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【楽曲解説】supersonic / プールと銃口

歌詞

supersonic

これまで諦めた全てのこと
今は全部どうでもいい!
忘れてはないけどね。

あなたのあの言葉、嘘になっても
それは全部関係ない!
愛しているからね、darling

駆け出せば辿り着けるさ、いつか。
永遠になれ。回想の中で笑って!
「僕ら、まだ美しくなれるさ」
焦燥すら追い越す速度で。

"最悪の瞬間は最高のドラマ"

駆け出せば辿り着けるさ、いつか。
永遠になれ。回想の中で笑う
「僕ら、まだ美しくなれるさ」

焦燥すら見えなくなる!
一瞬だけ振り返って、バイバイ
またあの街で。

経緯

4人編成の「SUMMER KILLS ME」に次ぐ2曲目の配信シングル。
ワタナベタカシは他の音楽活動の都合で録音には参加できませんでしたが、高田蒔!、おざき、ワタナベタカシと4人で作った曲です。

ワタナベ不在のため、ゲストボーカルとしてMInatoの親松実に参加してもらいました。Minatoはジンくんと同い年、場所は違えど埼玉出身のバンドとして付き合いも長く、前メンバーしも・りおの卒業公演でも一緒に2マンライブを行った仲です。

作曲のタイミングはリリースの一年ほど前なのですが、リリースに至った経緯としては、
プールと銃口が東京で活動開始したころからお世話になっていた「吉祥寺Planet K」というライブハウスの閉店の知らせを受け、打った自主企画に合わせてのリリース、という流れがありました。

4人のプールと銃口に加え、ジンくんとしもの2人編成、しもりおとの3人編成の銃口、supersonicに参加してくれた親松が弾き語りとして参加してくれるという、銃口オールスターズでの企画は銃口の活動の集大成でもあり、これから始まる新しい銃口へ繋がる大きな意味のある1日でした。

作曲について

とにかく速くて短くて派手な曲を作ろう!」と作り始めた曲。タイトルから先に決めました。
最初はBPMは200程度の想定だったのですが、作り始めてみたところ200だとあまりにも速く制作は頓挫。BPM 185という、「速いは速いけど別にスーパーソニックと言うほどは速くない」中途半端なテンポになってしまいました。
しかしながら銃口史上最速(他の速い曲はだいたい170とか)ではあり、気持ちとしては紛れもなくスーパーソニック。
久々に「ギター俺!」からのファズギターも決まり、銃口としてはかなり手応えのあるA面ギターロックだと思っています。

以下、リファレンスとなった曲をまとめます。

Cymbals 「RALLY」
銃口にはあまり表れていませんが、実は僕は渋谷系が大好きで、この曲も「シンバルズのエッセンスを入れよう!!」と作り始めた曲でした。ほぼ感じないと思いますが、Bメロのリズムだったりコード進行がRALLYの影響です。

SHIFT_CONTROL 「かまうな」
元ドラムりおのバンド。短くて速い曲ってかっこいい!と再認識した曲。
「サビには突然思い切り入っていい」「Bメロはいらない」「かっこいいギターリフで始まるとかっこいい」「遊び心は大切に」など、スパソニを作る上で大事にしたことは大体この曲から得た学びです。
また、りおのカウベル使い「#コン」をいただきました。スパソニは1発のみならず贅沢使い。

シバノソウ 「あの夏の少女」
元々一方的に知ってはいたのですが、曲もしらず面識もなかったところ、
ある日シバノが「街について」のことをツイートしてくれて、そこから接点ができ仲良くなりました。
彼女は本当に何に関してもとんでもなくオタク気質で、音楽にも強い憧れとこだわりを持っている人。そのこだわり、ナンバーガールへの憧れの爆発がこの曲なんだと思っています。

この曲を聴いて、「やっぱり俺はナンバーガールをフォローするべきだ!」「サビの直後はファズギターソロに決まっている!」と思想が尖りきり、結果自分なりのそれが実現できました。
スパソニを書き上げる原動力になったのは間違いなくこの曲です。

