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〜ジャパンカップ〜たった2分30秒に凝縮された現代競馬最強のレースをポジが振り返ってみた。

2020.11.29

東京競馬場

15:40

日本競馬の歴史で初めて3冠馬3頭が同じレースに出走した。

間違いなく我々は伝説の目撃者となった。

そして、この伝説のレースを文字に起こしてずっと忘れないようにしたい強い思いから私の記憶だけでなく記録として残しておこうと思う。あくまで私が感じた内容で正解不正解はない、このレースについて書けば1日では足りなかった。2分30秒の中で様々なジョッキー心理や位置取り1つとっても面白い攻防があったことが見えてきたのでご紹介したい。

2020年ジャパンカップ 結果

🥇アーモンドアイ

🥈コントレイル

🥉デアリングタクト

4着カレンブーケドール

5着グローリーヴェイズ

6着ワールドプレミアに3馬身つけていることからもこの人気5頭が力抜けていたと言えるだろう。

2:23:00

ハロンタイム: 12.7 - 10.8 - 11.8 - 11.3 - 11.3 - 11.5 - 11.8 - 11.9 - 12.1 - 12.3 - 13.2 - 12.3

3F(35.3-37.8)5F(57.9-61.8)

戦前3強馬で決まることはないだろうとみていたが、蓋を開けてみれば3強馬で1、2、3着で決まった。そしてハナ差決着でカレンが4着とそれだけ見れば3強が圧倒していたように思えない人もいるだろうが、私はすでに何回も見ているがデアリングタクトとカレンの差は着差以上のものであるとパトロールを見て実感した。デアリングタクトの直線についても後ほど触れます。

まずはスタートから振り返りたい

①0m〜600m

全馬出遅れることもなく正常なスタート、注目したのはやはりアーモンドアイのスタート、安田記念からゲートを出たがらない馬の前進姿勢がないことが噂されていたが、今回は抜群のスタートを切った。

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そして、コーナーまでの位置取り争い、キセキは逃げ内枠から主張して逃げる構え。その後ろにぴったり折り合いをつけるようにアーモンドアイ。デアリングタクトは中央を走り、ここで松山の心理が見えた、今までの後方一気の上がり勝負ではなくアーモンドアイを見る形で中団位置より前につけたい。そして、アーモンドアイにプレッシャーを少しでもかけたい、そんな松山の心理が読み取れた。

そしてできたのがキセキ大逃げそれをマークして風よけに使うアーモンドアイ、そしてそれを見る形で競馬するデアリングタクト。その隊列から間に川田が加わり、ルメールは川田の後ろをぴったりつけるコトを選択

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②600m〜1800m

完全にキセキ浜中の一人旅前半の1000mは57.9のペースで颯爽と大逃げ劇場、一人旅の戦法。鞍上はノリさんと間違える方もいたかもしれないがあれは浜中。向正面も馬場は開催が進み内荒れ。

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16〜20馬身ほどの差をつけながらコーナーへと回る。ヨシオやトーラスジェミニもキセキについていかず、2番手集団の先頭を追走。終始ルメールは冷静でアーモンドアイは距離ロスなくインにつけ、リラックスさせるような追走、ここでもグローリーヴェイズを前につけて風の抵抗を少なくしている。前に馬がいない状態で風の抵抗を真っ向から受けることや1頭分外を回らされる形でも直線の伸びは変わってくる、ココにルメールの100点満点の騎乗をするために少しも手を抜かないジョッキーとしての技術力やセンスが見て取れる。デアリングの後ろにコントレイルが差しの構えでいよいよ直線へと入る

ここからが長い直線、漢のガチンコ勝負。

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③泣いても笑っても最後の直線を迎える

さあ残り500m、魂の騎乗が繰り広げられた。


本来であれば地鳴りのような歓声がドリームレースを更に盛り上げるはずだったが、観戦者は制限されての開催だった。このドリームレースに満員の歓声がなかったのは残念でならないが、これも仕方ない。北は北海道・南は沖縄までそして世界がこの1戦を注目し、みんなこのドリームレースを見ていたことだろう。

