スナック昭和 第13回 坂本九:上を向いて歩こう―クライマーズ・ハイ

第13回 坂本九特集(2020年2月13日、ミラティブにて発信)

※注:この記事の内容についての解説は、「スナック昭和 はじめに」をご覧ください

●「スナック昭和」のコンセプト説明

▽ミラティブ始めて、エモモを使ってVTuberの真似事やらかしながら配信してるけども、中身昭和のおっさんでしかない。なら開き直って、昭和のおっさんにしかでけん配信にしたろということで、エモカラで「昭和の曲」専門で、ほぼ毎晩1曲から数曲ずつ唄うとともに、その曲や歌手に関するエピソードも並行して解説するコンテンツ、スナック昭和。
▽そんな昭和のオッサンにとって、体に堪える寒さ、皆様も体調には気を付けてほしい。
▽環境が環境だけに、配信途中で途切れたり、毎晩とはいかん可能性あり、そこはご容赦を。

坂本九

▽1941年12月10日、第二次世界大戦のマレー沖海戦が起こった日に誕生。第二次世界大戦中に幼少期を送り、高校生の時にロカビリー(ロックンロール)のエルビス・プレスリーの真似を、当時の進駐軍の将校の前で行い大好評だった。
▽1958年、当時ロカビリーバンドとして知られていた、後のザ・ドリフターズ(ドリフ)にも参加。1960年にはソロデビューし、翌1961年に終生の大ヒット曲となる「上を向いて歩こう」が誕生する。日本のみならずアメリカでも「スキヤキ」の名で、ビルボードでも4週連続1位となる大ヒット。彼は世界的に活躍することとなった。
ロカビリーだけでなく、邦楽、三味線、ジャズ、シャンソンなどあらゆるジャンルの曲を歌いこなすことができ、バラエティなどでは大変活躍した。
その後東京オリンピックのゲストや万博の委員にも選ばれる、時の人になったが、人気に対するプレッシャーはすさまじく、画家・岡本太郎の前で弱音を吐いたこともあるという。


日航機墜落事故

▽1985年8月12日午後6時56分30秒、日本航空123便(ボーイング747SR46、JA8119)が、群馬県の高天原山の尾根、通称「御巣鷹の尾根」に墜落。乗客509名・乗務員15名の524名のうち、520名が亡くなるという、アメリカの9.11同時多発テロ事件を除いては航空機事故史上最悪の死者数を出す大事故となった。
 そして、その便に乗り合わせ、命を落としたのが、坂本九その人だった。
 原因は、7年前に伊丹空港で起きた尻もち事故で、その修理の際にボーイングの技術者らが破損したバルクヘッド(圧力隔壁)の補強版を1枚板でつなぎ合わせなければならなかったところ、2枚に分けて継ぎはいだため強度不足に陥り、これが7年の時を経て圧力に耐えられず破損、これに伴い垂直尾翼が全損してしまったことによるとされている。

▽この事故で坂本九氏は、不時着のショックを吸収するためのポーズ(足首を両手でつかんで頭を膝の内側に入れる姿勢)で発見されたというが、事故の衝撃で即死状態だったとされる。享年43歳、まだまだこれからという時の事故であった。
▽本来は全日空機に乗る予定だったが、お盆の時期ということもあり満席で、仕方なく同便に乗り合わせたがゆえの悲劇である。
▽坂本九氏だけでなく、著名人では当時の阪神タイガース球団社長・中埜肇、ハウス食品工業社長・浦上郁夫らが同様に犠牲となった。

▽実は同便に搭乗予定だったが、奇跡的にこれを回避した有名人が多数いた。
明石家さんま
麻実れい
逸見政孝(故人)
稲川淳二
五代目三遊亭圓楽(故人)、桂歌丸(故人)、林家木久蔵(現:林家木久扇)、林家こん平、三遊亭小遊三、三遊亭楽太郎(現:六代目三遊亭圓楽)、古今亭朝次(現:桂才賀)、山田隆夫
ジャニー喜多川(故人)
少年隊
深田恭子
など
生死を分けたのは一体何だったのか。それは今となってはわからない。
そして彼らがもし全員亡くなっていたら、芸能界は、演芸界は、いったいどうなっていたのかもわからない。

▽余談だが、当時の人気クイズ番組「アップダウンクイズ」は、ロート製薬と日本航空のスポンサードを受けていたが、この事故の影響で広告を自粛。結果として、同事故は1963年から実に22年も続いてきた同番組に引導を渡すこととなってしまった。後番組として、ロート製薬提供「クイズひらめきパスワード」が始まることとなる。

▽ともかく、坂本九氏は「上を向いて歩こう」「明日があるさ」「幸せなら手を叩こう」「涙くんさよなら」「見上げてごらん夜の星を」など、戦後の人々を勇気づける曲をいくつも残して去っていった。
そして、障碍者支援にも多大な功績を残していった。
今年は、彼が亡くなってから35年 昭和時代に彼が残してきたこれらの実績を、令和の時代に語り継ぐのも、彼を知る者のひとりとしての責務ではないかと思う。

セトリ:上を向いて歩こう

今、こちらの外では雨が降っている 気候の変わりやすいこの季節、体調を崩さないように。


補足:

タイトルの「クライマーズ・ハイ」は、この日航機墜落事故を題材とした、横山秀夫さんのミステリー小説と、それを題材としたNHKのテレビドラマ及び東映/ギャガ・コミュニケーションズ共作の映画のタイトルから取らせていただきました。

しかし、この配信のためにWikiで日航機墜落事故について調べてて衝撃だったのが、「この日日航123便に乗るはずだった人」の錚々たる顔ぶれなんですよね。いや、亡くなった方も乗らなかった方も、人の命に貴賤はないのですが、「運命を分けるもの」っていったい何なのだろうと思わずにはいられませんでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?