Bakyun the everyday 「JFS」
爆速でポップでパンキッシュな曲といえばバキュン。大好きなバンドです。
ぜったいこの始まり方したい!と思って、そこに関しては完全なオマージュです。
ちなみに自分がよくみていた頃のバキュンは、サポートドラムがあべゆうまの編成で、結果として2023年1月現在あべゆうまにサポートドラムをしてもらっているという巡り合わせ(?)については、本人とも面白いもんだね〜と話しておりました。

四丁目のアンナ 「11月のメロンソーダ」
プラケーで出会った大切なバンド仲間。とんでもないライブ力と個性的なメンバーを持ったモンスターバンドで、4人編成の銃口の再始動のタイミングを与えてくれたり、大事な時期に手を差し伸べてくれる恩師のような存在でもあります。(先輩だしね)

この曲はアンナの曲の中でも代表曲のような位置付け(だと思っている)なのですが、とにかく曲構成がたまらなく好きで、特に途中でハーフテンポになるギターソロ、曲の最後の6/8拍子など、ライブで体で感じる"嬉しい展開"が盛りだくさん。その二つの展開をそのままなぞらせていただきました。実際、演奏しててもギターソロの落ちと6/8のアウトロが一番楽しいです。

Base Ball Bear「YUME is VISION」
ベボベのライブで一度だけユメイズを聞いたことがあるのですが(最初の武道館)、イントロの半音ずつ上がっていくベースでテンションがぶち上がったのを覚えていて、単純で地味なフレーズにも関わらずかなり好きなベースです。
銃口でもこういうなんかよくわかんないけどかっこいいフレーズを入れたいな、と思い、サビ前の間奏のベースが作られました。歪んでてかっこいい。

Origami Angel 「The Title Track」
速くて短くてメロディも良くて演奏もかっこよくてドラマチックで、最高の曲。
こんなんできたら最高だよな〜と思いつつもちろんここまで振り切れた曲にはできず、実際にフレーズとして使えたのはこの曲のサビ?後半のかっこいい歌の部分「The City's never〜」「Once You see〜」の部分のビートのみです。スパソニでいうと「一瞬だけ振り返って、バイバイまた」の部分です。

NUMBER GIRL「透明少女」
言わずもがなアンセムですが、スパソニはアウトロでそのまま透明少女のイントロをやっています。楽しいです。

歌詞について

この曲は実は「ゆめであえたら」という未発表曲のアンサーソングとなっています。
その曲の概要だけ説明すると「文通で好きになったけど結局会えずに終わった女の子の話」みたいな曲で(ほぼ実話)、それを乗り越えた先の言葉がスパソニのそれになっています。
また、サマキルと同じくそのエピソードにバンドをやる上でのスタンスを被せて書いています。

これまで諦めた全てのこと
今は全部どうでもいい!
忘れてはないけどね。

あなたのあの言葉、嘘になっても
それは全部関係ない!
愛しているからね、darling

スパソニはここの歌詞から書き始めました。
銃口の曲は基本的に「好きだった女の子のことをめちゃくちゃに引きずっていて、無理矢理次に進もうとしている or その思い出に浸っている」歌詞ばかり(カルアミルク・ファンクラブなんかがその代表格ですね)。前述の通り、この曲も例に漏れずその構図です。

例え実現しなかったとしても、結ばれなかったとしても、その場しのぎの嘘だったとしても、受取手である自分の受け止め方で言葉の意義は変わってくるものです。
本当も嘘も実はなくて、そこにあるのは見えない気持ち絞り出した言葉だけ。その瞬間が幸せだったなら、それでいいと思うんです。

思い出というものは、良いことでも悪いことでも、確実にその当時の記憶とは質感が変わってくるもので、どんどん曖昧で綺麗な上澄みになっていきます。忘れたわけではないけれど。
思い出を抱えて生きていく。その思い出は言い換えれば過去の栄光だったり、後悔だったりすることもありますが、それを抱えて生きていくことを執着と片づけたくはない。適切な距離感で、全てを背負っていくには確実に"愛"という懐が必要だと思っているのですが、少なくとも今の自分にはおれをズバッと言葉にはできないので、
俺の愛に対しての価値観は他の曲や発言からじわじわと伝わればいいかなと思います

