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Statement: pacific ocean parkについて

0. はじめに

 はじめまして。pacific ocean parkの主催者、管梓(エイプリルブルー/ex. For Tracy Hyde)と申します。このたびは7月16日(日)の初回を皮切りに定期開催する予定のシューゲイズ/ドリーム・ポップ特化型イベント・シリーズ、pacific ocean parkについてお話しようと思います。
 個人でイベントを開催するのははじめてではなく、コロナ禍以前の2015年から2019年にかけては毎年8月に渋谷Lushにて近しいジャンルの企画を開催していたほか、Sobs、Cosmic Child、Thud、Subsonic Eyeといったアジア圏のバンドのツアーも組んできました。そうして培ってきた経験とノウハウを活かしつつ、今回は心機一転、イベント・タイトルを統一したシリーズとしてpacific ocean parkを開催していこうと考えています。いままでは都度イベント・タイトルを変えていたのに対して、安心と信頼のおけるブランドとしてpacific ocean parkの名を確立し、「ドリーム・ポップ好きはこのイベントを押さえておけば間違いない」というひとつの傘として国内外を問わずたくさんのアーティストやリスナーの方々と関わらせていただけたら幸いです。

1. イベント・タイトルについて

 イベント・タイトルの由来となっているパシフィック・オーシャン・パークは1958年に開園、1967年にその短い歴史を終えたカリフォルニア州サンタモニカの実在の遊園地の名称です。その名前をイベントのためにちょうだいしようと思った理由は3つあります。
 まずは単純に「自分と同じようにシューゲイズやドリーム・ポップを愛する方々にとって、新しい音楽と出会える遊園地のような楽しい場所になって欲しい」という思いがあること。名前に素朴でノスタルジックな響きがあるのも気に入っています。略すとPOPになるのもいいですね。
 次にPacific、つまり太平洋という単語が含まれていること。イベントが軌道に乗るまでは予算などの都合で国内のアーティストに焦点を当てざるを得ないと思いますが、将来的にはこれまでに携わってきた来日ツアー群の延長でアジア各国のアーティストを招聘し、日本との文化交流、アジア全域のシーンの連帯などに貢献できたらな、とぼんやり考えているので、太平洋を想起させるこの名前はそのヴィジョンにぴったりというわけです。
 最後は音楽史的な含意の話になりますが、パシフィック・オーシャン・パークは僕が敬愛するThe Beach Boysのブライアン・ウィルソンのお気に入りの場所だったらしく、実際にこの遊園地でバンドのプレス・フォトの撮影などを行なっています。インスピレーションを得たり気分転換をしたりするために足繁く通っていた場所のようです。たった10年足らずで閉園してしまった遊園地が、おそらく人類が滅びるまで語り継がれるであろう天才の生み出した傑作の数々の背景にあると思うと、なんだか感動しませんか。この儚さと永遠性の並置は長年にわたり僕が音楽を通して表現しようとしているテーマのひとつであり、ドリーム・ポップとも親和性の高いもののように思えます。

2. 開催目的

 ライブ・イベントの第一義なんて当然「お客さまや出演者にとって楽しいひとときをつくること」に決まっていて、pacific ocean parkの目指すところもそこなのは言うまでもありません。なのでお客さまにはそれ以上に難しいあれこれを考えていただく必要はまったくないのですが、お客さまのなかにいらっしゃるかもしれない未来の出演者のために、主催者として開催の目的や目指しているイベントのあるべき姿、出演者にご提供したいと考えているメリットを簡単にご説明します。

  1.  脱中央集権・脱一極集中によるシーンの多様化

 シューゲイズ/ドリーム・ポップに限らずインディ・ロック周辺の多くのニッチ・ジャンルについて概して言えますが、アーティストやイベントが東京に一極集中しがちなのが実情です。特にシューゲイズ/ドリーム・ポップに関して言えば文字通り定期的に開催されているジャンル特化型イベントが東京にしかなく(しかもひとつしかない)、寡占状態にあります。この状況で問題になるのがジャンル/シーンを俯瞰するキュレーターの不足です。ひとつのイベントをひとりの人間が主催し続けると視点の偏りは免れえず(これは批判ではなくあくまでも不可避な事実として述べています)、ましてやジャンルを代弁するイベントがそのひとつしかないとなると受け手も視野が狭まってしまい、「このイベントがこのジャンルのすべてなんだ」という誤解が生じるリスクがあります。同じアーティスト群が同じイベントに出続けるだけのシーンに多様性や広がりを期待するのは難しいです。そこでオルタナティブ/カウンターたりうるイベントを打ちたてて既存のイベントとは異なる視点で柔軟にブッキングを行ない、各地に散らばっているアーティストや、近い場所を拠点としながらまだお互いにつながっていないアーティストを集めることで、シーンの多様化に貢献したいと考えております。
 とはいえこの目的を果たす上で、都内でイベントを展開しているだけでは限界があるのもまた事実。出るべきイベントがない地域で活動するアーティストにとって、目標を持って活動し続けることが困難なのは想像に難くありません。将来的には出張編として他都市でもイベントを開催できるよう、東京を第一歩としてpacific ocean parkのブランド・バリューを築いていきたいです。ゆくゆくはフェスやサーキット・イベントもやりたいなあ。

2. 健全で持続可能な活動環境の醸成

 多くのアーティストの共通の悩みとして、活動の収益化があります。当たり前ですが活動の元手となる資金がなければ制作や演奏などの活動を継続することはできません。進歩的なライブハウスやイベンターが増えたことによりシーン全体でノルマ制の撤廃や新たな収益モデルの模索などが進んではいるものの、依然として搾取構造が存在しバンドたちの伸びやかな成長を阻んでいます。
 pacific ocean parkではノルマや機材費などの徴収を行わないのはもちろんですが、その上出演者全員に絶対にお金をお持ち帰りいただけるよう、動員に左右されない最低保証として主催者からお渡しする出演料を提示させていただいております。自分たちが音楽をつくり、それを人前で演奏し、対価として金銭を得る、という経験は物質的にも精神的にも未来の活動の糧となるだけでなく、僕の経験から言えば「よりよい楽曲を、そしてよりよい演奏をお届けしたい」という向上心やリスナーの方々への責任感にも繋がります。こうした積み重ねがより健全な活動環境を育むのではないかと期待しております。

3. 最後に

 という具合に長々と書いてきましたが、要するに「みんなにとっていい日になるといいね!」という一心です。7月16日(日)開催のpacific ocean park #1、詳細は以下の通りです。ぜひ遊びにいらしてください。
 いよいよ2ヶ月前ということで、来週から1週間に1組ずつ出演者をご紹介しようと思います。

pacific ocean park #1
16th July (Sun) 2023
Shindaita Fever
Open 17:30/Start 18:00
Adv. ¥2500/Door ¥3000 (+1 drink)
U-18 ¥1000 (+1 drink, ID required)

MoritaSaki in the pool
Moon In June
くゆる
エイプリルブルー
aoihr

ご予約:各出演者またはpacificoceanpark2023@gmail.comまで 


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