BiSHのDiSTANCEを徹底解説したい
おはこんばんにちは。BiSHの楽曲で1番好きで1番エモーショナルだと思うDiSTANCEを色んな観点から自分なりに愛を込めて解説します。
早速ですが、まずはDiSTANCEのMVを出来ればヘッドホンをして、そして大音量で聴いてください。
作曲 : 松隈ケンタ
作詞 : 松隈ケンタ/JxSxK
MV監督 : 大喜多正毅
さて、まずは何から話せばいいか分からないですが、曲の雰囲気を決めるのはコード進行だと思っているのでコード進行から解説します。
この曲はB♭メジャーキーで基本ずっとⅣ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲmを繰り返しています。
これは切ない曲に頻出のコードです。My distinctionやMy landscapeのサビで似たようなコード進行が使われています。サヨナラサラバは完全に同じコード進行です。
そして「今僕はあなたなしでは難しいの」という歌詞のところでⅣ→Ⅴ→Ⅴ#dim→Ⅵm→Ⅰというコード進行になります。ここで注目して欲しいのがⅤ#dimなのですがよく聴くと少し奇妙な音がすると思います。このコードもエモーショナルな雰囲気にするのに非常に役立っていると思います。この半音ずつ上がるのはめちゃくちゃ使われるテクニックなんですが個人的にこのⅣ→Ⅴ→Ⅴ#dim→Ⅵmの流れは大好き過ぎて冗談抜きでコード進行をおかずに白米1杯はいけます。それ以上は無理です。はい。
次にギターアレンジについて解説します。
まずはイントロからのリフですね。これはギターの音かは判断しづらいですがギターの音として進めます。いやこれねぇ、あまり派手ではないですが私のギターリフランキングで上位に入りますね。解説しづらいですが聴けば分かると思います。
サビでは先程紹介したコード進行をパワーコードで弾く歪んだギターとリフっぽいのを弾くギター(リードギター)があります。このリードギターのアレンジが最高なんです。何か心の敏感な部分をなぞるようなメロディと音色がします。ギターソロも似たようなメロディです。すごくエモーショナルという言葉が合うギターソロなのではないでしょうか。そしてラスサビのリードギターがまた少し変わって最高潮にエモーショナルです。
次はベースアレンジについて解説します。
基本ルート弾きですね。あまり解説する事はないですが、変にベースラインが動き過ぎないのも曲の雰囲気をつくる上で大事なのかもしれません。ベースがシンプルであるが故に他のボーカルなどの主役が引き立つと思います。
次はドラムアレンジについて解説します。
まず前情報としてこの曲が入ってるアルバム名が「CARROTS and STiCKS」、翻訳するとアメとムチということを覚えておいてください。
さて、ドラムはサビ以外基本ずっとキックの4つ打ちです。そしてサビ前の2小節で嵐の前の静けさのようにフッと消え去ります。
そしてサビのドラムです。これはシェイクビートという今では当たり前に使われているビートですが、誰もが知ってるあの曲で一気に有名になったビートです。
そう、この名曲です。私の個人的な見解ですが、DiSTANCEはSmells Like Teen Spiritを参考にしたのではないかと思っています。松隈さんはこの年代ら辺のオマージュをめちゃくちゃしてくれるので。そしてこの曲はグランジという音楽ジャンル(厳密には音楽ジャンルでは無い?)を代表する曲で、カート・コバーン本人がグランジの重要なキーワード(って私が勝手に思ってる)の「静と動」を意識したと何かのインタビューで語っていました。さて、ここでアルバム名を思い出しましょう。
「CARROTS and STiCKS」、「静と動」。
まさにこのDiSTANCEの曲の雰囲気を表していると思います(実際にはアルバム名はアルバム全曲を表していますが)。よく聴くとお互いの曲の感じや構成も少し似てますよね?
話が脱線してしまいましたが、このサビの一気に爆発するようなドラムこそがエモーショナルな部分を表現しているカギだと思います。
次はその他のアレンジについて解説します。多すぎるので重要な部分だけ解説していきます。
始まりはシンセですかね。コードはピアノが担当しています。Aメロはシンセもコードを担当しています。壮大な雰囲気を醸す音色です。サビ前にもシンセの音が鳴っています。他にはサビ前に効果音とサビの頭で爆発音的なのが入っていると思います。この1つ1つが楽曲の雰囲気を形作っているのだと思います。
他にもたくさん効果音がありますがこの多さ... あっぱれですね。
少し休憩です。
_( _´ω`)_フゥ
さて、お待ちかねのボーカルについて解説します。歌詞と一緒に歌割りを載せておきます。
さあ、行きましょう。
まずはアイナの歌い出しからです。優しさを持ちつつ、すぐに壊れそうな脆さを含んだ歌い方ですね。次のパートも良い感じにアユニの良さが出ています。アユニ節ですかね。少し気怠い感じもこの曲の雰囲気に合っています。
サビ前はリンリンです。個性が強いリンリンの声をあえてサビを引き立たせる為にサビ前で歌わせる、計算し尽くされています。
そしてアイナのサビです。これは聴く度に全身に鳥肌が立ち電気が流れます。歌う前のブレスと2拍早い飛び出し。そして何よりアイナの独特のハスキーボイスとストレートに想いを届け、泣き叫ぶ様な歌い方。魂が揺さぶられるとはこの事だと思います。
そしてチッチの透明感あるボイスからは想像出来ないほどの大迫力な歌い方。痺れます。
2番の歌い出しはモモコです。モモコさんの出番はここで終わりですが、個人的にMVのモモコさんのかっこいい感じがレアなのでそっちでお楽しみください(笑)。
2番のサビ前はアイナです。1番のリンリンと同様にサビを活かす構成ですね。次は誰なんだ?
