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ポートあとがき「船頭からの船旅のお供に一言」

お久しぶりです、または初めまして。文芸サークルポートの代表の七氏野改めサカキです。

はじめに、今回最後のサークル出展でこうしてお手に取っていただき、あとがきにまで目を通していただいていることに、感謝申し上げます。
思えば2018年5月の文フリ東京への初参加から、今日で5年が経ちました。時の流れは早いもので、伊奈と共に結成したポートはしらたまを加え、そして今日をもって文フリ東京での活動に終止符を打つこととなりました。

ポートという港から来たサークル名である我々がおしゃれに言葉を飾るのであれば、港に着いたポートというサークルは、それぞれの進路を見つけ出し、出航していく運びとなったわけです。
我々は、これから2つの道に進んでいきます。1つはサカキと伊奈のサークル「屋根裏の筆猫」としての活動、そしてもう1つは、しらたま個人でのサークル「lie-ban」としての活動です。後者については既に今回の文フリ東京で一足先に出航しているわけで、ご興味を持ってくださった方は是非足を運んでいただければと思います。

そして思えば、僕がサークルを抜けるのはこれで2回目となるのです。読んでくださった方もいるかと思いますが、ポートの "半分ノンフィクション自叙伝" である「出航 -しかし、情熱はあり、-」にもある通り、僕は先輩主導のサークルで文フリに初参加しています。今はもうないそのサークルでの活動も、僕にとっては貴重で、大切で、思い出深いものでした。

ここで裏話の意味も込めて、これまでの同人生活をここに書き留めておこうと思います。
サークル活動は、思えば荒波を潜り抜ける船のようでした。静かでピクリとも動かず、自力で少しずつしか進んでいけない時もあれば、波の赴くままにぐんぐんと前に進んでいくこともある。時には荒波にもまれて、静まりゆくまでその動きに耐え抜くこともあるでしょう。
僕にとって、きっと1回目のサークル活動はピクリとも動かない瞬間だったと思います。自分自身で何も出来ていなく、先輩についていくままに小説を書いていく。そこにはただの書く喜びとサークルで本を売れている幸せしかなかったと思います。そして今回のポートは、全てが詰まっていたと思います。最初は荒波にもまれるかのようにただ必死に進んでいき、時に理想的な合同誌が完成して想像以上に手に取ってもらえたこともありました。そしてピクリとも波が経たないかの如く、合同誌が脱稿してしまった時もありました。

そして、サークル活動です。当然サークル内での波もあります。
何せ仲良しこよしで集まった3人ではありません。小説の趣味も、おそらく全員バラバラでしょう、作風もバラバラです。ただ「文フリで小説を出したい」という1つの目標のために集まったサークルでした。
だから喧嘩もしたし、口論にもなった。けれども5年間、楽しみながら、しかし確かな自分たちの信念をもってサークル活動をしてきました。
だから、このサークルでの活動が深く沈み堕ちていく「後悔」で終わるのではなく、大海原へ旅立つ「航海」のための必要な港であったと、そうであってほしいと、サークルを設立した僕は心からそう思っています。

今回執筆した「出航 -しかし、情熱はあり、-」も、その決意に近いかもしれません。惨めで、妬んで、何もできなかった自分でも、やはり最初のサークルは思い出深く、そしてあの時なりに何か必死になっていたはずで。そしてポートでの活動も、僕にとっては必要な港であったと。ラストで書いたあの感情は、毎回出る文フリで、いつも感じています。そうであれてよかったと、僕はこのポートでの活動に、悔いなく終止符が打てると、自負しています。

ポートを解散し、伊奈と2人で違うサークルを立ち上げるのもそれがあったからだと思います。
僕にとってポートは3人でやってきたものであり、もはや2人だけでないということ。悔いなくサークルを終わらせられるくらい、やり切れたこと。
そして僕なりの、しらたまくんへの花向けであると。それぞれがポートを脱し、次なる航海へと旅立つことが、最善の3人の選択だと思っています。
だから、頑張ってください。僕たちも、頑張ります。

このあとがきに語りつくせない思いは、たくさんあります。喜びも、悲しみも、いらだちも、感謝も。
それらはどこかの機会で、「出航 -しかし、情熱はあり、-」の続編として出してもいいのではないかとも思っています。その際は是非目を通していただけるとありがたいです。
僕の情熱はあそこに詰め込みました。正直すべてがリアルではなく、脚色もしていますし、うろ覚えの部分もあります。ただあの日々の中で感じた感情は、未だに胸に残っていて、だから今でも筆を執り続けているのだと、僕は思っています。

長くなりましたが、ポートでの活動はこれで幕を閉じます。
これからは2つの新しいサークルを応援していただけると、本当にありがたいです。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

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