見出し画像

POSSE座談会

2020年3月13日 都内某所

iOS の画像 (1)

参加者:
kumagusu
井上Y Vo,Gt (以下 Y)
山崎熊蔵 Gt(以下 山)
佐藤モジャ Ba(以下 モ)
鈴木UFO Dr (以下 U)


藤原忠 (以下 忠) シンガーソングライター、元新宿NINE SPICES勤務
片岡フグリ(以下 フ) 歌手、ELEPHANT NOIZ KASHIMASHI(現 ELEPH/ANT)
カシマ(以下 カ) SPOILMAN(exロクトシチ)
白岩義行(以下 白)   映像作家(POSSE周辺のバンドの映像を多く手掛ける)

俺たちの「舞台」を

フ「なんで(POSSEを)やろうと思ったの、最初は?」 
Y「若いバンドとかが大勢出るサーキットイベントみたいなやつが、下北とかでは割と開催されてるイメージあるんだけど、自分達とか、新宿モーションとか新宿ナインスパイスに出ている特に仲の良いバンドとかって、そういう舞台があんまり無いなって思ってて。それでkumagusuで東京BOREDOMに出る機会があった後に、間口を広げる的な意味でも人がいっぱい来るこういうイベントを、自分たちなりにやりたいなって思ったのね」 
U「それっていつ頃思ったんだっけ?」
Y「POSSEの一回目が2018年。だからその前年の2017年に思って。 最初はノイカシ(ELEPHANT NOIZ KASHIMASHI)と共同でやる、っていうか出るバンド全部で箱代を出してやろうっていう話で持ち掛けたんだけど、ノイカシがENDONとかを誘 った企画 (『KISS』 2018年五月十三日 渋谷o-nest )が近くにあって、箱代を払うのが難しいってなって。ポシャリかなって思ってたんだけど、忠がナイスパを使ってフリーでやろうよって話をしてくれて」
忠「フリーは俺が言ったんじゃない(笑)」
Y「フリーライブは一番初めから決めてて。出るバンドが箱代を負担して、フリーでやろうって」
U「最初は高円寺のDOMスタジオとかで考えてたんだっけ?」 

Y「いや、普通に俺は最初からナイスパの予定だった。忠を通して安く貸してもらって、それを 「みんなで箱代出しますよ」ってバンドで集まってやろうと思ってた んだけど、 ノイカシがダメってなった後に、忠がそれでも「大丈夫」って言いだしたから(笑)」
U「なんで大丈夫って言ったの?」
忠「えーっと、2ドリンクで\1,000だから、120人来たら\120,000で、多分ドリ ンクの追加の売り上げ\50,000とかになるからそれで\170,000。 そんくらい行けば、凄いってなるっしょっていう。売り上げの最初の目標は特に高くなかったね」

画像1

フ「10組しか出なかったんだね、最初は」
Y「そうだね、割とコンパクトかも」
Y「この時はフグリ君と加島さん(当時ロクトシチ)は共同主催ではなかったから」
フ「そうだね、俺はこの時はあまり絡んでなかったね」
Y「どうたったかな。基本は、ほぼkumagusuと忠で誘ったんじゃなかった かな」
カ「忠さんとkumagusuで今度こういうのをやるんだ、って。誘われた側からするとそういう認識だった」
忠「でも割とすんなり決まった気がする、面子は」
Y「うん、とんとん拍子で決まった気がする」 

U「第一回って、お客さん何人来たの?」
Y「203人」
忠「そんな来たんだ?(笑)」
Y「すごいね、気持ちがいいね」
山「よくこんなに集まってくれたよね」
Y「ノイカシが1番手だったんだよね。最初から結構お客さんいたもんね」
カ「最初のノイカシの時に、すでに80人いるって聞いたのを、凄い覚えてる」
忠「もともとの目標が「100人いけたらいいね」だったのが倍になった」
フ「始まりとしてはすごい良かったね」
忠「あとは、モーションでもジャストビルフェスがあったから。」
Y「そうだね。あとやらしいところを思い出したんだけど、JAM FESがその前年に終わったんだよ」
忠「あっそうだ、それでなんかやりたくなったんだ」
Y「だから忠に持ち掛けたときの話も、JAM FES無くなって今年は新宿のGWが空くから、そこで何かやろうよって相談したんだよね」
忠「あの時アツかったもんね。モーションでJAMAフェスみたいなのがあって、そっちでkumagusuが出てたり。オルタ ナの人たちはモーション出て、JAMフェスはずっとやってるみたいな」

iOS の画像 (5)

そしてPOSSEが動きだす

U「(まとめると)単純に自分たちの近くっていうか、周りの人らを集めてサーキットイベントで はないけど、なんかやりたいって思ったのがきっかけだったのかな」
フ「逆にkumagusuはそういうのに呼ばれてなかったの?」
Y「全然呼ばれないよね」
フ「なんで呼ばれないんだろう」
Y「なんかカッペって舐められてるんだよ」

 
一同(笑) 


フ「あんまり何かを担ってる感じとかが、見えてなかったんじゃない? kumagusu ってバンドはいるけども「kumagusuはkumagusuで(勝手に)やってるよね」みたいな。」
Y「どうだろうね」
フ「今って結構そういう人たちって多いじゃん、特に東京で見ると。 時代のひとつの先端だ、みたいな感じの人たちが多い中で、kumagusuとか、俺たちもそうだけど、そういうところからは独立してやってる感じ。 意識してるわけではないけれど も、どこかで共有している何かみたいなものは、無いよね」
Y「うん」
フ「そういう意味では余命百年とかはそうではない感じがしてたから、2年目から広がった感じはあったね。ナツノムジナとかもそうだけど。 何か(時代的なもの)を アップデートしようとしている人たちを呼べたのが2年目なのかなっていう気はす る。 1年目はどちらかっていうと、俺ら側の人間を集めた感じがする。股下(89)とかもそうだけどね」
Y「本当に近いところでの旗揚げって感じだったのかな」

