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【第2話】コスプレイヤー、異世界で視察に行く


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ルス
「ちゃんとした自己紹介もまだでしたね」
「私はルス。デザイナーをしています。彼は……」

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ウーヤ
「ウー」

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ルス
「ウーヤです」

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ウーヤ
「名前で呼ぶなって何度言ったらわかるんだトリアタマ」

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「あ、私は、推です。星野推」


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ルス
「スイ、よろしく」

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ルスさんは、まっすぐ目を見てくるので、私は思わず挙動不審になってしまう。
けれどルスさんはあまり気にした様子はなく、話を続けた。


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ルス
「ウーの仕事は……なんと説明したらいいのでしょう」

「……あれ、ウーって仕事してますっけ?」

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ウーヤ
「ルス、お前マジでいい加減に覚えろって!」
「俺は服着こなして、売るのが仕事」
「すーぱーかわいい俺が服を着てたら、欲しくなるだろ」

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ルス
「だそうです」

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(ウーヤさんは、モデルってことか)


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ルス
「私たちは、商人というより『レグルス』という名前で服を作っているブティックなのですが……」

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ウーヤ
「おいルス、居眠り娘への説明は後にしてちゃっちゃと納品しにいくぞ」
「せっかく死ぬ気で仕上げたのに、納品に間に合わなかったら元も子もない」

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ルス
「そうですね。急ぎましょう」

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私がぼんやりとしている間に、二人は慌ただしく馬車に乗って走り去った。


(嵐のようだった……)

ようやく緊張状態から解き放たれ、私はその場にしゃがみこんだ。

エラ
「スイ、お疲れ様」
「今、お茶を入れるわね」


「エラ、さん。ありがとうございます」

そう言って、エラさんはハーブティーとお茶菓子を準備してくれた。
ハーブティーは口に含むと、ほのかなレモンの香りが鼻を抜けていき、こわばった身体をほぐしてくれた。

エラ
「これで私たちは仲間ね」


「あ、そ、うですね……ただ」

私の緊張もお見通しとでも言うように、エラさんは柔らかく微笑んでくれた。

エラ
「ふふ、仲間って言われても困るわよね」
「まずは説明からね。えっと、どこまで話したかしら」


「お二人が『レグルス』というお名前で活動していると」

エラ
「そうそう」
「ルスは、たぶんあなたに『レグルス』の一員になってほしいんだと思うの」


「エラさんも、そうなんですか?」

エラ
「私は彼らの専属ってわけじゃないんだけど、よく一緒に仕事をさせてもらってるのと」
「彼らって、灰染め職人の私にも意見を聞いてくれるのよ」
「ちゃんとチームの一員として扱ってくれるところが好き」
「だから今回は特別に、『レグルス』として一緒にメルクリウスを目指してる」


「なるほど」

トントン拍子に話が進んでいることに、身構えていたけれど、話を聞けば聞くほど気分が高揚してくる。


エラ
「街の外に出たい、あなたにとっても悪い話じゃないでしょ?」


「はい。私が本当にお役に立てるなら願ってもないお話です!」

エラ
「なら、お茶を飲んだら、さっそくはじめましょうか」


「はじめるっていうと……」

エラ
「ルスたちが戻ってくるまでに、あなたの服を分析しないと」


「あ、そうでした」

すっかり忘れていたけれど、もともとはエラさんが私が着ていた服を分析するためにこの工房にやってきたのだ。
私は、慌ててお茶とお茶菓子を胃の中に流し込んだ。


「ごちそうさまでした!」

エラ
「そんなに慌てなくてもいいのに」
「でもありがと。じゃあ、さっそく!」

待ってましたと言わんばかりにエラさんは立ち上がり、私のもともと着ていた服たちに手を伸ばした。

エラ
「ああ、よかった。さっきのトラブルで服が駄目になっていたらどうしようかと思ってたのよね」
「えっとまずは上着ね……この服、名前はあるの?」


「えっと、一応、パーカーという種類の服です」

エラ
「なるほど。パーカーね」

エラさんは楽しそうに頷くと、パーカーのつくりをつぶさに観察し、そして縫製された部分を解いて分解しはじめた。


「え!?」

エラ
「大丈夫。あとで元通りに縫うから!」


(元通りに縫うっていっても……)

