ポッドキャストが変える音楽との付き合い方
本記事は、2005年10月23日に書いた記事の転載です。
コンピューター雑誌などでは、よく取り上げられるようになったポッドキャストだが、一般的な知名度はまだまだ低い。数%程度じゃないだろうか。僕の周りでは2〜3%程度じゃないかと思っている。
「ポッドキャスト」という言葉を始めて聞く人に説明するときに、パソコンで音楽を聴いているかを聞いてみるが、そんな人もほとんどいないことが分かる。
さて、どう説明したら分かりやすいだろうか。
ポッドキャストとは?
iPod(アイポッド)という携帯音楽プレーヤーは知っているでしょうか?
ポッドキャストという言葉を聞いたことがない人でも、iPodというものは聞いたことがあるんじゃないでしょうか。携帯音楽プレーヤーに「大容量」という市場を作り出した画期的な製品です。
一昔前のパソコンよりも大きな容量。それをポケットサイズにしてしまったiPod。すべてに音楽を詰め込んでも全部を聴くにはかなりの時間がかかってしまいます。そこで、音楽を聴く以外にもいろんな使い方をされています。
アドレス帳やカレンダー、テキストメモを転送したり、写真を転送したり。音声コンテンツも音楽以外に落語や英会話の教材など。なかにはラジオ放送までも。さらには動画対応したiPodに向けてテレビ放送までも。
とはいえ、iPodには電波の受信アンテナはついていません。
放送側が1つの番組を1ファイルにしてウェブ上に公開。充電する際にパソコンに接続したiPodに専用ソフトで自動的に番組を収集・転送してしまい、あたかもiPodに直接、番組が届いてくるようにしてしまった仕組み、それがポッドキャストです。
iPodに向けた放送ということで、「iPod + 放送(Broadcast) 」からポッドキャスト(Podcast)という言葉が作られたわけですが、iPod以外のデジタル音楽プレーヤーやパソコンで直接聴くことも出来るので、幅広い聴き方が出来ます。
いままでの放送との違いは?
いままでも携帯用ラジオやラジオを受信できるMP3プレーヤー、携帯電話などもありました。ポッドキャストは何が違うんでしょうか?
リスナーと放送側とのメリット・デメリットを挙げてみます。
リスナーのメリット・デメリット
メリット
ダウンロードして、いつでもどこでも何回でも聴ける
早送り・巻き戻しができる
電波が届かない場所でも聴ける
時間に関係なく好きな番組だけ聴ける
いままでのラジオにはない手作りな番組や変わった番組もある
デメリット
リアルタイムじゃない
パソコンに繋がないと番組が更新されない
ちゃんとした番組表はないので探さなきゃいけない
番組の質もバラバラ、更新も保証されない
メジャーな音楽が聴けることは稀
配信側のメリット・デメリット
メリット
放送免許がなくても配信できる
設備コストが恐ろしく安い
自分のペースで更新できる
規則はないので自由な番組作りができる
デメリット
リアルタイムじゃない
個人で一人でやるにはちょっと手間が大変
新しい分野なのでノウハウが少ない
メジャーな音楽が流せない
このように、メリット・デメリットはいろいろとあるんで、番組としてはいままでのラジオ放送なんかに似ていても、まったくの別の特質を持った媒体だと思ったほうが良いかもしれません。ただ、ラジオ放送なんかのノウハウを持っていれば活かすことはできると思います。
ただ、音楽を流す上での最大の違いがあります。
ラジオやテレビなどの放送では、(有料ですが)自由に曲を流す権利があります。しかし、ポッドキャストにはお金を用意しても曲を自由に流すことは困難です。無料で流そうと思ったらなおさらです。著作者から了承を得れば良いのですが、その手続きなどは大変です。
そこで、ポッドキャストでは既存の企業や組織とは別に、アーティストとポッドキャスター、リスナーで新しい音楽との付き合い方、楽しみ方が動きつつあり、ポッドキャストというiPodの利用の仕方のアイデアが音楽との付き合い方まで変えようとしています。
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