はじまりは「フリーライブ」

U「これ、最初っからおひねりを入れてもらうって話にしてたんだっけ」
Y「そう。それはやっぱり、完全チケット代フリーだから、そこの部分はナイスパ側になんとかプラスになる部分を見つけないとっていう」
U「(一回目は)完全フリーだったんだ」
忠「100人くらいじゃ売り上げが足らないから。確かね、この時は箱代っていうか、120人行かなかったらkumagusuが全バンド分の機材費を払うみたいな契約があった。 \20,000とかだけど」
U「大した額ではないな(笑)」 

フ「今思うとね。当時の俺らに二万円はデカかったよ(笑)」
忠「ある程度、納得ができる売り上げの目論見を(ナイスパに)言わなきゃいけないから。 あっそうだ、俺ナイスパに秘密にしてたんだ。チケ代無しっていう事を」 


一同(笑)

 白「いつまで秘密にしてたんですか?」
忠「発表するまで。もう「言ったもん勝ちだ」って。100人は来るだろうっていう」
Y「(ナイスパ店長の)藤村さんが「すげーいいメンツ決まってんなって思ってたんだけど、告知 された後に見たら『チケ代無し』って書いてあって「えっ!?」てなった」って」 


一同(笑)

 U「振舞酒はなんでやったんだっけ、(振舞酒って)言いたかったんだっけ?」 Y「まぁ言葉としても言いたかったし」 

フ「1年目から(振舞酒の)チケット配ってたんだっけ?」

Y「配った配った」
カ「渡された記憶があります」 

忠「なんでそんなことをやったんだろう?」
Y「振舞酒はねぇ、その前にドムスタでスタジオライブをkumagusuでやってて。 その時に、 呼び水的なのでいいアイデアないかなって考えてて、酒を配ってみようかって。(実際に)配ってみたら、思いのほか、みんな笑顔だったから、これいいなってなって」
U「手酌するの楽しいよね」
Y「楽しい楽しい」
U「一升瓶がカッコいいと思ってたんだよね」
Y「それは今も思ってるね(笑)」 

一同(笑)



出演者としてのPOSSE


U「出た側としては、どんな感じだったんですか?ロクトシチ」
カ「第一回に誘われた時は、ロクトシチはほとんど自分たちで企画をやるような立場じゃなかったから「めっちゃおいしいイベントに呼ばれたな」って」
忠「多分ロクトシチは俺が誘ったんじゃなかったかな」
Y「そうだ、俺その時はまだロクトシチのライブを見たことがなかったと思う」
カ「(東高円寺)二万電圧に熊蔵さんが見に来てくれたのが初対面」
山「そうすね。二万電圧に見に行って話しかけて。で、ロクトシチはもうPOSSEに出ることが決まってて「よろしくお願いします」みたいな。その時に加島さんとか、ボーカルの方とかと話したのが初かな」
カ「最初誘われた時ってPOSSEが、今みたいに片岡さんとか俺とかを巻き込んで 毎年続けていくようなイベントっていう認識はなくて、単純に面白そう、と。 しかもそん時にチケットを熊蔵さんが持ってきてて、「入場料無料なんだけど、これを渡したらそのお客さんは酒をもらえる」みたいな(笑)

一同(笑) 

忠「バカだよ」
カ「すごいデカいポスターももう作ってある。で100人呼ばないと本当に死んじゃう、みたいな、「そう、なんすかぁ?」って(笑)」
U「まぁそんな感じでとりあえずやってみたら客が来たっていう」
フ「うまくいったんだね。逆にでも、俺ら(ノイカシ)としては多分そんなモチベーション高くなかったと思う、この時。 (出番終わりで)練習してたからね、スタジオ 入ったから俺ら。最初しか観てないもん」
Y「へー」
フ「最初(一番手)やってすぐスタジオ入って。で、真ん中抜けて、打ち上げも俺は途中で帰ったし。っていう感じだったね。 ゲストとして呼ばれてた。みたいな感じの、そういうノリだった。だから第一回っていうのは俺、正直思い入れっていうのはあんま無いかもしれない」

POSSE首脳、集結

iOS の画像 (9)

Y「そっか。逆にその(モチベーションの低かった)フグリ君、カシマさんとなぜ2回目をこうやって(一緒に)やることになったのか全然覚えてなくて」
カ「それを、俺が知りたいんですよ(笑)」
忠「俺が言った」
Y「そこでもう固まってやろうって話になったんだっけ?何のきっかけだったのかなって思って」
フ「kumagusuと、どうなんだろうね俺、仲良くなったっていうのもあるのかな」
U「神戸(共同ツアー)とか行ったんだっけ」
フ「それも挟んでたと思う」
Y「神戸行ったの、一回目の前じゃない?」
フ「バンドで、というよりも俺個人的には仲良かったんだけどね」
忠「俺的には、ここら辺のアングラが混じってるところで、同年代だったら完全に(kumagusuとノイカシが)ツートップだなっていう感じで見てたので(笑)。 それは自然に話が行くな。っていうのがあって。あとカシマさんは、一人だけ「来年もやりましょう。出たいです」って 言ってて(笑)」
カ「言ってったっけ、そんなこと(笑)」

一同(笑)


忠「すげぇ言ってきてくれたから(笑)」 

カ「多分酔っぱらってた(笑)」 


一同(笑)

拡がる二年目 面子と画廊

フ「っつーことで1年目が過ぎ去り」
Y「2年目か」
フ「これすごく充実してたんじゃないすか、この二回目っていうのは」
白「これは面子を聞いた時すごい驚いた」
Y「2年目って言っても去年なんだよね。なんかもう数年前みたいな気持ちになってるけど(笑)」 

画像2


フ「\400,000くらい売り上げ出たんだよね」
Y「そう。1年目は完全フリーチケットでやって、そもそも出てもらってもバック(ギャラ)が出せないです。っていう前提で出演してもらってたから」
忠「1年目は1バンドに\1,000しかバックを出せなかった」
Y「これを2年目もやるってなった時に、何回も同じ企画をやって、お誘いする時にタダなんですけど、っていうのはあんま良くないから、バックできるのを見込んで考えないとなって思ってチケット代を\1,000にしたんだよ」
Y「で、結果12バンドが出て、ナイスパへの支払いの他、各バンド\10,000ずつ、遠征のバンドには交通費もプラスして返せた」
フ「(第2回の)上がりが\130,000だね。なかなかいい数字じゃないすか」
U「この時はもうこのメンバーで運営してたんだっけ?」
フ「俺もやってたと思う。qujakuは俺が呼んだ気がする」 