駆け出せば辿り着けるさ、いつか。
永遠になれ。回想の中で笑って!
「僕ら、まだ美しくなれるさ」
焦燥すら追い越す速度で。

"最悪の瞬間は最高のドラマ"

僕らまだ美しくなれるさ」はこの曲のキーとなる一節です。
バンドの編成も変わり、生活環境も変わりました。言ってしまえば良くも悪くもであって、もちろん全てが最高な瞬間ばかりではありません。変化というものは、どれだけ拒んでも時間が進めば勝手についてくるもの。
でもどんな変化だって捉え方次第では希望になりえます。こういう話、小さいことは本当に負け犬の遠吠えにしか聞こえてなかったんですが、どうやら本当にそうみたいです。

実際「バンドにおいてのアクシデントは全部美味しいドラマだと思って有効活用しろ」というのは旧吉祥寺Planet K統括ロンドンさんの教えなのですが、本当にその教えが銃口を作っているなあと、いろんな折に感じるのです。
「最悪の瞬間は最高のドラマ」であり、バンドは常に進化を続けている。勢いをなくしてしまったとしても、歩みを止めない限りは進み続ける。人は、美しくなり続けることができる。

一瞬だけ振り返って、バイバイ
またあの街で。

次に会うときに、果たしてお互いどんな風になっているでしょうか。
そもそも、次に会う機会なんてあるのでしょうか。
大体、そういう期待や約束は実らないんです。

でも、どうせ叶わないなら約束しておいたほうが良くないですか?
そこで張った伏線は、いつかとても大きなドラマを生むかもしれません。
ドラマを作るのは、本当に自分自身なんです。約束も、綺麗事も、素敵も、あればあるだけ何かに繋がったりするし、繋がらないというドラマだってドラマです。

この曲は、今までのプールと銃口の活動を振り返る曲でもあり、
これからのプールと銃口への伏線でもあります。
どんな終わりを迎えても、それが最高の青春映画になるように。

譜面・演奏について

※自分用のメモ・メンバーに連携した資料のため、かなり見づらいですがご容赦ください。

リードギターに関しての資料はありません。
一応「3カポ」でGのキーであることが分かればフレーズ自体はわかりやすいと思うので、耳コピしてみてください。

バッキングはとにかくドンシャリのシングルコイル。トランスペアレント系の歪みでジャキジャキとさせるのがいいと思います。レコーディングはジャズマスのセンターです。

リードは開放弦を交えたリフ・アルペジオが多いので、コピーする際は音の重なり的にどういうポジションでやってるか意識してみてください。
サビのアルペジオを弾きながら歌うのがちょっとめんどくさいです。

ベースはかなり単純ですが、ちょっとテンポが速いので右手が辛いかも。
ナンバガのナカケンピッキング(↓↑↓↓みたいにダウンとオルタネイトをミックスさせて弾く)だと結構楽なんですが、リズムキープと音の粒を揃えるのが難しくはなってしまうので、いっそ全部ダウンで行ったほうが簡単なんじゃないか、とも思います。
速いダウンピッキングのコツは、ドアノブをひねるような動き、スラップのサムの動きのような感じで手首の捻りで弾くこと。指先とか腕とかを使うと変に力んでしまったり、そもそも追いつかなかったりします。
あとポイントとしては、サビ前の間奏の2拍3連の部分はベースもブリッジミュートをしています。コピーする際は是非組んでほしい部分です。

ドラムは早さについていければそんなに難しい箇所はないのですが、地味に速いです…あと、サビ前の間奏は目まぐるしいのでフレーズがしっかり体に入るまではしんどいと思います。
個人的なこだわりポイントはその間奏部分の冒頭、「ライド→クローズHH→ライド→クローズHH→カップ」でツクツクチーン!とやってます。2拍3連の部分は正直なにをどう叩いても最後がカウベルならいい気がします…


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