忘却力
かなしいことがあった。
夜のできごと。
日中の疲れもあり、ひどく凹んでしまった感触。
ひととすこし話した。
かなしみを言葉に変換して型取り、背負ってしまったものをすこし下ろさせてもらって、凹んだこころがすこしぽこんとふくらんだ。
眠れそう。
明日の朝にはまたすこしかなしみが癒えて、顔を洗って、ふとした瞬間に思い出してちいさな傷を自分で生んでしまって、でも目のまえの生活を続けて。
当たり前だった生活を営めるだろうイメージが湧いてきて、ああきっといつもの暮らしを営めるんだ、って。
それでいいのかな。
かなしみを繰り返すような選択で。きっとまた違うかたちで、同じ質のかなしみはやってきて、こころを傷つけていくよ。
それでも、眠ることはたいせつ。脳の疲れを癒して、必要なことは引き出しにしまい、傷みは補修する。
忘れることは、人間が生きていくために欠かせない能力。
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