トナカイ

2. 「バランスの取れた国」フィンランド—ジェンダーフリーと社会保障—「フィンランド・パリから10タイトル」


さて、本編投稿2本目になります。

ヘルシンキ市内では、カウチサーフィンを経て知り合った現地男性と観光していました。


その中で出てきたキーワードがこれ。

フィンランドは「バランスの取れた国」である。 


これは良く知られた話ですね。

先日、フィンランドの「ベーシックインカム導入」が話題になりました。

これはイギリスのテレグラフ、タイムズといった伝統紙が、フィンランド地方紙の記事を読み違えたことによる誤報とされましたが、「究極の社会保障」と評されることもあるベーシックインカムの話が出るほどに、フィンランドの社会保障は充実していることで有名です。

たとえば、義務教育費の国庫負担制度が挙げられます。

小学校から大学卒業まで、教育費は無料になっています。もちろん私立となると別途料金が必要になると思いますが、

99%の学校が公立、大学はすべて国立のため、例外的といえるでしょう。(「フィンランド共和国教育事情調査報告」文部科学省 参照)


しかしながら、このように社会保障の充実した国として、社会主義的な一面、つまり「財やサービスの多くを国が管理している」面がある一方で、欧州の一国として、欧米的な一面が見られるのも事実だと感じました。

それが、ジェンダーに関する価値観です。


表紙画像は、フィンランド・ロヴァニエミ、「サンタクロース村」のお土産ショップで販売されていたマグカップです。雄雌2匹のトナカイがイチャラブしている絵が描かれているのですが、今回の旅で感じたことのもう1つに、


「フィンランドは、性に開放的な国」

というメッセージがあります。

これは耳学問ですが、現在までに社会で活躍されている企業や団体の女性の責任者には「男女平等という言葉で女性を甘やかすな」とおっしゃる方も多いと聞きます。つまり、女性を現行制度以上に優遇する制度に対し、否定的な意見を持っているわけですが、それは「厳しい社会の中で、それでも這い上がってきた。」「理不尽にも立ち向かいながら、周囲に尊敬される立場に立てるだけの努力をしてきたんだ。」という、自身の経験則にもとづく強い信念なのだろうと推測できます。


この点に注目して1つだけコメントしたいのは、

ジェンダー問題は男性・女性どちらか一方の課題や姿勢を問うだけでは不十分だということです。男性は異性である女性に限らず、家族や自身のパートナーの人格・思いを尊重し、互いにとって無理がなく、納得のいく形で仕事や家事、価値観がシェアされていることが大切だと思います。それは女性にとっても同様です。当然、自己に向けられる不利益や理不尽に対しては強く主張・抗議をしていくことが求められますが、一方で、夢やロマン、野望のような大きなビジョンを抱いていらっしゃる女性も私はとても素敵だと思います。「女性だから優遇する」、「男性だから〜...」という一辺倒な見方をしてしまうと、それによって自尊心を傷つけられたように感じてしまったのかもしれません。

これは3月8日「国際女性デー」に際し、コメントする機会があったので、それを抜粋してみました。


あなた自身はもちろん、周囲の人たちは皆、それぞれ個人の価値観を持っています。私たちは、友人・家族としてその考え方を尊重することが大切です。そして、お互い気持ちよく生きていくためには、認め合い、歩み寄ることが必要になってくると思います。

ヘルシンキで出会った彼は、私の価値観を認めてくれながらも、自身の「若かりし頃の事情」に関しても話してくれました。ギャンブルが市民の日常に溶け込んでいる生活にも内心ビックリしました。でもそれは、彼らにとっての「当たり前」であり、その日常を知ることができたのは本当に貴重な機会でした。


自分自身を相対化すること。これが、「社会」で生きていく人間には必要な姿勢だと強く感じる旅になりました。


今回、社会制度・慣習の側面からフィンランドの「バランスの良さ」を垣間見ましたが、また別の視点からも「バランスの良さ」を実感することができました。そちらフィンランドの建造物に関してですので、お詳しい方はその際コメントをいただければと思います。

それでは、また。



                                ぽっぽ

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