泣きたい夜を越えて

夜の街には若者が溢れている。おそらく、学生だろう。ふと、そんなことを考えながら僕は歩いていた。
今日は日曜日。明日から仕事だというのにこんな時間に街を歩く社会人は少ないだろう。だとすると、この街に活気を与えて歩く若者は学生なのだろう。
人混みを闊歩する若者は明日への憂鬱なんてものを微塵も感じさせない。僕は少しの酔いを残し帰路に就く。

1年前の僕へ

こんな僕の姿を見たら君は漠然と不安感を抱えてしまうだろう。
君は大阪を出て愛知に来てから1年になる。
こっちには同年代の友人はほとんどいない。
営業所内で平成生まれなのも僕だけだ。
今も僕は寂しさ感じ、漠然と将来が憂鬱だという気持ちを抱えている。
仕事は1年間は君は思うようにいかない。
営業職で入社した君は苛立ちを募らせる1年間となるだろう。
君は1年間建設現場での作業や、トラックでの配送をすることになる。
「わざわざ愛知まで来て、なんでこんなことしなあかんのや」
君はずっとそう考えることになる。
なぜそんなことを思うのかというと、求人票とはかけ離れた現実を目の当たりにするからだ。
君は1年間そのことについて会社に噛み付くだろう。
いや、今の僕も噛み付いている。
側から見ると、まさに僕は『権利を主張し吠える若者』だ。
確かに、ここまで条件が違うと吠えるのも仕方がない。と、考えている。
もしかしたら、それが『ゆとり世代』と上の世代には映るのかもしれない。


泣きたい夜を幾度となく経験する君へ

君はこの1年間で気づくことがある。
とても大切なことだ。
仕事には関係しないことだろうが、君はとても大切なことに気づく、いや、気づかされる。
1つ目は、友達に対する感謝の気持ちだ。
愛知にまで、大人数できてくれた高校のクラスメート。
大阪に帰ると、いつも誘ってくれる地元の友人。
君は、地元を離れることで友達の大切さに気付くだろう。
2つ目は、愛知での縁と言うべきか。
君はこっちでも多くの人に面倒を見てもらうことになる。
スーパーに行くと家で握ったおにぎりをくれる店員さん。
缶チューハイを飲むのに付き合ってくれるスナックのママ。
「いらっしゃいませ」が、いつの間にか「おかえり」に変わった海鮮丼屋の大将。
アドバイスをくれながら愚痴を聞いてくれる服屋のオーナー。
特にトラックのドライバーさん達は君のことを気にかけてくれるだろう。
また、君は夜の街で色々な大人の人からお酒をご馳走になる。
栄で知り合ったお兄さん達から夜の街の楽しみ方を学ぶこともある。
僕も薄々考えることはあった。こんなことを自分で言ってしまうと小っ恥ずかしいものだが、『天性の人懐っこさ』が備わっていると思う。
君はいつも寂しいと考えていると思う。
しかし、こうやって世話を焼いてくれる人達が君の周りには沢山いる。
今の僕にも伝えなければならない。
そこまで寂しがることはない。

書きたいことはまだまだ沢山ある。
しかし、明日も仕事だ。そろそろ寝なくてはいけない時間だ。
最後に1つだけ伝えておこう。
睡眠は本当に大切だ。無駄な夜更かしは避け、しっかり寝ることを意識しなさい。

一旦ここで、筆を休めるとしよう。

#社会人一年目の私へ

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