U「2回目って何人来たの?」
Y「ちょっと増えたんだよね」
フ「207人。いってもそんなに増えてないよね」
U「4人増えた」
フ「それでこれだけ売上が上がったっていうのはチケット代?」
Y「おひねりもちょっと上がったんじゃないかな。それとドリンクもちょっと上がったのか」
忠「ドリンク売り上げは\100,000くらい出てたよ」
忠「バーカンのスタッフが調子乗って「今日は閉めねぇぜ」みたいな感じで精算が終わってからも一人でやってて(笑)。打ち上げ行こうって言ってるのに全然みんな帰らないし」 


一同(笑)

POSSE展示完成訂正3


モ「まあ、2年目は画廊(POSSE EXHIBITION)よね」
Y「展示大変だったねぇ。楽しかったな」
山「誰の発想?」
Y「俺かな?「(新宿)眼科画廊と併設でやるの面白いんじゃないかな」みたいなのは、多分言った んだよね。フグリ君とかも関わってたからその時には。 忠が調べて、売り上げ的にギリ行けるかもみたいな話を出してきて、じゃあ実際にやろうってなっていった感じかな」
忠「赤字にはなったんだよね、眼科画廊分が。あれはまぁTシャツが思ったより売れなかったっていう(笑)。眼科画廊分はTシャツ(の売上)でなんとかしようっていう目論見だった」
U「ポッセTね」
フ「なるほどね。展示をやったことによってなんか良いことあった?」
Y「拡がりはあったんじゃないかな」
フ「音楽っていうものだけじゃなくて、基本的に初回から一貫しているものとして、自分たちの周りの面白い人たちの場所を作りたいなっていうのがあって。音楽じゃなくても(広義の)「アー ト」っていうものをやっているっていう人はいっぱいいる から。そういう人たちの場所を POSSEと同時に作れたっていうのは、すごく意味 のあることだったなっていう」
カ「外部のアクション的には第3回のPOSSEをやるってなったときにmoreruのあつを君が「(展示は)今年もやるんですか?絵を描いてるから、飾ってほしいです」って言ってくれたのがもう、 そのまま結果として出ているというか」 


Y「できれば毎回やってもいいくらいなんだけど、いかんせんちょっと金の面で、 まぁ予算だよね」
忠「赤字になったけど、かなり奇跡的なタイミングだった。金曜くらいしか多分一日だけ(画廊を)借りられるタイミングは無いんだよね。木曜が眼科画廊の転換の日だから」
白「今ふと思ったんだけど眼科画廊じゃなくても、ライブ会場の壁とかに張っておくっていうのは?」
忠「くっつかないんすよ(笑)」
白「確かに剥がれかかったりしてたけど、前知り合いの人が...。ライブの転換中とかに直してはいたけど」
フ「でも装飾としてやるっていうのは、展示とはまた違うものだと思うんだよね」
Y「確かに展示スペースって照明があったりとか」
フ「そうそう。「アート」としてこだわってやりたい。場所を用意したっていう意 味では、やっぱりリスペクトもあったし、赤にはなったけれども、そういう場所を設けられたっていうのは意味のあったこと」
Y「うん」
フ「俺らも色んなことやりたいっていうのはあったんだよね。単純にそれはデカかったと思うよ。なんかやってみたい、俺ら主催でっていう。結構そういう動機だったんじゃない?」
Y「割と一貫してるんじゃない?最初のPOSSEもさ、やってみたいからやったっていうのは一つあったし。展示にしてもそこの延長というか。なんかやってみたいっ ていうのはずっと続いているよね」



スピンオフ、「POSSE?」の開催


U「まぁこうやって第一回、第二回と味を占め」
忠「やったことに対しての動員を考えると、全然増えてないっていう(笑)」
フ「まぁ確かにね。1年目2年目で被って来てくれたお客さんが面子で選んでるのか、POSSEっていうイベントだから来ているのかっていうのは結構重要な問題のような気がしている」
Y「それがわかるのはそれこそ今年からじゃない?」
フ「そうね。POSSEっていうものがどう思われているのかっていうのを叩きつけられるのが今年なのかなって気はしてる」
U「1月にPOSSE?をやって...。POSSE?は(お客さん)何人くらい?」
フ「70人くらい。目標は80人だったんだよね。それのちょっと少ないくらいだと思う」
U「POSSE?はこのメンバーじゃなくて...」
山「えーっと俺とカシマさんとフグリと忠の4人だけ」
忠「kumagusuは熊蔵だけが参加」
Y「それは理由があって。山ちゃんが最初そういうのをやりたいって言ったんだよね。POSSEには出てないけどやりたい。っていうバンドはいっぱいいるから、そういう人を誘ってやりたいんだよねっていうのを言われて。それを切り出されたのは、去年の春とか初夏くらいのタイミングだと思うんだけど。 俺もう(kumagusuの)セカンドアルバムで超忙しくて、他に何も手が回らないから、それはすごいやりたいんだけど、山ちゃん主体でやってよっていうので、4人で連携取ってって頼んで」
カ「POSSEって200人集めたっていう実績とか実際やるときにお金が結構シビアに関わっている中で、それを度外視して好きな方をを呼びたい、っていう説明を受けました」
フ「なるほどね」 

iOS の画像 (3)


U「すげー楽しかったよね」
山「だからまぁ、もっと言うとライブハウスで色んな人とやってると、音楽はすごいカッコいいけど、あんまり集客力がなかったりとか、マニアックなことをやってたりとか、 宣伝方法が下手だったりとか。そういう理由でなかなかお客さん集められない、名前が広がんないみたいな人たちって、いっぱい居るじゃないすか。そういう人たちいっぱい集めてなんかやったら面白いかなっていうのがひとつあるし、それを POSSEと関連付けたスタジオライブでやって、それで(チケット代)1000円くらいにするならそんなに赤にはならないんじゃないかなっていう。 スタジオライブだったらもう少し安く済むし」
忠「そうだそうだ、最初はもっと気楽に「スタジオでやれるぜ!」っていう自由な感じでいたんだけど...」
山「(阿佐ヶ谷のStudio)Zotとかドムスタとかもっと気軽な感じでやろうと思って いたんだけど、 忠君が西荻フラットでやるって言って。 スタジオライブっていっても、PAをやれる人とか確かにいないなって思って。音にこだわる人もいるしなってなると難しいなっていう話があったから。 西荻フラットだったらPAいるし、リンキィディンク繋がりだしね」 
U「人来た分、狭かったね」

