偽トロオドン
わいはトロオドン。
ゲーム配信やっとる者や。
実は最近、困ってるんや。
というのも、わいの偽者が悪さをしてるらしい。
この前も、コンビニで立ち読みをしていたら、店長に「また、あんたですか!困るんですよ!勝手に雑誌の袋とじを開けられたら!」と怒鳴られた。
いまだに袋とじがある雑誌を置いとるような古風なコンビニで好きやったのに、もう二度と行くことはできん。
そのあと、警察を連れてきた子供に「あ!おまわりさん!あの人です!僕の頭を叩いたの!」と言われたんや。
何人もの警察に囲まれて逮捕されそうになったんやけど、その時間はコンビニの防犯カメラにわいが映っててアリバイが証明されて解放されたんや。
一体、どこにわいの偽者がおんねん…。
わいは非常に困っとる。
だから、わいは探偵事務所に相談したんや。
探偵の富井さんはええ人やった。
わいの変な話しを信じてくれて、一緒に偽トロオドンを探すことになったんや。
二人でさっきのコンビニの近くを捜索していると、電信柱の下にわいの持ってる野球帽と同じ帽子が落ちとった。
「ヤクルトスワローズのファンなんかな。好きな球団も一緒だったら気持ち悪いな」
そう思ったんや。
帽子を拾って見つめていると、富井さんが「トロオドンさん!こっちに来てください」とわいを呼んだ。
富井さんは、また別の電信柱を凝視しとった。
そこには、また同じ野球帽が落ちてたんや。
どういうことや!?
わいは血の気が引いていくのを感じた。
何かよく分からない正体不明の恐怖や。
ハッと思い、周りを見渡した。
わいは絶句した。
周りの電信柱の下にも同じ帽子が落ちとった。
1つ、2つ…7つ以上は落ちとった。
全部、わいの被っとる帽子と同じや。
さっきまで落ちてなかったのに!
わいと富井さんは来た道を戻ると、そこにも電信柱の下に帽子は落ちとった。
さすがの富井さんも恐怖に怯えて、逃げ帰ってしもた。
翌日、わいが探偵事務所を尋ねると、張り紙が貼ってあったんや。
そこには、こう書かれとった。
「調査打ち切り! 本件に関する情報は今後一切、取り扱いません。ご了承下さい」
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