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【楽曲解説】"SUMMER KILLS ME"について

ジャケット

SUMMER KILLS ME

ドラマチックは終わらない。
夏が来るから!

「もう終わったこと」なんて、冗談だって笑えないね。
青春は夏の序章。約束したでしょう?

移る季節の中で、きっと、この愛だけは移らない。
爪を切る理由だって、ぜんぶ君だったの。

どんな思い出も、抱きかかえて僕らは進む。
逃げたくもなるけど。
あの日の淡い残像を追い求めて、このまま。
炎天だって澄ました顔で行け!

SUMMER KILLS ME
季節は戻らないけど、それだっていい。
透き通る衝動で、GOOD BYE。
僕らは思い出の街の中、
駆け出してく。夏の方へ!!

踏んだり蹴ったりな灼熱のSUMMER DAYS。
僕らはいつだって夕方のままで。 
結局、夏なんて!暑すぎる今日。もう嫌だ!

「はぁ…」

やうやう透明になる夢際の君の輪郭を撫でる。
忘れないで、BOY MEETS GIRL。
「夢街で待ってる。」

さよならを繰り返して珊瑚は揺れる。
永遠なんてないけど。
言葉は呪い。恋なんて綺麗事でしょう。
これ以上、曖昧にしないで。
また約束をしよう、あなたと。

あの日は間違いじゃないと
信じてみたいんだ。
いつかは、今日も。

…青春は過ぎ去って、
僕らは何を選ぶの?

ドラマチックは終わらない。
夏が来るから!

君と最後に笑いたい。
今度は僕から会いに行くからさ、
待ってて、HIGH COLOR DAYS!!

SUMMER KILLS ME
季節は戻らないけど、それだっていい。
透き通る衝動で、GOOD BYE。
僕らは思い出の街の中、
(きらめく音、繰り返して。)
(諦める事なんてしないよ。)
駆け出してく。夏の方へ!!

ドラマチックは終わらない。
夏が来るから!

君と最後に笑いたい。
今度は僕から会いに行くからさ。
待ってて、HIGH COLOR DAYS!!

"SUMMER KILLS ME"

3人編成から4人編成へ

銃口は長らく3ピース編成で活動していたバンドでしたが(4th,1st aco demo, ENDLESS ANTHEMまでが3人)、しも・りおが卒業となり、一時的にメンバーを募集しながら1人で活動を行なっていました。

メンバー募集のフライヤー

これは裏話ですが、実はこのメンバー募集の公募をかけた時、ベース・ドラムに関してはそこから加入することになる尾崎・ワタナベには内々で声をかけていました。
新しい出会いを求めての公募ということもありましたが、「4人ボーカルのバンドになる!」というポーズを決め込もうとしていた部分が大きかっただけで、俺はそもそも尾崎とワタナベとバンドがやりたかったのです。

結局、応募が来たのは奇しくもほぼギターのみ、そこで正規メンバーとなる奮酉のまってぃが連絡をくれました。
元々同い年で一緒に対バンもしていた仲だったけど、仲良し、とまではいかない距離感の中、「このまま銃口がなくなっちゃうのは嫌だ、自分にできることがあるならしたい」と餃子屋さんで伝えてくれました。

元々は女性ボーカルはベース1人の想定だったけれど、まってぃの声があればとんでもない曲が作れるかもしれない!とワクワクしたのを覚えています。彼女が本当に主人公の声を持っている最高のボーカリストであることは、奮酉を見て知っていたので、まさかこんな形で一緒にバンドができる時が来るなんて思ってもみなかったし、4人の銃口は「ここからなんでもできる!」と期待に溢れるスタートでした。

ただ、ご時世もご時世、ライブ活動が気軽にできるような世の中ではなかったこと、自分が新しい編成に対して大きくプレッシャーを感じていたこと、いろいろな理由でなかなか新編成の銃口は動き出せずに半年ほどが経ってしまうことになります。

このままではいけない!とにかく動き始めなければ!と焦った俺は、「これから毎日曲作りの進捗をみんなに報告するから、1日サボるごとにみんなにジュース奢りね」と自分にペナルティを課し、4人編成の作曲を始めます。
その時にできたのが、この「SUMMER KILLS ME」という曲です。

夏なんてうんざりだ、と思っていた

俺は元々夏が大嫌いです。嫌な思い出が多いから。
虫だって嫌いだし、泳げもしないし、夏祭りに行けば楽しそうにしているいじめっ子に見つからないようにフランクフルトを食べ、好きな子には振られ、俺にとってはそういう季節だからです。

だからこそ、歌や物語の中で描かれるキラキラとした夏に対して、俺はとても憧れを抱いていました。そこのコンプレックスがそのまま銃口のキャラ感になっていったんだと思います。別に、夏の曲言うほどないんだけどね。

「SUMMER KILLS ME」、意訳すれば「夏にはうんざりだ」といった感じ。
バンドをやっていると大変なことがたっっっっっっっっくさんあります。それこそメンバー抜けて1人になっちゃうし…「もうバンドなんてやんねー!!」みたいに思う瞬間もあるけど、自分にとってバンドというのは、そして夏というのは、もはやそういうレベルの存在ではないのです。
季節が巡ってまた違う夏が来るように、バンドもやらずにはいられない、正確にいうとやらない想像ができない、という状態。