 山「まぁでもスタジオライブの醍醐味っつーか、狭さはしょうがないよね」
フ「POSSEとの位置付けとしてPOSSE?っていうのは、音楽へのリスペクトみたいなのもあったと思う。(POSSEに来てくれる)お客さんっていう部分とはまた別で」

画像3



三年目の停滞 


U「で、今回が3回目。POSSE?を1月に頑張っちゃってちょっとね、後手後手になったというのはあったけどなんか難航したんだよね、面子決めんのにね」
モ「まだ決まり切ってないからね」

山「最初ね、結構みんなが決めていった面子がね。どんどん断られちゃったんだよね」
フ「POSSEっていうものの理由付けが弱かったんじゃないかって気はする」
モ「単純に誘い始めが遅かった、というのもあるけど、断られてしまったバンドに対しては、無理くりにでも、スケジュール調整する気にはさせられなかったわけだよね」

フ「POSSEのブランド力がなかったということかもしれない」
U「このイベントに参加することでやっぱり色は付くよね」
フ「そこ(POSSEの色が付くこと)に対してマイナスに捉えられてしまう可能性もあるわけだよね。 だからこそ、スケジュールをこじ開ける必要はないなって思ったかもしれないわけで」
Y「でもそれは向こうが選んだ/選ばないっていう話の前に、むしろ「そっちにも旨味がありますよね」っていうのを判断、提示できないで誘っちゃった俺たちの問題であって、 断られたこと自体にそんなに悲観的になる話ではないと思う」
フ「単純にビジネスとしてどうかなっていう話」

Y「誘ったときにフェアじゃなかったっていうか、イーブンにならなかったっていう」

選ぶ余裕もなくなるかも

フ「今ってさ、音楽っていうものが責められてるわけじゃんか。 ブランディングの話以前に、例えるなら『服を着る』っていう文化自体が責められている状況ではあるわけじゃん。 その中で「私はこの服を着ます」みたいな選択する余裕がなくなる状態が来る可能性っていうのはある訳で。 そうなったときに俺らが守るべきものは「服は着るもんだよ」っていうのを提示する。 結構その段階の話なんじゃないかなっていう気はする。 でも俺らは服は着る前提として生きてるわけじゃん。でも服を着ること が違うんじゃないか、 みたいな「服なんて着てる場合じゃないよ」みたいな 風潮になった場合のやばさみたいなものは感じてる」 

iOS の画像 (6)


U「空間を作って音楽を楽しんで聴くっていうこと自体が」
フ「そうそう。その余裕があったからこそ、その中でブランドを選ぶ余裕っていうのが俺らにはあった訳じゃん。お客さん側にも」
U「さっきPOSSE?はお客さん70人来て、せめーなっつったんだけどさ。山ちゃんが「まぁそういう狭さこそ醍醐味じゃん」って言ったんだけど、その狭さ自体が、今は糾弾の対象になるっていう」
フ「象徴的だよね。ATフィールドって感じだもん(笑)」
U「人が集まること自体が今はもう自粛するように言われているわけだよね。で、 今日は3月の13日だけど。あと2ヶ月弱した時に、どういう状況になってるかは分からないよね」
フ「おそらく終息はしてないし、より悪化していると考えたほうが...」
U「妥当だよね。もし今のイタリアみたいな状況になってたらさ、こういうイベントも中止にしてくれっていう要請は十分あると思うんだけど。大阪のライブハウスの件もあったし」
山「だからPOSSEも全然怪しいよね、ここに200人集まるって考えると、全然中止対象になってもおかしくない」

ファンタジーにしちゃいけない

フ「でも、なんでやるのか?っていうことに対して、なにかファンタジーめいたものを持ち込むべきではないと思ってる、俺は。 バンドってものが、「音楽は人の心を豊かにするんですよ。」ってレベルの論理では今は対応できない訳じゃん」
山「そうだよね」
フ「なんか今日考えてたのが、なんていうのかな、剣と魔法の世界っていうのがあって(笑)、剣っていうのが所謂「合理」、今の政府のやり方とかの象徴としてあって。 俺らって魔法側の人間じゃん(笑)」
山「まぁ音楽なんて役に立たないもんですから」
フ「役に立たないけれども、華やかなもの。無意味だけれどもなにかこう人の心をワクワクさ せるものみたいなものとして魔法というものがあって。 そうなったときに、今すごく剣寄りになってるんだよね。やっぱり弾圧される側なわけだよ、魔法ってものは。 魔法を守りたいってなったときに、そこに対して、いかにそれが必要なのかってことを言わなきゃいけないわけだよね。 「それでも俺たちは魔法を愛すんだよ」っていうことを。でもそれはファンタジーにしてはいけないんだよね」
山「そうだね。その魔法って、さっきファンタジーって言ったけど、「音楽やりたいからやればいいじゃん!」みたいなそういうノリって今やってもいけないじゃん。 そこはリアリティーを持って、ちゃんと対策だったりとかも考えたりしつつやらないと。やっぱ、ここでコロナの感染が起こってしまったら、ナイスパは糾弾対象になってしまう訳だし」
フ「下手したら店を潰すわけだよ、俺らが。ここで一人でも感染者が出たら。そのリスクを背負って俺らはイベントをやるんだよね」
山「そう。リスクを背負ってやらなきゃいけないから。本当に他人事じゃないから。 近いライブハウスとかでも糾弾対象になってるところとかもあるわけじゃん。 (池袋)手刀とか」
U「若い人は重症化しないって言われてるけど、それは…」
フ「まだ結果出てないだけだもんね」
U「やっぱりバイアスが掛かってるよね、「大丈夫だろう」っていうさ」
フ「「明日死にますよ」って言われても音楽やりますか?って言われた時に、どう答えますかっていうレベルの話ではあるんだよね。 すごく突き詰めて考えたときに」
山「ライブハウスが潰れますよっていう、まぁそういう問題もあるかもしれないけど、でもそれ以上にそういうなんかパーティーをやるリスクってものを考えなきゃいけないんだよね」
フ「そうだね」