目の前でバラバラの布に戻っていく服を見ていると妙に落ち着かない。
けれどエラさんは目の前の服に夢中で、まったく気が付かない。

エラ
「へぇ、なるほど。この部分はこんなつくりになってるのね。興味深いわ」
「この開け締めができる金属部分……すごい……こんな精巧なつくりの服のパーツは見たことがない」

エラさんは目をキラキラと輝かせて、一心不乱に服を解いていった。

エラ
「うーん、勿体ないわ」
「このお洋服の技術を使ったら、優勝は間違いないけど」
「この金属は再現できる技術者が思い当たらない」


(そっか、ファスナーがこの世界にはないんだ)

エラ
「まぁ再現できたところで、どんなデザインにするかが問題なんだけど」
「あーーもう! ほんと、問題が山積みね」

エラさんは小さなため息を漏らした。


「そういえば、今回は『ファッション』がテーマなんですよね」
「ファッションって言っても幅広いですけど、何かジャンルは決まってるんですか」

エラ
「ないけど、あるってのが答えね」


「え?」

エラ
「毎回、選挙に合わせて、発表の場が用意されるんだけど」
「今回の目玉が『舞踏会』」


「舞踏会?」

また私が知っているシンデレラと共通する単語が登場した。


「それって、王子様の結婚相手を探す……みたいなものだったりします?」

エラ
「あら、噂に聞いていたのね」
「そうよ。皇太子の婚約者探しをするための舞踏会が催されるの」

単なる王子様でなく、皇太子。
具体的な単語に、なんとも言えない生々しさを感じた。


(童話そのものの世界ではなさそうだけど)
(まったくの無関係とも思えないわね)

エラ
「てわけで、自ずと今回のサブテーマは『舞踏会に着ていくドレス』になるの」


「なるほど、だから『ないけどある』なんですね」

エラさんの言葉を復唱するうちに、ふと気がついた。


「あ、でもそうすると……ドレスを着る婚約者候補も探さなきゃいけないってことですね」

エラ
「まぁね。でも一応女性であれば誰でも婚約者候補を名乗れるから、最悪の場合、私かウーが着ればいいわ」


「ウーさんが……!?」

エラ
「あら、ウーならきっと喜んで着るわ。誰よりも俺がかわいいって言って」


(確かに似合いそうではあるけど……)


「でもデザインはもちろんのこと誰に着てもらうかも、かなり重要ですよね」

エラ
「そりゃ、最終的に皇子のお眼鏡にかなう女性のドレスが有利なのは間違いないわね」

そう語るエラさんの表情がわかりやすく曇る。

エラ
「でも、本当の意味での婚約者候補なんて一般市民の私たちには伝手はないし、そもそも皇子が誰を選ぶかなんてわからない」
「ぶっちゃけ婚約者自体は内定してるでしょうし」
「で、皇太子お抱えの商人が用意したドレスを着るのよ」


「そういうものなんですか」

エラ
「そーゆーものなんです」
「あー……何かいいアイデアはないかしら」

エラさんが机に突っ伏して、うなり始めたそのタイミングでルスさんとウーさんが帰ってきた。


「あ、おかえりなさい」

エラ
「あー……おかえり」


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ルス
「ただいま戻りました」

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ウーヤ
「おい、アンタら、どうせアイデアなんて浮かんでないだろ」
「視察にいくぞ!」

