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コラム「わたしが付き合ったドローイングペン達」

といわけで、日々点描を打って過ごしている34です。
前回の「うっせぇわ」の記事にいいねをくださった方、
ありがとうございました。

ときに、みなさまは0.05mm以下のペンが売られているのを
ご覧になられたことはありますでしょうか。

こんな細いペン使う人本当にいるの?何に使うの?

そう疑問に思ったことはありませんか。

結論からいうと、

細密画というジャンルの作家が熾烈に愛して使っています。

今回は、日々点描を打っているわたしが、
今までに使ってきたペンの使用感を紹介しようと思います。



0.そもそもなぜ細いペンが必要なのか


細いペンが必要な理由には

・小さめのキャンバスを愛用している。
(ここでいう小さめとは、1辺が1m以下を指します。)

・細かい描き込みをしたい。

というような理由もあるのですが
わたしの場合、一番大きな理由は下の画像にあります。

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これは、太さの違うペンで点描を打ったものです。

ペンが細くなるほど、なだらかなグレデーションができることが
おわかりいただけますでしょうか。

このように、なだらかなグラデーションを追い求める
という深みにはまっていくと
自然と細いペンへ、細いペンへと手が伸びていくのです。

とはいえ、長時間付き合うものですから
使いやすさも大切になっていきます。

最終的にどれを使いたいかは好みですので
色々試して自分にあったものを選ぶのがよいと思います。



1.王道の「ステッドラー ピグメントライナー」

ドイツの筆記用具・製図用具メーカー、ステッドラーのペンです。

種類はミリペン(もしくはドローイングペン)
インクは水性顔料系(水に溶けやすくインクが紙の上に定着するタイプ)
サイズ展開は、
1.2mm、1.0mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、
0.5mm、0.3mm、0.2mm、0.1mm、0.05mm
+斧型 0.3 - 2.0mm
と細かくサイズがあります。
最近まで珍しい2.0mmがあった気がするのですが、
いつのまにか廃盤になっていました。

平均的なお値段は、308円(税込)
輸入ということもあり、いくぶんか高級なペンです。

画材屋でドローイングの入門としておすすめされていたり、
メーカーから親切な6本セットが売られていたりと
王道の商品といったイメージがあります。

わたしも初期のあまり細密でない作品では
しばらくステッドラーを愛用していました。

ステッドラーからペンを変えた理由は、

・ちょっと紙にひっかかるところがある。
・0.05mm以下のサイズがない。

の2点でした。

画用紙みたいな少しでこぼこがある紙だと、
ほかのペンよりカリカリとした感触を感じました。
それが気になるので、今はほとんど使っていません。

とはいえ、にじみにくく使いやすいペンではありますし
wikipediaによると、ステッドラー社は
"effect for ecology"をスローガンに
環境への取り組みをおこなっているそうなので、
そういったところも気になる人には
オススメのペンだと思います。



2.細さは一番「パイロット ゲル ボールペン Hi-Tec-C 025、極細」

文房具でおなじみパイロットのボールペンです。
「Hi-Tec」の0.25mmの極細は、出た当時大変話題になりました。
カラーバリエーションが多いところがよいところですね。

種類はゲルインキボールペン
インクは水性バイオポリマーインキ

一時期、ステッドラーをベタ、線をHi-tecメインで
使っていたのですが、
細いせいなのか、酷使しているためか
とにかくペンの先が折れて描けなくなることがよくありました。
最終的にそういった点が気になり、
次のペンに乗り換えることになりました。

今ではもしかしたら、耐久性もあがっているかな

と思いましたが、アマゾンのレビューを見る限りは
筆圧がうっかり高くなってしまうような人には
向かない商品のようです。

しかし、にじまないし細いというのは強みであるので
繊細に作業ができる人には向いているペンだと思います。



3.伝説の廃盤「三菱鉛筆 ゲルインク シグノbit 0.18mm」

画像2

引用元:Amazon

三菱鉛筆より、伝説のボールペンです。
すでに廃盤品ではありますが、思い入れが強いので書かせてください。

当時なんといっても、世界で一番細いといわれたその圧倒的細さは
一部ではカルト的人気を誇っていました。

検索すると、このペンでないと仕事ができない!
と嘆く方もいらっしゃいました。

正直このペンがあったから、Hi-tecから乗り換えました。

非常に優秀なペンで細いのに丈夫で、
途中で描けなくなることはありませんでした。
インクが少なくなってくると、
それはそれは細かい点描が打てるようになるので
一部の人には「最高の点描が打てるペン」と好評でした。


特に気に入っていたところは

このペンで描くと不思議な青色っぽい黒の印象になる

ところでした。
残念ながら手元に比べられる作品が残っていないのですが。

とはいえ、聞いた話では廃盤になったのは
「一部でしか人気がなかった」のが原因
のようです。

この話の教訓は、

気に入っている文房具があったら
積極的に買って廃盤しないようにしよう。

ということですね。
インクもよくもったから、あまり買い換えなかったんだよね。。

今でもたまにオークションとかで売っているようです。



4.伝説ではないけれど優秀「三菱鉛筆 ゲルボールペン ユニボール シグノ」

同じく三菱鉛筆の廃盤にならなかった方のシリーズのペンです。
種類はゲルインクボールペン
インクは顔料系(水に体制がありかつインクが紙の上に定着するタイプ。)