延期は、しない。

画像4

Y「「(イベントを)やる」っていうのを決めた場合、具体的にどういう形だったら出来るのかっていうアイデアを出すべきだと思うんだよね。 振舞酒に代わって、百均とかで売ってんのかわかんないけど、ハンカチとかでちゃんと手袋着けて簡易マスク作って、それを用意して待ってるとか。」
カ「マスクはマスクを作るゴムが全部売り切れてるから作れないです」 

一同(笑)

Y「すごいな(笑)」
モ「DIYの達人がいる(笑)」
U「まぁただ非常に貧弱だよね、科学的な根拠が。そのマスクがどれだけ意味があるのか、ていうことすらまだわからないよね。よく言うのは予防じゃなくて拡散の防止」
フ「あと、俺らがマスクを付けて歌うのかどうかみたいなものもある訳じゃん。 ステージに立ってるから安心ってわけじゃないし。でもマスク付けて歌うっていうのが、まぁ 「カッコ悪いからやらない」って話になってくるじゃん、俺らはね」
山「辛いし息苦しいし」
フ「まぁそうなんだけど、もし歌う人が罹患していた場合に広めてるリスクがある訳じゃん。 人前で歌うことに対してのリスクっていうのが凄くある訳だよね。 お客さんがいっぱい入っ たら多分目の前に来ざるを得ないじゃん」
Y「媒介になってしまうリスク」
フ「あると思う」
忠「状況次第では、もうこっちにやる意思があってもできない状況っていうのは来 るかもしれないっすね。その場合延期ってしますか?」
Y「延期はね。これに関しては無しじゃないかな」
フ「ここでやる意味がすごく重いと思う」
Y「うん」
フ「できないのならば、それは俺らのやり方っていうのがあると思う。POSSEをやらないっていう選択は俺はやりたくなくて。 だからそれはサーキットイベントとは違うところなんだよ。なぜ俺らがPOSSEをやるかっていうのはこの日にやれないと意味がない。そうなった場合に延期してなにかこう、少人数でも人を集めてやることはPOSSEの目的ではないと思う」

POSSEの配信は、違うんじゃないかな

Y「代替案を出しておくっていうのはありだと思うよ。完全にお客さんを呼んでやるのはダメ、ってなった時に向けて..、まぁ配信はなかなか難しいって話は、白岩さんとも最近したばかりなんだけども。各バンド呼ぶっていうのは無しにして、 例えば主催者側だけで何かできないかとか。そういう風な案を出しておくのはいいなと思う。やりたくてもできない状態っていうのが、本当に来る可能性あると思うから」 

iOS の画像 (2)


U「ライブ配信みたいなものが簡単に代替案として提案されているけど、やっぱりそれにはそれのノウハウがあって、所謂ライブをただ単に配信するといい作品というか、いい場が提供されるかっていうと、全然そんなことないっていう」
Y「ないね」
フ「俺らがやるのって場の提供なわけじゃん。音楽の提供だけじゃないからね」
カ「ライブ配信は個人的には絶対にしたくない」
山「ちゃんと伝えられる技術もないでしょ、多分。生配信のね」
カ「意味がないと思うし」
フ「いま人を集めてやる「意味」ってことに対して、俺らは何か答えを出さなきゃいけないっていうことを考えると意味ないっすよね」
カ「そうっすね。そこを度外視して、集まんなかったから代わりにこれをやるってなったら、 もうPOSSEじゃないかなって。目の前にお客さんがいて、演者も普段できないようなパフォーマンスができるようにやる為のものが、見る人のための 「提供」に徹するのって、本来の目的からちょっと外れてる気がする。 提供する側ではあるんだけど、100%その人たち(お客さん)に満足してもらう為だけにやってるわけじゃないし、100%自分の好きな音楽を昇華する為にお客さんや場が必要で。 それが配信になって、みんなに届いたら満足。っていう風に自分は思わないから」
白「配信は今みんなやり始めてるけど、誰もがなんでもやりゃいいってもんでは決してない、 間違いなく。やってそれが然るべきだなっていうものも中にはあるとは 思うけど」
忠「俺はあの、代替案で別のことをするんであればお客さんが中に入って来れないと意味がないなっていう気がしてて」
U「中っていうのはライブハウスの中に?」
忠「そう。簡単に垂れ流して観れるとかじゃなくて自分が参加者になれるって。 POSSE?のときは結構そのことをいっぱい言ったけど、 集まると全員で同じものを 観ることになるから。狭い空間で、ぎゅうぎゅうで。それでみんなの、感情でもな いけど、集中力が全員で共有される場っていうのが出来て。そこでライブを観ると、いつもより断然に違うものになるっていう」
U「演奏する側も、観る側もね」
フ「そうだね」 


カ「個人的にはですけど、もしやる体で進めていって、本当にこれくらい小規模でもやってはいけないってなったら、やんなくていいと思っていて。
そしたらもうPOSSEじゃないしっていう。そこを代替案を出して、「せめて」みたいなことって、なんか違うって思うんですよね。 前のロクトシチの時に、まぁすごいギャグですけど「お客さん含めてポッセだネ」みたいなこ とをつぶやいたんですけど(笑)、でも結構マジで思っていて。 お客さんいなかったら意味ないし。POSSE って自分らが尊敬するアーティストを呼んでるけど、 そのアーティストが無観客でやっても、もう何でもないっていうか、 スタジオ練習と変わらない、虚無だから。 たくさんお客さんが集まって意味があるし。 それは無観客で配信されて、それが何 千人見てようが意味ないっていうか。 その場にいないとアーティストのスタジオじ ゃない場での演奏、それ以上の力って絶対出ない から。意味がない。 そしたらもうPOSSEの「向上心」(井上作のPOSSEフライヤーに毎回書かれている言葉)とか、 誠実さとかそういうのに背くと思うから、やめちゃっていいと思います。もし国の要請で本当に出来なくなったらですよ」 

