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囲碁高段までのロードマップ

なんとかかんとか囲碁高段者になれました。野狐五段です。

囲碁の段位(日本基準)というのは将棋に比べると結構甘くて、大体24三段くらいの価値だと思います。

ここまでくるのに役に立った本や勉強法、考え方をまとめておきます。
本は他にもたくさん読みましたが、振り返ってみると不必要な本も多く、絶対必要なものだけ掲載します。

打てるようになるまで

ここが一番大変です。何しろ意味がわからないゲームです。今もよくわかりません。とりあえず打てる頃には野狐初段になっていました。

まずはひと目シリーズを暗記しましょう。詰碁は詰将棋と違って手順の必然性が非常にわかりにくいので、初めは本当に暗記です。頭金レベルの状態も、相当図形的IQが高くないとパッと理解できません。最終的には正解図、失敗図含めて、なんなら本に載っていない変化も……とやっていくのが効果的ですが、この段階だと頭がパンクするので正解図だけ覚えるで良いと思います。

無限に疑問が湧いてくると思いますがあまり気にせず覚えてしまうのが吉です。暗記していくと、ある日突然理解できるようになります。

詰碁、手筋、攻め合い、急所等10冊以上ありますが、個人的に特におすすめなのは上記の六冊で、これで十分だと思います。

この段階で一番役に立ったのはこの本です。置碁を題材とした手直し本で、これで大分碁の基本が身に付きました。あまり有名ではありませんが、本当におすすめです。「本書で高度な基本を身に付けてしまいましょう」という前書きもなんだか好きです。

また、碁の考え方をざっくりと頭に入れる必要があります。

上記二冊は言わずと知れた名著で、最初期にかじりつくように読んで碁の考え方を頭に入れた……はずなのですが今読み返してみるとかなり高級な内容です。というか今読んでもよくわかりません。あの時の自分は一体何を理解して何に目覚めたのかわかりませんが、とにかく夢中で読んだ体験だけが脳に焼き付けられています。筆が立つというか、面白いことは確かです。

多分、もっと良い囲碁への導入本があると思うのですが私はわかりません。

死活(詰碁)

死活(詰碁)は非常に大切ですが、実戦に出てくる形を覚えれば十分です。何が何だかわからない実戦で全く出てこない詰碁をやる必要は全くありません。

ひと目の詰碁をやり込んだ後

上記三冊を正解図、失敗図含めて全て暗記すれば死活関連で後れを取ることはなくなります。勿論、実戦で取ったり取られたりをしないと身につかない部分もありますが、座学としてはこのくらいで十分です。
繰り返しますが、わけのわからない詰碁を解くのはやめましょう。少なくともこのレベルまでは時間の無駄です。

手筋

手筋も死活と同じくらい重要です。
ひと目の手筋や急所等をやり込んだ後、

死活も載っている。

上記四冊をやり込めば十分です。

手筋はもう無限みたいなところがあるので、棋譜並べや実戦で適に補充していくしかありませんが、座学ではこのくらいで十分だと思います。

ヨセ

振り返ってみると、全くやっていません。

一応ヨセ小事典は読みましたが、あんまり役に立った気もしません。

先手ヨセと後手ヨセと逆ヨセがわかればそんなに必要ないのではないでしょうか。この手何目も全く分かりませんし、ヨセの理論もわかりません。覚えたからと言って劇的に上達するとも思えません。ひと目のヨセが分かれば十分です。

多分、もっと上のレベルで要求される技術だと思いますので、高段(野狐五段)を目指す方は完全に無視しても良いと思います。

布石

棋譜並べで自然に身に付けていく分野ですが

この本は本当に良かったです。

こちらもおすすめです。

定石や定型パターン

定石はとても重要です。外されたとき、ハメ手を打たれたとき、状況に応じて変える……覚えることも多いですし、大変です。
定型パターンは打ち込みやシマリへの手を付け方などです。これも定石同様とても大切でなかなか大変です。

実戦を打って良く分からなかったところをAIで調べる、youtubeで該当の変化を調べるが基本になります。個人的には、高先生とokao先生を信頼しています。

参考になった本は下記四冊で、大体必要な知識が賄えるかと思います。

古い定石が何故今打たれないか、AIが重視する考え方等が学べるとてもおすすめの一冊です。

重要なのはAI手法を積極的に取り入れること。陳腐化が~という方もいますが、AI以前の手法よりもAI以降の手法は形を決める傾向にあり、正直わかりやすいですし、現実によくやられるのもAI手法です。この当たり前のことに気づかず上達が遅れた印象があります。勿論、難しいAI手法もあるので、そういったものは避けるのが賢明です。