「大嫌い!!」って思えるものって、実は大好きで…とは言わないけど、
それなりに思いが強くて、執着や愛着のあるものなんだと思っていて。
そんなこと言ってても結局引っ張られちゃうのが、憧れってもんですよね。

うだうだ言ってても進むしかないなら、全力でやってやるよ。
改めて、俺たちについて来い。
という気持ちで書いた曲です。

どれだけポンコツでも、自分から動けばドラマは作れるって、
俺は自分の人生で体現してきたつもりだし、本気でそう思っていて。
今までの全部を抱えて、暑い暑いと文句もいうし、
去年の夏とは違うけど、みんなとならこの新しい夏を楽しんでいけると、
だからこそ俺についてきてくれと、
メンバーもリスナーも説得できるような、キラーチューンを書かなきゃと頑張った結果です。果たしてどうだっただろう?

歌詞について

先述の通り、バンドの体制を変えて再始動するにあたって、自分のバンドへの思いを書いた曲でもあるのですが、
そこに、好きだった女の子の存在を重ねて、どちらの話としても取れるようなつもり…で書きました。

個人的に大好きな歌詞「移る季節の中で、きっと、この愛だけは移らない。爪を切る理由だって、ぜんぶ君だったの。
人を愛したことのある人なら、きっと愛は移ろうものだとわかっていて、だからこそ言える強がりであり綺麗事。でもそう言えること、それが歌として残ることにとても素敵さを感じます。ここはこの曲でも一番思いの強い歌詞だったので、一番信頼するボーカリストであるまってぃに歌ってもらいました。

「爪を切る理由」、ギターを弾く上でのそれと、女の子を大事にする上でのそれのダブルミーニングな訳ですが、その点においても女の子であるまってぃに歌ってもらえていることが、表現としてとても良いと思っています。

「青春は夏の序章。約束したでしょう?」
アコースティック音源出した時、ENDLESS ANTHEMのライナーノーツに書いた「今までなんとなく過ごしてきた学生時代を青春とするなら、自分で選んで進んでいくこれからの社会人バンド生活は夏、また夏に会いましょう」みたいなことを書いていて、その時の約束を果たしに来た、という構図です。
実際、青春に夏(季節)は内包されているものだと思うけど、サマキル全体を通して、自分の季節観も踏まえ高らかにヒーロー(?)の再来を表現きているんじゃないかと思います。

サマキルは銃口の曲にしては随分とストレートに前向きなことを言っているように見えますが、実際根本の考え方は変わっていなくて、
「どうせドラマは終わってしまう」
「君には会えない。最後には結局笑い合えない」

みたいな基本理念のなかで、とにかく綺麗事を並べている気持ちです。

でもそれは嘘をついているわけじゃなくて、そうやって虚勢を張るしかないわけです。素敵じゃない自分が素敵であろうとするには、言霊といったらあれだけど、とにかく「素敵なもの」に近づくことしかできないんです。
少しメタになってしまうけど、そうやって「諦め」を持った人の輝きは、何よりも切なく輝かしく思えます。

本気の「負けるな!大丈夫!君ならできる!」とは違って、俺はそういう後悔も希望もごっちゃにした強がりを、たくさんの失敗の上で掴んだ想定外の幸せを、あくまで自分に向けての徹底的な内省を、みんなにとってのワクワクや励みや切なさとして受け取ってほしいなあと、
それは、きっといつか「もうだめだ」と思った時の他ならぬ自分に対して、自分の言葉で、素敵なことを、素敵な人と、残しておきたかったんだろうなあと思うし、
これを書いている今、この曲が形となって世に残っていることがとても幸せで、とても切なく感じています。

元ネタ

最後に、この曲の元ネタとなった曲をプレイリストとして共有しておきます。合わせてお楽しみください。

・CRAZY FOR YOU の季節
→イントロのフレーズ

・Groovin' Magic
→イントロのコード進行(Ⅰ→Ⅱ→Ⅳm)

・Don't Summer
「SUMMER DAYS」と「ままで」で韻を踏むところ

・プロポーズ / zooqs
サマキル2Bのリードギターのフレーズ(プロポーズのイントロ)

・SEARCH
・draw
4ピースならこういうギターの絡み方したいよねー!

・Overstepping
ラスサビの「衝動で」のとこのキャコズズ!みたいなやつ(この曲のイントロ)

・お願いセニョリータ
2Aのラップはオレンジレンジみたいなことがやりたくてやりました

・ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ
4人ボーカルの組み方は、この曲とアイドル曲をたくさん聴いて改めて向き合いました。この曲が何をとっても一番銃口に近い、と思ってる

・HIGH COLOR TIMES
「待っててHIGH COLOR DAYS」は、この曲を聴いていた頃の自分のことでもあれば、この曲を聴いて想像していた情景でもあるし、この曲における「夢街」のことでもある、気がする

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