直線向いたところでカレンブーケドールが外に出して、アーモンドアイは川田の外を選択し、進路もスムーズ、万全の態勢であとは追うだけの状態を作っていた。コントレイルも早々にデアリングタクトを交わす手応えで横並び、抜いていった。

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完全にキセキは脚が上がっているが少しでも奇跡を信じた人は多いのではないだろうか。逃げるとしぶとい、この馬のポテンシャルを発揮している、過去大逃げで逃げ切った馬もいるように離された差を埋めるのは結構力がいるもので、縮まりそうで逃げ切ったイングランディーレを思い出した。

だが、舞台は東京2400m。

直線はとにかく長い。長い。

脚が残っている後続馬が徐々に殺到する。


④残り400m 意地と意地のぶつかり合い

やはり馬場は写真見てもわかるように内が荒れている。

キセキ一頭だけが内で頑張っていた。

コントレイルは外に出して、デアリングタクト松山はカレンブーケドールとコントレイルの間を目掛けて追い出している。

ここで松山を想定外の出来事が襲う。

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コントレイル福永が内に斜行してきたのである。

ここで松山は進路が狭くなり、次なる進路を求めて内へ潜ることになる。

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スタートからスタートからゴールまでの道筋が見えていたかのようにスムーズかつ風の抵抗もさえ受けず、馬をリラックスさせ最大限の力を発揮したアーモンドアイが先に抜け出し、松山はその内を狙うことになった。

瞬時の判断、そして騎手心理が直線には現れていた。

松山が進路を見つけ鞭を入れて追い出した時にはルメールは盤石の体制で追い出し、トップスピードへ乗せていた。そうなったら現役最強馬アーモンドアイは止まらない。飛ぶように気持ちよさそうに馬が走っていた、これがラストランとも知らずに、いつも通り自分の力を見せつけた。

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そしてゴール。

【アーモンドアイだ、最強の走りだゴールイン

最強のまま、ターフに別れを告げます。】

私が今回のジャパンカップで思ったことは、競走馬としての絶対的な能力は3歳馬2頭も決して劣ってはいなかったと思う。今年の3歳馬は強い、戦前からたくさんそう言ったコメントを見てきたが、やはり強かった。3000mタフな菊花賞を勝ってこのローテは3歳馬には堪えるのは見えていたが直線ふらつきながらも2着まできた内容は力を出し切ったと言えるだろう。

やはりすべては抜群のスタートを切り、馬をリラックスさせ、負担の少ない捌きをしたルメールにあると思っている。天皇賞秋に比べれば、さよならパーティーをエンジョイしたと語るようにプレッシャーは少なかったかもしれない。

斤量の恩恵も考慮しても勝たせなかったアーモンドアイは本当に怪物馬であり、日本現代競馬最強の馬であると賞金もそうだが、レースを見てこの馬に勝つ馬はいないと改めて思わされるレースであった。

レース後自然と涙が出てきた。

この馬は国枝も言っていたがとにかく無事でこれが最優先。

勝つのは二の次だった、それでも走らせれば最後まで一生懸命走る姿で、最強牝馬が3歳馬2頭を自身の前に一度も立たせずに横綱競馬で圧倒的な強さを見せつけてターフを去ることになった。

この馬が日本競馬ファンへ残したものは図り知れないものである。

アーモンドアイ

獲得賞金19億円突破💰歴代最多賞金

G1 9勝👑歴代最多勝利

アーモンドアイ

お疲れ様

ゆっくり休んでね

立派なお母さんになるよ


最後はこんな言葉で締め括りたい。


日本競馬最高のレースを実現してくれた陣営に感謝。

競馬ファンの夢を叶えてくれて ありがとう


ポジより

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