見出し画像

『コンビニ人間』を読んで

Sさんが借りてきた『コンビニ人間』を読んだ。
何年か前に話題になった気もするが、気に留めたことはなかった。
案外軽く読めそうだったので手に取った。
話は、疲れる内容だった。
今に生きる私をグサッと刺してくる感じ。
朝井リョウとかそっち方面の雰囲気。

主人公は小さいときからマイノリティに分類される感覚を持っていたが、それを気づかれないように無難に振舞う器用さも持っていた。
その器用さで難なく年を重ねてきた一方で、その独特な感性を持ち続けた。
そしてその感性をもって生きる自分が一般的な大人の側ではなく、あっち側の変人に分類されていることを認識する。
ただ、主人公はそれでも自分の感性で生き続ける強さ、というかブレない芯を持っていた。
反対に主人公と一時的に同棲する男は、その芯がなく、周りの目を気にして苦しむタイプだった。
この男のようなタイプがよりこじらせると、世の中は敵ばかりとか、皆が俺を馬鹿にしているとか言って無差別殺人を起こすのかもと思った。

そんな独特な感性をもって生きる主人公は、遺伝子を残すべきではない、と言われており、そこに対してもロジカルに納得していた。
ただ、私はそんなマイノリティの遺伝子こそ残していくべきなのでは?とも思った。
いつの時代も天才的な発明家や起業家は独特な感性、そこら辺の一般人には理解できない思考を持っているものではないか。

そんなことを考えた一冊でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?