山「潔くやめていいよね、きっとね」
カ「そこに関して今の段階で、こうなったらどうしよう、とかって俺は必要ないと思ってて。 今5月にやる最高の形をひたすら話し合うでいいと思います」
フ「なるほどね。それが俺らの責任でもあるよね」
カ「でダメになったら、すっぱりやめていいと思います」
山「いいと思います、それで」
U「やっぱり場を空間的にも時間的にも共有することが、ミソというか」
フ「そうだね」

俺たちの「面白い」を信じる

山「それで第3弾のPOSSEをやるにあたって、今までは最初は同世代を集めてやる、で第二回も同世代を集めてやって人を増やして、で眼科画廊でも新しいことをやった訳じゃん。第3弾はどうしようか。次の向上心のテーマっていうか、なんか新 しいものとして何をやるかっていうのを話し合いたいなっていう」
フ「そうね」
カ「コロナも来たし、客引きがあんまり出来ない感じですよね」
山「今まで「同世代」ってテーマを持ってやってきたけど、次の強いテーマが必要なのかなっていう気もするよね、 強い思想っていうか、まぁ思想まではいかないけど、もうちょいなんかが必要になってくるのかなっていう 」
モ「やっぱり回を重ねることで、どんどんPOSSEってイベントの型が不可抗力的に決まってくるにあたって、 セルフブランディングみたいなやつを思いっきり固くするべきなのか。ちょっと緩さを保った状態でやってく方が正なのか」
Y「まぁそっち(緩さを保った状態)だと思うけどな」
山「俺もそっちのほうがいいかな」
Y「そもそも、その緩さ排除で考えるんだったら共同って形にしてないと思うんだよね。完全に kumagusu単体とかでやってると思うし。 もうこの4組で集まってやる時点で、ある程度絶対的な何かじゃなくなってる訳なんだから、ある意味、 その緩さをどう見せるかというか」
U「オープンになにか選択して、この日のイベントを客が選択してこの場に足を運んでもらって」
モ「そうだね、オープンな感じ。2年目画廊をやって、フグリ君とカシマさんに入ってもらって、 何をこっちが欲してたのかっていうと、「かき乱されたい」っていうのだったな。 自分らだと絶対凝り固まっていくから。全く根本的に自分らの発想に無いようなところのアイデアをもらいたい。っていうのは絶対あったと思って。 kumagusuと忠だけだと絶対2回目のPOSSEの面子にはならないし、それでめちゃめちゃ楽しかったから。 結構どんなものでも、ある程度なにか尖ってたりだとか、なにか筋が通っている表現をしているのであれば、絶対俺らは楽しいなって。 で、フグリ君とカシマさんは、絶対そういう人たちを呼んできてくれるだろうな、っていう信頼があって企画に入ってもらったっていうのがあった。 だから、そこが崩れなきゃいいのかなっていうのはある」 

U「音楽のジャンルも確かに、いろんな色があるのが理想、みたいなのが暗黙の仮定としてこのイベント自体にコンセプトとしてあるんだろうね。 俺たちギターロックというか、所謂ロックバンドみたいなオルタナティブなギターロックバンドだ けを集めたいか?っていうとやっぱりそうじゃなくて、 色んな所から人を集めたい、 同じ場で演奏したいみたいな気持ちがあるのかな」
山「POSSEを最初始めた時だって、同世代の中で単純に面白い人を集めてやりたいなっ ていうだけだったと思うんだよ元々は。 POSSE?と被ってくるかもしんないけど、やっぱり最初はもっと、どれだけ人を呼べるかっていうのは度外視して、ただ単に面白い人を集めたかっただけだと思う。 それはもうジャンルは関係なく、それこそオルタナティブっていうのは、ハードコアとかも歌モノとかも全部含まれてくるじゃん。 だからスリーコードのロックっていうものとは外れたようなもっと間 口の広いロックをやってる面白いことをやってる人たち、 で、しかも同世代。っていうのを集めてやろうっていうのが元々のテーマだった訳で、それはやっぱりもっと意識していい気がするんだよね」
U「まぁ多分、基本的には運営してるメンバーが面白いなって思うことが、必ず先進的なのか?って言うとそれはちょっと判らないけど、 面白いと思うものをとにかく集めたい。そこで時間的にも空間的にも場を共有したい。で、客にはいっぱい来てほしくて、まぁ楽しんでほしい。っていう話だよね」
フ「俺たちが呼んでるってことがちょっとブランドじゃないけども、そういうものが加味されてないと、やや薄いものになるかもしれないっていうこともあるっていうことでしょ?精査してるのって俺らじゃん。いっぱい面子は上がったけれどもその中で選んだのは俺らだから。 いかに多様性とはいっても、結局俺らのフィルターを通した面子しか呼んでないんだよね」
Y「そうだね」
フ「そういう意味ではそこに対して信頼してもらえるかっていう部分じゃないかな」
U「まぁ絶対面白いと思うけどね」
フ「うん」 

iOS の画像 (4)


Y「10~12の出演数ってやっぱり難しくてさ。そもそも主催で4組埋まっている訳だから、そうすると実質誘えるのは残り8組。ジャンルレスなカオスさを出すには少し足りないし、今まで出てもらってないニューカマー的な出演枠もかなり少な いよね。」
フ「果たしてニューカマーが必要なのかっていう話でもあるけどね」
モ「俺個人的に言うと、むしろ絶対新しい人を入れたい。毎回同じ面子で毎年GWに集まって楽しく、それなりにお客さんも入れてやりましょうよっていうイベントにするべきではないっていうのが、俺の意見」
フ「まぁね。それだとおそらく動員も同じ、赤字にはならないけどね」
モ「だし、POSSEの初回の時も言ってたのが、どれか一つの出演バンドが好きな人 が観てくれ たら気に入るのに、ブッキングとかで組まれないから知らないだろうっ ていうバンドたちを知ってもらって、POSSEで知ったバンドを、お客さんが後々見 に行ってくれるっていう形になるのは理想の一つとしてあった」
山「自分たちのフィルターを通して選んだ人たちを面白いって言ってもらえるの は、やっぱりすごい嬉しいってことだよね。壊れかけ(のテープレコーダーズ)の小森さんが「kumagusuを中心に違うハードコアな シーンが生まれてる」みたいなこ とを言ってくれたっていうのは、ちょっと嬉しくて。 自分たちのフィルターを通し て選んだものを、すごい面白がってくれる人がいるっていうのは、 俺はやっぱり嬉しく感じるな」

