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休むのがヘタクソ

今日は有休を取り、遊び回っていたけれど、湘南台の駅改札を出て、5分くらい動けなかった。
急に家に帰ることに対して虚無になり、石化までは行かないけど、足の裏から根の生える感じで「ぽわーん」と立ちすくんでしまった。
駅改札を抜けたど真ん中に立ち、動きたくても動けなくなった私の異変に通行人は気づくだろうか。
気持ちの問題だろうけど、たまにこういう状態になる。
「明日の仕事のためにも、早くおうち帰ろうね」
と、自分に声かけして、ようやく家に帰れる状態になったけれど、普段から職場に出社することより帰宅することの方がエネルギーがいる。

今度は乗り継ぎ電車から降りられなくなった。最寄駅になっても降りる気がしない。
これが通勤ならピシッと降りられるのに、無気力でどうにもならない。
「家に帰りたい」以前に「何もしたくない」という気持ちが勝って、最果てまで連れてかれそうだ。

仕方なく降りた、数駅先のベンチに身投げした。
硬いベンチに身を委ねていると、どこからともなく練り消しみたいなバニラの匂いがして、平成が頭に広がった。なんだよ練り消し臭。このまま私を練って、消してくれ。

「このベンチの硬さは、数年前に瀬戸内の島に行った時、連絡船待ちで昼寝したベンチの硬さに似てるな」とか、そんな思い出にしがみつきながら辛うじて正気を保つ。
そして個人商店も開店休業な離島で、港の近くにあるコカコーラの自販機に並ぶ缶コーヒーの甘さが空きっ腹にコウカテキメンだったことを思い出し、2024年の私も駅の自販機で缶コーヒーを買おうかとひらめく。

でも140円は高いな。
「今日は帰って寝るだけなんだろ?そんなヤツに140円も課金してどうする?」と私に手厳しい私が私を責める。
それから私が私を責めるたびに、今度は責められる私が苦しみだして、分離されるし、今度は「傍観者の私」「仲介者になれない私」と私の中の私が増殖し、どんどんワケのわからないことになっていく。ヤな感じだ。
わかりやすく?イメージすると、ぷよぷよに出てくる透明なお邪魔ぷよが6段くらい落ちてきて、せからしいBGMが流れてくるような、そんな感じ。透明な重さに息詰まる。

ちなみにその場は「140円はお前に前借りしてやる。だから甘えろ」と月末からタイムリープしてきた設定の私が出てきて、ひと騒動は終わった。缶コーヒーに甘えた。




しかし、なんとか家には帰れたけれど、しんどいな。
ペース配分が悪いのか、帰巣本能を持たずに生まれてきたのか、家に着く前に力尽きそうになることが多い。
あまり人には理解してもらえない悩みなんだが、私は休むのがヘタクソだ。

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