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エラ
「ウー。ただいまくらい言ったらどうなの」

ウーヤ
「うるせぇ。どうせすぐ出るんだからいいだろ」

やいやいと言い争う三人を横目に、私一人首を傾げた。


「視察?」



360度、どこを見ても色とりどりの華やかなドレス。ドレス。ドレスの山。
メインストリートの一番大きなブティックにて。

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ウーヤ
「どうだ?」

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ウーヤさんがファッションショーを行っていた。


(たしか視察に来たはずなんだけど)

ウーさんはただ服をまとうだけでなく、服が見やすいように角度を変えて、ポージングを取っていく。
ポーズの一つひとつも、やけに様になっていて普段からこのような試着ショーを行っているのだろうことがうかがいい知れた。

エラ
「ウー、すごく似合ってる。レースから肌がちらっと見えるのがいいわね」


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ルス
「腰のラインが美しく見えるデザインですね」

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ルスさんもエラさんも真剣にウーさんのキレキレのファッションショーを見ていて、細かく意見を口にしていく
女性のドレスを着るウーさんも、意見を言う側も、明らかに慣れた様子だ。


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ウーヤ
「おい、アンタは? 意見、なんかないの」

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「え!? 私ですか!?」

ウーヤ
「アンタ以外に誰がいるのさ、ユーレイ?」


「すみません」

ウーヤ
「なんだよ、シャキッとしろよ。まだ寝てるってわけじゃないだろ」


(いちいち一言多いんだから)

内心ムッとするが、口には出さない。
たぶん顔には出ているだろうが、それ以上はウーさんも意地の悪いツッコミを入れる様子もない。
私はしぶしぶ重い口を開いた。


「えっと、それって女性のドレスですよね」


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ウーヤ
「似合うだろ」

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「あ、はい」

ウーヤ
「俺はすーぱー可愛いからな! なんでも似合うんだ」


(たしかに、否定できない。かわいい)

ウーヤ
「でもこのドレスは駄目だ。いらない」

にこにこしていたと思ったら、突然バッサリと切り捨てるウーヤさん。


(うわぁ……、店員さんめっちゃ睨んでるんだけど)

けれどウーさんはまったく気にしていなかった。

ウーヤ
「次、持ってきて」

ウーヤ
「うん、駄目」

ウーヤ
「ダーメ」

ウーヤ
「はい、だめ♡」

その後も男女問わず様々な服を着用して確かめては、ダメ出しをしていた。
最後の方には店員さんも早く出ていけと言い出しかねないほど怒っていて、見ている私の肝が冷えたというのに、ウーさんはどこ吹く風の涼しい顔をしていた。


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ウーヤ
「…………」

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ルス
「…………」

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エラ
「…………」

そして店を出るなり、騒がしかった三人がピタリと喋らなくなった。
近くのカフェのテラス席に掛けて、じっと何か考え込んでいるようだった。


「あの……どこが駄目だったんですか?」

沈黙に耐えかねた私は、遠慮がちにかねてからの疑問を口にした。

ウーヤ
「ハァ……」


「す、すみません」
「でも、どれも好みはあったとしても素敵なデザインに見えて……」
「あんなにバッサリと駄目って言うほど、ひどくは……」

ウーヤ
「まず、最初に着た水色のドレス」

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ウーヤ
「あれは銀糸をふんだんに使ってるから見栄えはいいが、重いしチクチクするし着心地は最低だ。これじゃ舞踏会で一番大事なダンスのときに綺麗に魅せられない」

「次の黄色のドレスは軽くて着心地がいいし、ステップに合わせたドレープの動きも悪くない。だがありゃ水に弱い。汗で駄目になる」

「それからその次は色が駄目だ。舞踏会は夜だ。照明を当てたときにくすんで見えるようなドレスじゃ埋もれちまう」

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「なるほど……」

ウーヤ
「こういうのは、見てるだけじゃわからねぇだろ」

ウーヤ
「だから着て、動いて、確かめるんだ」
「俺の趣味だからってわけじゃねーぞ」


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ルス
「裏を返せば、そこを解消するドレスをデザインできればいいんです」

