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vol.29 司法試験の巨大な『暗記』の壁を乗り越えるまで①前編

こんにちは!ぽんぽんです😊
いつもお読み頂きありがとうございます🌿

『司法試験cafe room』では、
ともすれば焦りや不安につながりがちな司法試験勉強に関する情報を、
『カフェでゆったりくつろぎながら読めること』をコンセプトに発信しています🫖
今日ものんびり読んでいただければ幸いです🍀

0.はじめに

司法試験の勉強をしよう!と考えたとき、
多くの方が「とりあえず覚えなきゃ…」と
思われるのではないでしょうか。

受験生の多くにとって、
『司法試験=暗記が大変な試験』という認識があることは間違いないように思うのですが

この試験の厄介なところは、
ある程度試験勉強が進むと
「司法試験は暗記だけでは受からないよ」…等の、「結局どないやねん」と服部平次ばりの関西弁を利かせたくなるほどに矛盾したことを言われる点にあると感じています。

しかしながら、受験生活を終えた今、
私自身もこの矛盾した感想を司法試験に対して抱いていることは否めません。

今日から2回に分けて、
私自身も6年近く苦しんだ
『司法試験の暗記の壁』を乗り越えるまでを記録していこうと思います。

司法試験の合格方法は千差万別ですから、
「こうすれば絶対に大丈夫!」というものではないのですが

不合格経験を繰り返した私の失敗、そして後悔から少しでも役に立つ点を見つけて頂けたなら、
こんなに嬉しいことはありません。

※なお、現在多忙につき前編・後編とさせて頂きます。来週分も見て頂けると嬉しいです…!


1.司法試験における『暗記事項』とは?

司法試験で一番大切なものは法律家の意見の拠り所となる『条文』すなわち六法なわけですが、

六法は試験会場で貸与してもらえるので、
一言一句覚える必要はないと理解していました。

※もっとも、試験会場で条文をいちから探す時間はなかなか取れないので、結果的に条文番号とおおよその位置、そして大まかな内容は覚えることになりました。自然と身に付いたレベルのあいまいな記憶です😂

では、どういったところを暗記する必要があるのか?
私自身は、
①「条文に書いていないこと」のうち、
②判例等で定義や趣旨、規範が示されているもの

③論文で書く可能性があるもの
を覚える
と決めていました。


具体例として、民法177条に関する趣旨規範ハンドブックを見てみます👀↓



民法177条の「第三者」の意義は条文上に書いていないので、
これは①「条文に書いていないこと」に該当します。

さらに、民法177条の「第三者」は判例上定義が示されていますので、
②にも該当します。


ここまでは簡単に見分けられると思うのですが、
一番難しかったのは、
③の「これって論文に書くんですか??」ということをいかに確認するのか、
さらにどの範囲まで覚えれば良いのかをどう確認するか
、という点でした。



2.覚えるべき論点をランキング講座で選別することは可能か?

司法試験対策講座の中には、
この③について確認するひとつの手段として、
いわゆるランキング講座やランク付け講座といったものが存在します。

こういった講座をかつて私も受講していたのですが、

〇Aランク、Bランク、Cランクの位置づけがよくわからない

〇ランク付けはされているものの、なぜその論点が重要なのかよくわからない
⇒暗記すべきことに納得していないので、暗記意欲が湧かない

〇そもそも論証が覚えにくい 

…等様々な問題点が出てきました。


もちろん、こういった講座からも合格者は多数輩出されていますし、講座自体に問題があるわけでは決してありません。

ただ、社会人受験生であり勉強に使える時間が少ない場合、
細かい知識までたくさん覚えて暗記量で押す(他の受験生を上回る)作戦はかなり厳しい戦いになることは想像に難くないと思います。

ランキング講座はその暗記量を減らすことを主な目的とする講座だと思うのですが、

Aランク以外の論点も当然解説してもらえますので「覚えたほうがいいかな」と思ってしまったり、

Aランク以外の論点の方が短く覚えやすいこともあるなど、

ランキングを付けた→じゃあAだけ覚えよう!と割り切ることが難しかったのです。

私にとってのランキング系の講座での最大の問題点は、
Aランク論点以外であっても覚えておかないといけないのでは、と必要以上に不安に駆られてしまい、自分にとって適切な暗記量を見誤ること」だったのでした。


3.暗記の壁を完全突破した方法

4回目に辰巳法律研究所の西口先生に師事した際、
「暗記に使うのは趣旨規範ハンドブックだけでいいよ!」と言われたことをきっかけに、
自作したノートのみを残して1,2,3回目受験までに使用していたテキストや論証類をすべて断捨離し、
いちから趣旨規範ハンドブックに取り組みました。 