サイズ展開は
0.28mm、0.38mm、0.5mm
と少なめではありますが、色バリエーションが豊富です。

平均的なお値段は、165円(税込)
ボールペンは100円でも買えるので、
その視点だと少しお高めですが、
hi-tecよりはお安くなります。

同じシグノシリーズで太字があるのですが、
こちらはドバッとインクが出るので扱いが難しいところがあります。

伝説と比べると……

となってしまうのですが、
耐水性と耐光性を備えているという点で優秀なペンです。

シグノビットに見られた「青っぽいインク」はなぜか
このシリーズには継承されていないようです。
やはりシグノビットは唯一無二か。

乗り換えた理由は、

もっと細いペンが出た。

それに限ります。

0.5mmは普通に書き物をするのにお世話になっています。
これからも文房具として推していきたいと思います。



4.ネットで話題になったことがある「マービー フォードローイング」

マービー(ウチダ)というメイカーのペンです。
すごいオシャレですが、これはメイドインジャパン。

種類はミリペン、ドローイングペン
インクは水性顔料

サイズは
1.0mm、0.8mm、0.5mm、0.3mm、0.2mm、
0.1mm、0.05mm、0.03mm、+ふで
最近はブラウンのラインナップも増えた様子。

平均的なお値段は、198円(税込)
ミリペンとしては安いのではないかと思っています。

ちょっと固めの書き味ですが、
紙への引っかかりも感じない
ですし、
0.03mmの線でもカスカスにならずにしっかり描けます。

メーカー説明によると、筆圧強い人でも描きやすいように
あえて固めに作っているようです。
あとはコミックイラスト推しだとか。

わたしはわりとメインでこのペンを使っています。

あと、見た目が圧倒的にかっこいい。

この点で後述のペンと比べて、つい手にとってしまう
というところはあります。



5.隠れた名品「スライダー ファイングラフィック」

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東京スライダーというメーカーのペンです。
なんと、メイドインジャパン。

ホームページにペンという種類でなく、
テンプレート・定規の項目にのっているところから
製図ペンという扱いなのかもしれません。
インクは顔料系。

サイズは
0.8mm、0.5mm、0.3mm、0.2mm、0.1mm
0.05mm、0.03mm、+ふで
となかなか広いラインナップをしています。
こちらも0.1mm以下のサイズがあるという素晴らしいペンです。

平均的なお値段は、0.03と0.05が 231円(税込)
それ以外が、210円(税込)
細いタイプは値段が上がります。

このペンはペン先がフォードローイングのものより
柔らかいのが特徴です。
強弱がつけられる。という声もありました。

0.05は、さほどそうではないですが、
0.03で線を描く時には、
押し付けるとカスカスとした線になるので、
やさしく扱った方が描きやすい
です。
その分、流すように描くと
フォードローイングの0.03より細い線が描けます。

なかなか甲乙つけがたいペンです。
こちらはサブとして使っています。

難点としては、売っている場所が少ない。
というところでしょうか。
いつも世界堂という文具店で買うのですが、
オンラインショップには取り扱いがないので
どうも店舗に行かないと手に入りづらい商品のようです。
無論、アマゾンにも取り扱いがありません。

廃盤にならないように定期的にお布施しよう。。



6.おまけのペン比べ

ということで、
「ファイングラフィック」と「フォードローイング」
を簡単に比べてみようと思います。

ペンのサイズは0.05を使用しました。

まずは耐水性。
ファイングラフィックは顔料
フォードローイングは水性顔料なので
耐水性に違いがあるかを見て見ましょう。

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正直、そんなに差はないです。

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ちなみにシグノにも水をかけたら、ややにじみました。

「ファイングラフィック」「フォードローイング」共に
優秀な耐水性があるようです。
水をかけて他の色が出てくる。というトラブルもなし。
優秀ですね。

わたしはせっかちで、
書いた後にすぐに下書きを消したりするので
書いてすぐこするとどうかも調べてみました。

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どれも、ぬりつぶした場合は、すぐに指で触れるとかすれました。
しかし、10秒ほど経てば、さわってもほぼかすれませんでした。
すごい。

あと、ぬってからしばらくして消しゴムをかけると
当然のように紙がけずれました。
十分時間をおいて、ねり消しでやさしくかけましょう。



というわけで、わたしが使ってきたペンの紹介でした。
みなさまは気になるペンはありましたでしょうか。

もし、このペンはもっとよい。描きやすくておすすめだ。

などの意見がありましたら、

ツイッターの @poolside34 宛にご連絡いただけますと
嬉しいです。

ではまた!