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エラ
「そそ。色味に関しては、私に任せてもらったら、少なくとも夜に埋もれるような仕上がりには絶対にしないわ」


(すごい。私と同じものを見ていたはずなのに、見ているところも見ている量もぜんぜん違う)

視察といいながら、ファッションショーをして遊んでいるかのように感じていた先程までの自分が恥ずかしくて仕方なかった。
だから、その後、ゆっくりと言葉を噛み砕いて始まったディスカッションにもとても参加できる気がしなかった。

ウーヤ
「しかしどれもこれも派手だな」

エラ
「そうね。あんなに派手なドレスの中で目立とうと思うと……」
「いっそシンプルなデザインにしたほうがいいかもしれないわね」


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ルス
「ですが、ただシンプルなだけだと、いくら目立ったところで選挙には勝てません」

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彼らの話をぼんやりと聞きながら、賑わうメインストリートを眺める。
気が付かなかったが、もう間もなく日が落ちるという頃。
日本と比べて、照明が発達していないようだから、路面に出ている店は最後の大勝負とばかりに声を張ってお客様を呼び込んでいる。
活気のある姿を見ながら、ふと小さな疑問が脳裏をよぎった。


「あの……そういえば、舞踏会の会場ってどこなんですか?」

ルス
「お城と広場と両方で行う予定です」
「そしてお城は貴族を中心とした招待客しか入れませんが、広場は誰でも見れます」

エラ
「投票権一人一票だから広場で注目された人が強いんだけど」


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ルス
「ただ、広場はごった返してなかなかゆっくりは見れませんし、照明も不十分です」

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「なるほど……」

どこからか現れた男性の手によって、街灯にほのかな明かりが灯されていく。
影が伸びる。
間もなく夜だ。
それでも、ギリギリまで露天の商人たちが声を張り上げねばっている。


「舞踏会のとき、広場のお店ってどうなってるんです?」

エラ
「開いているわよ」
「人が集まるからよく売れるの」


「お店の人たちも着飾るんですか?」

エラ
「多少はね」
「でも、動きにくくなるから、ほとんど普段着と変わらないわ」
「それがどうかした?」

改めて商人の女性たちの服装を観察する。
パフスリーブ、くるぶしまである長い丈のくすんだ色合いのワンピース。
洗いざらしでボロボロになった腰エプロン。
エプロンとおそろいの生地で作られた三角巾。
多少、洒落た生地を使っている人もいるが、それでもほとんどが簡素なつくりのものばかり。

気になるのは、デザインだけではない。
長いスカートは重たく動きにくそうだし、ポケットに入らない手帳や小道具をいちいち裏に取りに戻っている。
とても使い勝手がいい服装とは言えない。


「だったら……」

ウーヤ
「なんだ?」

ぽつりとこぼした瞬間、ウーヤが前のめりになって笑顔で訪ねてくる。


「いや、でも……」


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ウーヤ
「だーーーーーー、もう!」
「言うのか、言わないのかどっちなんだよ、めんどくせぇ!」

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「ご、ごめんなさい」

ルス
「ウー、そんな言い方をしないでください」

ウーヤ
「だってさー、ウダウダする時間って無駄じゃんか」

ルス
「ウー」


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ウー
「はいはい」
「悪かったな」

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「い、いえ。大丈夫です。私が悪いので……」

ルス
「スイ」


「は、はい!」

不意打ちの呼び捨てに、心臓が大きく跳ねた。


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ルス
「君の意見を聞かせてくれませんか」

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「でも、その……」
「……私、こういうの考えたことないんで自信がなくて」
「皆さんみたいに、細かいところまで観察して気がつくこともできなかったですし」


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ルス
「可愛いから大丈夫」

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「へ!?」

ルス
「君が先程作ったドレス、どれも素晴らしいものでした」
「ただ隠す、誤魔化すといった雑なものではなく、デザイン性が高く機能的で……」
「本当に可愛かった」

微笑むたびに、銀糸のような柔らかい色合いのまつげが光の粒をまとってキラキラと輝く。


(自然光すら味方につけるなんて、チートだ。羨まけしからん!)