そしてPOSSEを続けたい


カ「俺はPOSSEの3回目はめっちゃコケてもよくて。自分ら自腹切っても。なんかレッドツェッペリンの3rdみたいな。「いい曲が移民の歌しかねえな」みたいな。 他全部アコギみたいな。POSSEって俺らが一番のびのびと楽しくやれる場であってほしい。 一番大事なのって、お客さん集めるとか数字で成功するとかじゃなくて、この集まってやろうっていう今、この場が一番楽しいじゃないですか」
フ「うんうん」
カ「もちろん成功してほしい。でも、「数字だけ?」って思うし。数字で出たら最高だけど、好きなバンドとかをみんなで言い合って誘うとか、 (誘ったけど)ダメだっ たとか、ここはいけたとかっていうのがやっぱ一番楽しいから、なんか3 回目で大 コケしてもいいかな、ってちょっと個人的には思ってるんすよ。 まぁ1回目は誘われただけだけど、200人集まるすごいイベントなんだ、ってなったし、 2回目誘わ れて一緒に話して、やって、200人集まる。「なんで!?」って思うから(笑)」 


一同(笑) 


カ「なんで無名な俺らでやって、200人も集まるんだろうってやっぱり未だにわかんないし、 ぶっちゃけ、当時俺がやってたロクトシチも大したことやってないし、ずーっとブッキングに出続けて、でPOSSEに出た。で、その時に200人集まるのってなんで?ってわかんないから。POSSEなんだから年間でこれだけ人を集めないといけない、だったりみんなで血眼になってやるってよりは、こういう風に集まって好 きなバンドの話とかして、「こういうバンド誘いたい」「ここダメだった」「ここ出てくれる」「やったー!」とかが俺、今一番楽しくて。 それが達成できてれば、もうどんなにコケてようが、働いてるし。生きていけない訳ではないじゃないすか」
山「なんか、そうなんだよね。別に大コケしてしてもいいっていう風な気持ちでやりたいよね」
忠「あの、俺が怒られるんですよ(笑)」 


一同(笑) 


カ「そしたら忠さんが怒られない分をみんなが払えばいいし」
山「うん、そういう度胸も持ってるくらいの大きいことをやりたいっすね。縮こまりたくないじゃん、なんか」
U「でもさ、なんかその大ゴケしてもいいっていう話は分かるんだけどさ、来てくれたら嬉しいよね」
カ「それはもちろん可能な限り努力はするという前提での」
フ「出てる人を観て、お客さんに喜んでほしいっていう事に関して、まぁ俺個人の意見を言うと、俺が感じたい気持ちっていうのは、「長くやってて良かったな」みたいな部分っていうのはあると思う。「やめないでよかったな、音楽好きでよかったな」っていう部分をお客さんと共有出来たら、それが一番幸せだと思うんだよね」
Y「うん」
フ「商業的に全然売れてる訳でもないし、有名人でもないし、テレビに出てる訳でもないし。ってなった時に俺たちが、まぁ30歳になったときに音楽ってものをどう捉えるかっていうと、やっぱり「やめないでよかったな、ずっとやってきてよかったな」って心の底から思えるってことが一番幸せだと思うんだよ。それで、お客さんともそれが共有できるといいよね。「音楽好きでよかったな」、「こういうイベントがあるっていうことに、シンパシーを抱ける私でよかったな」、っていう状態になってくれるのが一番幸せだと思う。 その時間を共有したいからこそライブハウスって場所でお客さんを入れてやってるって部分がすごく大きいと思う。...っていう感じです(笑)」
山「以上?」

 一同(笑) 


山「やっぱり昨日もライブやって思ったけどライブできるってすごい幸せなんだってすごい思ったね」
U「まぁねー」
山「普通にライブできるっていうこと自体がもう...。だって昨日も開催も危ぶまれてたし、平日のライブだけど生配信するかみたいな話も出てたし。 それでお客さん 集められてちゃんとできたっていうのは、すごい良いことだと思うし、平日のライブにこんな感謝したことなかったもん(笑)」
フ「そうだよね、なんか俺らがやりたいことっていうのがもう楽曲を届けることだけじゃ、なくなってきてるんだよね。 配信っていうものに対して懐疑的になってるのはそこがあると思う。同じ場所にいる意味っていうものが、すごく重くなってきてる気はするね」
U「それが根底から否定されかかってるのは非常にピンチだよね」
フ「そう、そこが問題なんだよ。もちろんライブハウスってものに対して人生掛かってる人もいる訳だけど、あくまでプレイヤー側として思うのは、そういう部分に対して、それさえも危ぶまれてるって状況に対しての危機感。自分が本当の意味で生きていられる場所みたいなものが否定されてしまうことに対して恐怖感もあるし、問いかけられてる感じもするよね」

「熱」

忠「ちょっとまとめると、それぞれの表現を最大限に共有できる場所、みたいなものが作れれば大成功なのかな」
山「そうだね。俺がPOSSEで感じてたテーマは、色んな雑多なジャンルのバンドを、 ハードコアだったらハードコアに縛られずに、 色んなものを、これが面白いんだっ ていうものをバーンと打ち出せるっていうのがまぁ俺たちにとってはPOSSEていう」
U「まぁでも、悪い言い方すりゃ「音楽詳しいおじさん」の優越みたいな気はする」
忠「いやそうじゃなくて、こういう風に間口広げて色んなのを観れるのが楽しいですよ、っていうのを提示はできるかな、と思うし。さらに変な表現してる人たちばっかが集まってるから、 くすぶってる人たちを救済する企画でもある、みたいなことなんじゃないの?」
山「これが面白いんだってことは優越とは違くて、それはもう個人の、「熱」じゃん。「これが面白いんだ!」っていう」
フ「それは宮本浩(宮本から君へ)的なこと?「俺がかっこいいと思うものをかっこいいと思わせたい」みたいな」
山「そうです」
U「小説家の考え方だね」
山「別にノイズみたいな変なものもいっぱい知ってるんだぜ、みたいなものもないじゃん、今の時代って。マニアックなものとかも無い時代で」
U「簡単にアクセスできるもんね」
山「うん。そういうとこじゃなくて、この人がかっこいいんだよ、っていう熱があることがやっぱPOSSEをわざわざやってる理由でもあると思うんだよね」
フ「うんうんうん」
山「POSSE?もそうだし、この人がすごい面白いんだぜっていうのを、やりたいっていうのは企画をやる意味でもあると思う。っていうか企画者とかイベンターって いうのはそういうもんじゃないの。「この人たちすごい面白いんで見てください」っていうのは」
フ「それが紹介ではなくて共有になるべきだってことだよね」
山「うん」