徹底的に書かれた難しい本は現状だと読む必要はありません。ざっと書いてある本をさっと覚えましょう。

石の形

これは非常に重要な概念です。ですが、特におすすめの本とかはありません。

筋場理論のように言語化を目指した本もありますが、棋譜並べと実戦と検討で自然と体得するのが結局早いのではないかと思います。早いというより、これしか方法がないような気もします。筋場理論がしっくりくる方もいると思いますので、一読はしてみると良いかもしれません。

なんだかもやもやする言い方ですが、実際高段者になってみても碁はもやもやしっぱなしなので諦めてもやもやの中で少しずつわかることを増やしていくしかありません。

言語化しにくいというところがミソで、なんとなく言葉にしてわかりやすく他人に伝えることが大事という刷り込みがありますが、それは本質的な理解とは別の話なので、言語化出来ないことを必要以上に怖がらないことが大切です。

実戦と検討

これは言うまでもなく重要です。

考えても良い手は降ってこないので、最低限の質を保てる範囲で限界まで早碁で打ちまくるのが良いと思います。私は20秒碁⇒15秒碁⇒10秒碁と減らしていきました。早くすればするほど、実戦⇒検討のサイクルが上がります。

AIは必ず導入してください。◯段以上になってからとかそういうのはいいのですぐに導入してください。将棋も囲碁もギャモンも麻雀もやりましたがAIはあらゆる場面で圧倒的に有用です。個人的に否定する人の学習法は信用しないようにしています。新しいことが受け入れられないんでしょう。
AI is GOD

AI信奉者も信奉者で危ないのであまり信用しない方が良いです。

棋譜並べ

これも有用です。特に棋譜暗記は効きます。

最初期の囲碁の打ち方が分からないとき、初段の壁にぶつかった時、なんか囲碁がわからんくなったとき、全部棋譜暗記が効きます。

厳密に一手一手暗記する必要はなく、あまり固く考えず反復しまくるのがおすすめです。プロやアマ強豪、一定以上のプレイヤーの棋譜なら何でも良いです。解説なしでも、詳しい解説がついているものでも、それぞれ効果があります。が、出来るなら解説が詳しいものの方が良いと思います。

おすすめは中根先生の解説動画ですが、まだ数が多くないです。

入手困難ですが打碁鑑賞シリーズが一番わかりやすく、内容が良かったです。名局細解も難しいですが、ありだと思います。

現実的に手に入りやすい範囲で個人的なおすすめ本はないです。残念!

囲碁実況で代用しましょう。喋りながら早碁を打つというのは人類には無理だと思っているので、個人的には(勉強目的では)見なくなりましたが……

厚み(模様)

厚みと模様の違い、如何に模様を活かすか、攻めに使うか囲うのかというのはかなり難しい所です。

私は上記二冊がとても参考になりました。特に地を囲う4つの基本はおすすめです。

インストラクター

自分が打った碁を振り返るのはなかなか大変です。AIの評価値がそれほど変わらなくても無駄に局面の難解性、複雑性を上げてしまうこと等もあり、自分での検討は往々にして限界があります。

よって、棋譜診断などのサービスは積極的に活用した方が良いと思います。私は結局活用しませんでしたが、Xで「ここがわからない」と呟いて強い方に少し指摘して頂いただけで殻が破けた経験があります。

いまいち自分で振り返っても良く分からない棋譜を月に1~2くらいインストラクターに提出して添削してもらうというのはとてつもなく有用だと思います。

まとめ

大体全部で35冊くらいになりました(打碁鑑賞と名局細解は10冊程度読んだため)。実際はこの倍くらい読みましたが、内容としては35冊分と変わりません。

解説の詳しい現代の棋譜集というのが何故か存在しないため、つい最近まで中国語を覚えてやろうかと迷走したりしていましたが、なんとか目標を達成できて良かったです。

AI以後の名局細解や打碁鑑賞のような本がないのは本当に大変で、これがあればもっと早く上達できたのになと思わざるをえません。

勉強法について詳しく書かれた記事というのはあまりないので、これが参考になって遠回りをする人が減れば幸いです。

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