トロオドンの家に招かれた

これは、僕がトロオドンの家に招かれたときの世にも奇妙な本当にあった怖い話しです。

その日、僕はトロオドンと駅前で待ち合わせしていました。
僕は待ち合わせ時間の10分前に、手土産のチー牛を片手にトロオドンを待っていました。

約束の時間から遅れること5時間。
交差点の向こうで、手を振ってる野球帽の男の姿が見えたのです。

薬物でボロボロになった歯、黄疸が出ている目、不自然なほど高く整形した鼻、下着も着ていない全裸中年男性が、新品のニューバランスの靴を履き、フランス製のオシャレなステッキを振り回していたので、一目でトロオドンだと分かりました。

信号が青に変わるとトロオドンは満面の笑みを浮かべて、全力で走りながら、お盆のときの実家のような独特の匂いをまるで機関車のように周辺に撒き散らかしながら、僕の方に近づいてきました。

トロオドンは僕の目の前に到着するやいなや、「いやいや、わいも今きたところや」と言い、なぜか僕が遅刻をしたことにされてしまいました。

僕が手土産のチー牛を渡すと、袋の中身を確認するなり「いらん」の一言とともに、近くを歩いてた5歳くらいの男の子に投げつけました。
「あんたがちゃんと見てないからやで!」と号泣する男の子の母親にも罵声を浴びせました。

トロオドンは「ほないこか」と歩き出したかと思うと、先ほどの男の母親とすれ違う一瞬の隙をつき母親の胸を摩り、何事もなかったかのように路地裏に向かって歩いて行きました。

トロオドンは「わいの家に行く前に、いつも行ってる馴染みの店があんねん。そこ行こか」と言うと、目に入る全てのホームレスのダンボールハウスを蹴飛ばしながら、目当てのお店に向かっていきました。

トロオドンに連れてこられたスナックに入店すると、藤原紀香にそっくりの美人ママが出迎えてくれました。

「ママ!」とトロオドンが仁王立ちになり股間を突き出すと、ママは微笑を浮かべながらトロオドンの股間に顔を近づけたのです。

僕が「なにやってるんですか!」と注意したときには、すでにママの顔はトロオドンから離れていました。

「賢者タイムやな」

そう言うと、トロオドンはカウンターに座り、お前も座れとばかりに隣の席に僕を誘いました。

「ふぁにうぉぬぉみまふか?」

何を飲みますか?とママは言ったらしく、お前こそ何飲んでんだ!と思いました。

トロオドンは「とりあえず、生で。まぁ、今も生だったけども!」と、笑顔で僕のほうを向いてリアクションを求めてきました。

適当に流してると、「お前も生でええか?」と聞かれ、内心どっちの生だろうとドキドキしながらも「じゃあ、僕も」と答えました。

すると、「しゃあないな!」とトロオドンは僕の顔に股間を押しつけてきたのです。

そっちの生だったのです。

どれだけの時間が流れたか分かりません。

気がつくと、なぜか僕はお尻から血を流しながら、トロオドンの家に向かっていました。

「もうすぐやから」と連れてこられたのは、法隆寺でした。

「ここの5階やねん」と言われた僕は思わず、「貸し出ししてるんですね」と、ビックリしてしまいました。

部屋に入ると6畳ほどの和室の小さなワンルームでした。

僕が靴を脱ぎ始めると、トロオドンは脱がんでええからと土足で畳の上を歩き出したのです。
さすがに僕は靴を脱ぎました。

トロオドンは「なんか、飲むか?生でも…」と言いかけたので、僕は全力で拒否しました。

配信環境が気になっていた僕を察したのか、トロオドンは「わいの配信部屋見るか?」と言い、いきなり押し入れの襖を開けたのです。

押し入れの中にはパソコンとモニターと遺体がありました。

「この方は?」と聞くと「ばあちゃん。見つかると年金もらわれへん」とだけ答え、パソコンの電源を入れました。

目の前で配信をするトロオドンを見るのは幸せな時間でした。
全裸なのに「全裸ちゃうわ!」と言う姿も見れて満足でした。

「ばあちゃん、お客さんやからごめんな」と言うと遺体を包まってた布団を剥ぎ取り、僕のために敷き直してくれました。

結局、あまりの悪臭に朝まで眠れませんでした。

翌朝、トロオドンは駅まで送ると言ってくれたのですが、申し訳ないと思い玄関前で別れてきました。

別れ際、トロオドンはバツの悪そうな顔をしながら「ばあちゃんのことは誰にも言わんといてな」と耳打ちしてきました。

喉元には包丁が突きつけられてました。

まだお尻はヒリヒリと痛んでました。
「もうすぐ雪が降るかな…」と一人呟きながら新潟へと帰りました。


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