カジノディーラーの日常 錦編2 第16話


JPの数字は6万ドルに届きそうな雰囲気である
この日も大盛況だ

盛り上がるハウスには
当然ガジリもやってくる
ガジリがJPにbetすることは無いがこの日は出だしから違っていた

歳は70ぐらいのおばあちゃんガジリ
いつもミニマムbetで遊んで抽選会が終われば帰るセオリーガジリがJPにbetする
多分他のカジノで調子が良かったんだろう
かなり上機嫌だ
5ゲームに1回のペースでJPにbetしてきた
当たる訳なくJPにプールされていく
サブから次回ディラーは俺と告げられる

いつものルーティーンで準備をして
ゲームが始まっていく
おばあちゃんガジリは相変わらずたまにJPにbetする
このシューターが終われば抽選会
終われば帰るだろうなと思っていた
半分を過ぎたところだろうか
プレイヤーのフェイスに7が出る
おばあちゃんガジリはJPにbet していた

JP betでフェイスに7が出たのは
初のおばあちゃんガジリは
少し大きめの声が出ていた
その声で黒服達の視線がテーブルに集まる
場面はオールプレイヤー
バンカーのフェイスはピクチャー(0)
ここまではよくある光景でここからが難しいが十分過ぎるほどの緊張感と期待感がお客は
味わえる
普段はbetが1番大きいお客がカードを絞るがJPチャンスのミニマムbetのおばさんガジリにカードが委ねられた
バンカーはディラーオープン
ここで6が出ないと終了である
オープンの声がかかる

バンカーオープン
バンカー6

出たーと騒ぐがまだ半分である
絞りなれてない手でカードを絞るおばあちゃんガジリから出てきたカードは7

かなり大きな声で騒ぎ興奮する
視線だけ送っていた黒服達もテーブル付近に寄ってくる、違うテーブルのお客や食事をしているお客の視線が一気にテーブルに集まり
ざわつく
ここまできたのは初めてだった
あと2枚で6万ドルは齢70のおばさんに渡る

ワンモアプレイヤーでカードを配る
鼻息が荒くなり興奮している
絞りなれてない手でカードを絞る
おばあちゃんガジリ
「どうだ」
との声と一緒に出てきたカードは7
スリーセブンの完成だ
おーと歓声が聞こえさらにざわつく

ワンモアバンカー
バンカーはディラーオープン
4が出たらバンカーの合計は0
スリーセブン(合計1)のプレイヤーの勝ちだ
ざわついていたハウスの雰囲気は静まり返っていた
バンカーオープン
もう何万回とカードをめくっているのに
手が震えた

出たカードは4

JP解除である

5年ディラーをやっていたけど
覚えてるゲームは数ゲームもない
もう20年も昔の出来事だけどこの1ゲームは
鮮明に覚えいる
生い先短いおばあちゃんに6万ドル
どうせなら若い兄ちゃんが当たって人生の
角度を変えたかった

そこからしばらく俺のあだ名は
ジャックポットだった


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