ~パチンコホールが大好き!~」監修。主な執筆媒体は「パチンコ必勝ガイド」。CS放送パチテレ!に出演多数。偏愛パチンコバンド「テンゴ」のボーカリストとしても活動。

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