※それまでの膨大な量の論パから解放された瞬間は、、、本当に嬉しく天にも昇る気持ちでした…
覚えられないものを覚えるって本当に苦しいことなんですよね。。。

もっとも、趣旨規範ハンドブックも決して短いわけではないですし、
民事系なんかはそこそこの分厚さがあります。

そこで、
①社会人受験生であってもきちんと回せる量
②苦しくなく、継続できるやり方
③問題なく合格できる

この3点から、趣旨規範ハンドブックで覚えるべき部分を絞ることにしました。

具体的には、
①量について
・趣旨規範ハンドブックの★マークは必ず暗記
・★がなくても、出題が予想される論点(以前出たのに、ここ最近出ていない論点等)は自分で★マークを付けて暗記

※初学者の方で予備校の基礎講座を受講されている方は、「これはAランク」とか「絶対覚える」と言われたところ、と理解して頂ければよいかと思います。上記の話と矛盾していなくもないですが、、、とりあえずAに絞る意識と考えて頂ければ…!



②やり方
・一言一句文章で覚えることが苦しいタイプだったので、キーワード暗記に切り替える

⇒例えば、民法177条の趣旨として趣旨規範ハンドブックには『物権変動につき冬期による公示を要求して、不動産取引の安全を図る。』と記載されています。キーワード暗記では、『不動産取引の安全』だけ覚えられれば、暗記できている!と評価していました。

⇒さらに、民法177条の『第三者』の意義としては『当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産物権の得喪及び変更の登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者』と記載されています。キーワード暗記では、『以外の者で』『登記の欠缺を主張する正当な利益』がある人、と覚えられればOKとしていました。

③問題なく合格できる
・答練や模試で定義、規範、論証を書いてみて、「論証がおかしい」と指摘されないか確認

※ぶんせき本や優秀答案再現集で、合格者がどの程度の論証を書いているか確認することはあまり有益ではありませんでした。再現答案では論パ等を確認し、正確な記述を心がけている方が多いように思えたからです。正確な記述の論証はどうしても長くなりがちなので、これを基準にすることは難しいと感じていました。


本来であれば、趣旨規範ブックの中身をきちっと100%覚えることがベストだとは思うのですが、
日々の仕事と勉強の中で暗記にさける時間はどうしても限られています。

さらに、受験生とは日々あらゆるストレスと戦っているので、
「こんなに覚えていないことがある」
「全然覚えられない」
「こんな状況で合格する日はくるのか」等の
マイナスなことは極力かんがえず、
日々の暗記学習を出来る限り心穏やかにこなしたい気持ちがありました。


私が4回目挑戦の年に心掛けたことは、とにかく自分を暗記学習に向かわせることでした。

1,2,3回目と暗記の苦しさに負けてしまい、色々な理由を付けて暗記に向き合うことから逃げてしまった私でしたが、
合格のために避けては通れない「暗記」にもう一度チャレンジしたい。
暗記の最大のコツは一日でも多く『継続』して学習することにあり、
『継続』のコツは覚えられている!と日々実感することにあると3回の不合格経験を通して感じていたからです。


暗記のハードルを下げたことでずいぶんと覚える量が増え、
結果的に試験直前期には趣旨規範ハンドブックの80%程度の量を(キーワード暗記ではありますが)暗記できるまでになりました。


4.おわりに

暗記は本当に苦しいものです。

一定程度の暗記が合格には必要不可欠であり、
自分が暗記から少し逃げてしまっているという自覚があるからこそ、

なかなか暗記が進まない理由を自分の環境以外に求めてしまったり、
世間で評判の様々な講座やテキストに手を出してしまったりして、
私はかえって合格レベルの暗記から遠ざかってしまいました。

自分と向き合うということは非常に苦しいものですが、
現状の行き詰まりの原因を外に求めすぎず、自分の中にある問題点を探ることで、
『暗記のハードルを上げすぎている』という自分自身の問題点に気付き、
この点の改善を試みることで、暗記の壁がじつは虚像であったと気付くことができたのでした。

私は暗記の壁を乗り越えるまで約6年もの長い時間がかかってしまいましたが
私のこの経験が、
これから司法試験を目指される皆様にとって
何かしらのヒントになることを願っています。

☆次回は『どのくらいの暗記状態であれば合格答案を書けるのか』という点から書いていくつもりです👀

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☆次回は6月19日(土)に更新予定です。

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