見出し画像

肉に塩をかける2つの相反する理由


『肉に含まれる水分を抜く、そして肉に含まれる水分が抜けないようにする』

塩は、この2つの効果を同時にもたらします。

【音声解説】 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【話す前に作った原稿】 / 音声より詳細な内容を記載👇


こんにちは、SHOです。このチャンネルでは、「料理をもっと深く味わう」をテーマに、レシピ紹介だけでなく、僕自身が疑問に感じた事をベースとし、科学や歴史、経済など幅広い観点から”食”を考えていきます。

「お肉をどうすれば美味しく焼けるか」

前回あげた動画「トマトソースのポークソテー」では、チェックポイントを大きく3つ設けています。その中でも今回は、一つ目のチェックポイント、「肉の下処理」における塩の重要性とその効果についてお話ししようと思います。

一般的に、肉を焼く前に塩ってかけますよね。塩だけでなく、「下味には、まず塩胡椒!」っていう、料理を殆どしない人でもこの工程は自然と行っているんじゃないでしょうか。

僕自身もあんまり考えずに今までやってましたが、

よくよく考えたら塩と胡椒ってなんで振るの?って思い、調べていくと、
結構面白いことが分かりました。

塩。塩は凄いです。

肉に塩を振れば当然「塩味」が付きます。口の中で塩の味を認識し、
肉の旨味が引き立つ。だから、塩を振る。

でも、それだけじゃないんです。塩が果たしている役割はもっと多い。

肉には、水分が含まれています。ただ実際には、この水分というのは、必要なものと不必要なものの2種類に分かれます。「キノコの炒め方」の際も話したんですが、肉や野菜、動物、ひいては人間を含む全ての生物には水が必要です。ただ、人間に汗をかいたり、尿をして余分な水を出す必要があるように、肉も余分な水分は出さないといけません。

それを助けてあげるのが、塩の役割です。

今回のレシピでは、まず塩胡椒をし、10~15分放置しました。この間に何が起こっているかというと、塩による肉に含まれる無用な水分の脱水です。これをしないと、塩味がないだけでなく、肉にハリが生まれない。

では、なぜ”10~15分”か。もっと1時間とか2時間放置したらダメなのか.....

ダメなんです。

必要な水分は残さないといけません。何故かって、この水分が焼いた肉を食べるときに感じられる”ジューシーさ”を生み出しているからです。肉の元々の水分量は約50%、脂肪が35%、そして、残る15%がタンパク質なんですが、
肉がもっとも”ジューシー”に食べられる水分量は42%。
このギリギリまで水分を抜き、これ以上は抜かない。

一体、どうすればいいんだ??

塩は矛盾ともいえる二つの役割を果たします。そう、

「肉に中にある水分を抜くのと、
肉の中にある水分が抜けないようにする」

この2つです。

塩を振る事で、内側にある筋原繊維やタンパク質の構造が変化し、
タンパク質が溶け出して、表面をまとい、それがシールドになって、
肉の保水力が約10%もアップします。

「水を出し、水を止める」

この難しい役割を塩が自動的に行ってくれる丁度いい按配が
”10分~15分”という時間なんですね。

だから、今回のトマトソースのポークソテーのレシピ動画で見てもらうと、塩をして15分ほど放置しておいた後、キッチンペーパーで拭き取っています。

せっかく塩が出してくれた余分な水分を、肉の表面に残さない為です。
この様にする事で、美味しい肉を焼く上での下準備が完成します。

普段自然と行っていたその作業、軽い気持ちで振っていた塩が、
こんな凄い働きをしていたなんてビックリ!感動しました!

結論、塩は凄いです!!笑

次回の動画では、「お肉をどうすれば美味しく焼けるか」の第2行程
「火入れ」についてお話ししようと思います!!

いいねと思った方、応援したいと思った方は、是非是非チャンネル登録よろしくお願いします。このチャンネルでは、レシピに加え、
以上のような知識や情報もお届けしています!!

ではまた!

👉『SHO』 YouTube チャンネル 👈 


🔵 参考文献

【Using Salt as a Food Preservative】
https://www.verywellhealth.com/eat-it-with-a-grain-of-salt-1958878#:~:text=Salt%20is%20used%20to%20preserve,of%20osmolarity%2C%20or%20water%20pressure

【The Science of Salt】
https://www.finecooking.com/article/the-science-of-salt

【ベーコン研究~塩抜きと乾燥~】
https://ameblo.jp/cafehiko/entry-11045872223.html

【肉料理を完成させる塩使いのルール】
https://funq.jp/buono/article/452402/2/

【パレ・ド・Z〜おいしさの未来〜#17_髙良康之(Restaurant L'affinage)】
https://www.youtube.com/watch?v=6l8twY8qMJE

【調理科学×肉の事典 (食材事典シリーズ) 】
https://www.amazon.co.jp/調理科学×肉の事典-食材事典シリーズ-朝日新聞出版/dp/4023332739

【赤ワインにはステーキ!安いステーキ肉を高級肉並みに柔らかくする方法】
https://wine-mellow.com/4450.html

【牛肉をやわらかくするポイントは、お酒。そのメカニズムとは?】
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2017/09/post-448.html

【kurashiru [クラシル]【永久保存版】ミシュランシェフが教える名店の味「鶏の唐揚げ」【#おうちでsio vol.3】】
https://www.youtube.com/watch?v=GOVBWb_xiUI&t=208s   

【小林幸司の世界:【鶏もも肉の美味しい焼き方!】身はプリプリでジューシー!皮はパリパリ!~イタリアンの鬼才・小林幸司シェフが鶏もも肉のソテーを詳しく解説しながら教えます~】
https://www.youtube.com/watch?v=cof1b2gYy3Y  


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?