BRAIN


キャッチコピー

人間は死なない。「脳」さえあれば。

あらすじ

 西暦2350年。人類は未知の病魔によって、全世界人口が1憶人を下回っていた。病魔に侵された人間は自らの体を冷凍し、特効薬が生まれるその日まで眠る。人体冷凍保存機関「フリージア」の研究員たちは、病魔に対抗するべく、伝説の頭脳・アインシュタインの脳を蘇らせるため、保存期限切れの人体の脳を使い、実験を繰り返していた。
 そしてある日、デバッグ用に解凍した300年前に凍結された人間が、実験中に目を覚ます。
 300年前の人間「ギンジ」の脳は、当時の未発達な凍結技術により細胞の癒着や潰滅が発生し、人間性を失っていた。
 「ギンジ」の脳を元通りに復元できるだけの最新技術会得のため、研究員たちが動き始める。

1話ストーリー

 西暦2350年、未知の病魔により全世界人口が1億人を下回った世界。その世界のとある場所に、人体冷凍保存機関「フリージア」が存在している。
 その日から配属になった真面目でおっちょこちょいの所員「ムギ」が、ヒグマのような体格の配属先の部門長である「ハンネス」に案内されながら、研究所内を歩き回る。
 研究所は、人体の冷凍保存部門、解凍部門、技術研究部門に分割されており、ムギは技術研究部門に配属された。
 冷凍部門では、自らの冷凍を希望する人間は何らかの病に侵されていることが大半なため、研究所員は全員防護服を身に纏い職務に当たっている。
 解凍部門では、凍結当時治療不能とされていた病を患っていた患者や、未来を見るために自ら凍結を希望した人間を解凍している。フリージアは、およそ100年前以降に凍結された人体であれば問題なく解凍できる技術を有しており、目覚めた人は、少し老けた家族、もしくはその子孫たちと対面を果たす。
 技術研究部門では、冷凍体保管庫がすべての壁に天井まで設置されている。中に入っているのは、保管期限の切れた冷凍体や、支払いが滞り、契約不履行となった冷凍体である。技術研究部門の研究員たちはその冷凍体を使い、日夜研究にいそしんでいる。
 技術研究部門に課された課題は、冷凍体の復元の他にもう一つ、切り刻まれたかつての天才・アインシュタインの脳を復元することである。
 世界人口が減り、天才的知能を持つ人間の母数が減ったことで、人類は未だ治療法のない病魔への対応策を打ち出せずにいた。そこでかつて歴史に名を遺した天才の脳を復元し、その知能を利用しようと考えた。
 技術研究部門に戻ってきたムギとハンネスは、「2050/ginji」とラベルの付いた冷凍体・ギンジに向き合う。2050年は病魔が蔓延しはじめ、人口が急激に減少しはじめた年であり、ギンジはその年に山のように保存された冷凍体の一人である。
 研修としてギンジの解凍を行い、脳や内臓、眼球等を解剖して、300年前の冷凍体の状態を観察する。
 解凍を行うと、ギンジがわずかに身じろぎをした。ムギとハンネスは顔を見合わせた後すぐに蘇生措置を行い、ギンジは目を覚ました。
 しかし、ギンジの眼には何も映っていないばかりか、耳も聞こえず、触覚も失われているようであった。
 ムギはギンジを蘇らせた人間として、ギンジの脳機能を取り戻すために動き出すのだった。

2話以降のストーリー

 ギンジの脳はひどい状態で、なぜ動き出せたのか不思議なほどであった。試行錯誤を尽くし、何とか発声を行ったり、自分の意志で体を動かせるまでに回復したが、未だ耳は遠く、眼もほとんど見えていない。しかし、300年前に凍結された脳を活動状態にまで復元できたのは、これが初めてのことだった。ギンジはリハビリを行いつつ、定期的に脳の検診を行っている。冷凍やけで使い物にならなくなった臓器や皮膚は捨て、比較的近代に保存された冷凍体のパーツを切り取って使用した。
 実験に使用された後の冷凍体は、ジャンク体買い取り業者に引き取られ、細かくパーツが分けられ、使える部分が売りに出される。フリージアに訪れていた業者のベンジーは、リハビリを行うギンジを見て「ジャンクならただ同然のレベルだったのに、すげえや」と感心しきりだった。
 ギンジの人間性は戻らないが、所員に導かれるままに歩いたり、音のしたほうに反応したりするようになった。たまに叫び声をあげることもあった。
 300年前に保存された冷凍体だったギンジは、念入りに検査を行った結果、病魔には侵されていないようで、おそらくギンジの家族が病魔への感染を恐れ、ギンジの体を保存したものと思われた。すでに何百年も前にギンジの家族は他界していたが、それからしばらくは支払いが続けられていた記録があった。

 ギンジは何度も脳の修復作業を行い、そのたび回復していった。しかし、人間としての意識を取り戻した日から後の修復では、かならず修復の前と後でまったく違う人格になってしまっていた。脳の欠けた領域を補おうと、ほかの領域が過度に働く結果、全く別の人格が生まれているように見えるのだった。
 修復作業を行うと、その前の記憶がリセットされ、新たな人格が宿るギンジに研究所内は湧き、新たな論文を量産した。ギンジは研究所内で暮らし、冷凍部門や解凍部門に歩いて遊びにいくようになる。
 解凍部門で家族と再会する元・冷凍体の人間を見て、ギンジは記憶を断片的に取り戻すようになる。
 取り戻した記憶がキーとなり、この世界の「病魔」とは何なのか?治療法はどこにあるのか?を紐解いていく。

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