U「(Yが)なんか言おうとした?」

楽しい以上の、向上心

iOS の画像 (7)

Y「そもそもPOSSEを始めた最大の理由は、救済といっても、やっぱり自分の救済だったと思うんだよね。 kumagusuとしてやっていく上で、自分たちに近いシーンの人たちが出るイベントっていうのがないと、自分たちとしてもやっていけないし、 こっちがオーガナイザーとしてってよりは、俺たちものし上がっていきたいんで一緒にやりましょうよ、っていうスタンスなんだよね。 だから、今の話だけだとちょっと違うかな、って気が少ししてて。
楽しくやろうというのも本当にその通りだしそれでやりたいんだけど、でも結果度外視で楽しくやろうだけじゃダメだなっていうのも正直あるかな。」
U「長く続けるためにってことにも繋がるのかな」
Y「そう、だからまじめに考えないといけないのは、良いバンドを広めたいとかっていうのは俺は割と、第1回、2回、POSSE?と 結構いい成績を残してきた結果の余裕が出た上での発言だと思う。そうじゃなくて、そもそも俺たちが瀕死なんだから (笑)そもそも頑張んないといけないんだよっていうのは、ちょっとマジで自覚したほうがいい気が今してしまったという話だね」
フ「うん」
Y「一番瀕死なのは俺たちなんだから(笑)」 


一同(笑) 


モ「なるほどなー。なんかそうだな、勘違いしてたかもな。確かにPOSSE第一回の時、その感じはあったかもしんない」
Y「こういうイベントを他でもやってほしいって思った気持ちはそこに通じてて、 俺たちがやるだけだと俺の目論見通りにならない訳。 俺たちがのし上がれない。 「のし上がる」っていうと嫌な言い方になってしまうかもしれないけど。良い形で音楽活動を続けていく上で、どういう場が必要なのかってのは、「俺たちがこれをやる」、で「これに準ずるイベントがいっぱいある」から 「俺たちもそれに出る」、で「他の人たちとの行き来がある」っていうのがあって、「お客さんがそこに興味を持っていっぱい来る」、だからみんなで楽しくやっていけるね。 というの がそもそもの1回目の俺のイメージだった。
イベントが成功すると段々こっちの誘う立場っていうのが強まっていくから、 多分さっきの感じの話になっていったと思うんだけど、でもちょっと立ち返ると、誘う立場ではあるんだけど、お互いやってかないとやばくないですかっていう。
POSSEのテーマ、というかやっていく上でのスタンスの話だけど、これはちゃんと貫いた方がいいんじゃないかなっていうのを感じた。」
モ「それはすげー腑に落ちるな」


iOS の画像


U「ちょっとここまでにしよう。ちょうど時間も時間だし、一ついい結論が出たと 思うから。 頷けると思うし。違う意見になってたのもすごい良いと思う。 割と今回のPOSSEについて現状の社会的なやばさと、色んなそれぞれの捉え方がこう一応 述べ られたのかなって思うんだけど。」
Y「ちょっと先に根本的なところを聞きたいんだけど、ZINEを作るうえでこの座談会は何%を占めるの?もう全部これ?」
フ「それはちょっと状況次第かもしれない。もし本当に危うい状況で、それでもやれるのであればステートメントとして出すっていうのは一つのやり方ではある」
モ「ZINEではなく」
フ「そう。来た人にここのイベントの意味っていうものと、開催にあたっての考え方っていうのを配る必要になる可能性はある、すごく。
なんかね、そうなったらもうそれぞれが文章を書いて、それで8ページくらい割いてもいい し、最後にまとめみたいなものとして、座談会がガツッと載ってる20ページの本っていうのも、ひとつのやり方だと思う」
U「各個人で書くって話だったけど、そのテーマは、やっぱり『なぜやるのか』だよね。それ しかないよね。社会的な状況も考えると」
フ「それぞれがそこに対して何かを語るべきだと思う」
U「他はもう、ちょっとズレちゃうもんね」
フ「そうなんだよね。今年はそれをやらざるを得ないと思う」

U「じゃあ『なぜやるのか』をどう定義してもいいけどそれに付随するものを書 く、のと今の 対談をまとめる」
フ「それで20ページくらいになってやや予算抑えて、できれば全員に配りたい、お客さんには。 200部刷れたらいいかな。それで動く感じだね」
Y「文字組とか雑誌全体の装丁はフグリ君にお任せということでいいのかな」
フ「いいよ」
Y「最初の表紙、裏表紙は書くよ。イラストで」
フ「そうね」
U「文字起こしをさ、これを15分ずつ区切っていくと一人1時間くらいあれば15分 は書き起こ せると思う。15分であれば」
モ「頭数に入れられた白岩さんが苦笑いしてますけど(笑)」
U「俺いつも仕事でデータを書き起こしてるんだけどひたすら。まぁ結構時間かかるよ。5分書き起こすのでも」
フ「一旦じゃあ締めようか。おつかれちゃんです」
一同「おつかれさまです」


2020年3月13日都内某所にて収録。


4月7日、東京都緊急事態宣言発令。

POSSE座談会、第二回に続く。



コンピレーションアルバム『POSSE2020』

このコンピレーションは、本来5/2に新宿NINE SPICESで開催を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大予防のために中止となった同名イベントを冠してリリースされた。
『すべてを「1人」で行うこと』が制作ルールとして定められており、メンバーとも逢わない、スタジオを使わない。

データのやり取りのみで自室で作られた楽曲を収録。

このコンピレーションの売り上げは、POSSE2020への出演を予定していたアーティスト・スタッフへ等分配される。