ルス
「だから大丈夫です。むしろ是非聞かせてください」


「……わかりました」

ルスさんの優しい微笑みに背中を押され、覚悟を決めた。


「あの、まずですね」
「ターゲットを変えるのはどうでしょうか」

ウーヤ
「ターゲット?」


「はい」
「舞踏会用のドレスを作った場合、着るのは絶対に一人ですよね」

ルス
「まぁそうですね」
「オーダーメイド品ですから」


「そうすると、売上も一人分」
「それって、そもそも商売として先がないですよね」
「もしかしたら、その形やデザインが後々流行するかも知れませんし、別のオーダーが入るかも知れませんが……」
「街一番の商人を決める選挙なのに、なんだかミスマッチに思えます」

エラ
「言われてみれば……」


「だから純粋に、舞踏会の場を利用して『服を売る』にはどうしたらいいか考えてみたんです」
「舞踏会用のドレスじゃなくて、商人のドレスを作るのはどうでしょう」


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ルス
「商人のドレス、ですか」

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「はい。観察してみて思ったんです」

「商人の女性の皆さんは誰も彼も同じような服を着ていますが、正直とても動きにくそうです。使い勝手もよくない」

「だから動きやすくて、可愛いドレスがあったら、売れると思うんですよ」

「それに商人のドレスであれば、一人だけじゃなくて大勢が同じドレスを着ることになるでしょう」

「ごった返す広場でも目立つんじゃないでしょうか!」


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ウーヤ
「舞踏会で話題になれば、商人だけでなく、侍女やメイドたちにも売れそうだな……」

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エラ
「確かに!」

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ルス
「…………」

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「……どうです?」

押し黙ってしまったルスさんに、恐る恐る尋ねてみるが、一向に返事がこない。


「ルスさん?」

ルス
「…………」

ルスさんは私に答えることなく、無言で立ち去ってしまった。


「え?」


(ど、ど、どういうこと?)

訳がわからず、助けを求めるべくウーさんとエラさんの顔を見る。

ウーヤ
「…………」

エラ
「…………」


「あの……これって」


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ウーヤ
「合格ってことだ」

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「ご、合格ですか?」
「でも、何も言わずにどこかに行ってしまったんですけど」


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ウーヤ
「あれはアイデアを早く形にしたくてたまらないってときのルスだ」

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「じゃあ」


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ウーヤ
「ああ、悪くないと思うぜ」

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ウーヤ
「でもルスじゃあ『機能的』の部分のアイデアは残念な仕上がりになるな」


「そう、なんですか?」

エラ
「そうね。ルスだからね」

意味ありげな物言いに、私は一人首をかしげる。

エラ
「……そこは私たちの出番ね」
「スイも、もっと具体的なイメージできてるんでしょ?」


「あ、はい。一応」

エラ
「じゃあルスが暴走しないように、早くフォローしに行きましょ」

エラさんは私の手をぎゅっと握りしめ、元気いっぱいに駆け出す。


「わ、わ、エラさん、待って!」

エラ
「フフ、ルスじゃないけど、私も待ってなんていられないわ!」


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ウーヤ
「だな!」

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私たちは再びエラさんの工房に集まって、ドレスについて話し合った。
今までと違って、アイデアが湧いて湧いて仕方がない。
話がヒートアップした結果――

ルス
「……これで、完成ですね」

気がついたら朝を迎え、気がついたらドレスの試作品ができあがっていた。
全員のアイデアと技術を詰め込んだ文句なしの仕上がり。
間違いなく売れる。
そう意気込んで街に繰り出したが――


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ルス
「…………」

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ウーヤ
「…………」

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結果は惨敗。まったく売れなかった。


next→【第3話】コスプレイヤー、観劇にいく


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