急須の街常滑へ①磯部商店さん
「常滑の急須」ときくと、どんな急須を想像しますか。「赤色の急須」というイメージがあるでしょうか。実際に行って出会った急須と、街の様子を紹介します。
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急須の名産地、愛知県常滑市にあるいそべ商店さんにお邪魔しました。
常滑市は知多半島の中部に位置しています。いそべ商店がある場所は常滑市駅からは車で10分程度。やきものの専門店があつまる「とこなめセラーモール」の一画にあります。50名程度の作家さんの急須や器を扱っているそうです。
レジェンドと呼ばれるような作家さんから若手の作家さんの急須まで見ることができます。平均年齢は70代といわれる常滑の急須の作り手では急須職人さんの世界では「50代でも若手」と言われるんだとか。生涯現役で作る作り手さんが多いのです。
海外から急須を求めてくる方も多く、「二日連続で急須を見に来た」という外国からのお客さんにお会いしました。「急須は注ぎ口、持ち手の部分もろくろで作られています。茶葉を漉すための網目はひとつづつ手で穴をあけていることもあります。何十年も急須を作り続けている職人さんが作ったものが、ひとつ数万円から買うことができることに驚く方は多い」といそべさんは話していました。
急須の注ぎ比べ
さて、今回の目的は急須を購入することです。
いそべさんでは、急須を注ぎ比べながら選ばせてもらいます。店内で気になった急須や、どんな急須を探しているかを伝え、急須選びがスタート。
釉薬のかかっていない急須は年を経て変化する楽しみがあると、千葉光広さんの急須を出していただきました。
水をいれて急須の注いでみることができます。注ぎ口からでる水量の違いや、蓋を閉じたときの蓋の重さ、等々、実際に試すとよく分かります。見た目は似ているようにみえる急須でも、実際に触ると個体差がこんなにあるなんて驚きです。
常滑の急須は赤い?
ちなみに、常滑の急須に赤い急須が多いのは、「朱泥」と呼ばれる酸化鉄を含んだ土を使ってつくるためだそうです。常滑には他にも「藻掛け」と呼ばれる、海沿いの常滑ならではの製法もあります。店内でいろんな種類の急須を見て回ると、常滑の急須は赤だけではないことがよく分かります。
これだ!と私が決めたのは独特な艶を持つこの急須。炭を近くにおいて窯で焼いているために、このような風合いに仕上がっています。
茶葉によって急須を使い分ける方もいるそうです。そうなるとどんどん楽しみが増えますね。急須の「沼」に足を踏み入れてみてください。