2番のサビはハシヤスメです。
ハシヤスメ!?
清掃員の方はお分かりかと思いますが、これは珍しいですねぇ。そしてめちゃくちゃ良いですねぇ。少しだけねちっこい歌い方もすごく良いです。次は1番同様チッチですね。個人的にこっちのサビの歌割りの方が流れ的にしっくり来る気がします。
ラスサビ前はもちろんリンリンです。
そしてラスサビの前半はチッチです。これは少し意外な気もしますが最後にアイナを持ってくる為には当然ですね。そして最後のアイナはもう何も言うことは無いですね。完璧です。
こうやって、改めて歌割りを見るととても計算し尽くされていますね。これも全員がフルで歌って良い所を使うというBiSHのレコーディング方法だから出来る技ですね。
コーラスについても少し解説します。
アユニのパートはセルフのハモりが入っていますね。サビ前のリンリンとアイナのパートも多分セルフのハモりです。サビは松隈さんの下ハモが入っています。めちゃくちゃカッコいいです。
次は歌詞について解説します。
歌詞はもちろん我らが渡辺淳之介社長です。
渡辺社長の書く歌詞はやっぱすごいですね。
歌詞は正直人によって解釈が違うのであまり触れませんが、
この叙情的で同時に情景的な歌詞は誰が見ても聴いても天才だと言わざるを得ないと思います。そして何より歌詞に1つも無駄が無いですね。この歌詞もとてもエモーショナルです。
やっととりあえず楽曲についての解説が終わりました。(長かったー!) 残すはMV解説ですね。
MV監督は大喜多正毅監督です。
BiSHではオーケストラ、My landscape、stereo futureなどなど、その他も多数のMVを手がけているBiSHを知り尽くした人です。
大喜多監督のMV作品は大好きですね。そしてこのMVは個人的にBiSH史上ナンバーワンです。
渡辺社長の歌詞の世界観を完璧に映し出していると思います。ちなみに撮影地は千葉県銚子市にある屏風ヶ浦というところです。
振り付けはもちろんアイナ・ジ・エンドです。
ダンスはあまり詳しくないですが、この振り付けがBiSHの中でも特に異様なヒリヒリした雰囲気があります。絶対に普通のアイドルにできる表現ではないと思います。
ここの並び順にもアイナのこだわりがあるようです。
先頭はリンリンなのですが、DiSTANCEはアルバムのリード曲故、テレビでの披露を考えてパンキッシュな格好でテレビ映えするリンリンを先頭に置いたらしいです。
笑顔が一気に消え去ることでサビで何か破壊しそうな雰囲気を感じ取れます。ここの表現も流石ですね。「どんな時でも笑顔貼り付けた」という歌詞、自分だったら単純にずっと笑顔にしてしまいそうです。
おまけにDiSTANCEについて語られているインタビュー記事を載せておきます。
いやぁ、やっと終わりました。
どうですか。DiSTANCEに込められた想いが、私がこの楽曲をどれだけ愛しているかが伝わったでしょうか。
個人的にこの楽曲は全ての構成要素が完璧だと思っています。なかなかここまで本気度が私達に伝わるBiSHの作品も少ないように感じます。
これらの理由で私はDiSTANCEが全てを含めて1番好きですね。1番愛してますね。えぇ。
あとこれだけ解説しといてそれ言うかって感じですが結局好きになるのは理屈じゃないと思います。初めて聴いた時に居ても立っても居られない音楽こそが本当の意味の好きな曲ではないでしょうか。少なくとも私にとってDiSTANCEはそんな曲です。
最後にここまで読んで頂き本当にありがとうございます。文章が下手なのは勘弁。この記事を読んで少しでもBiSHへの愛が増してくれたら、BiSHだけでなく楽曲制作スタッフの凄さを理解して頂けたらとても嬉しいです。次は他の楽曲も解説したいですね。
それではまた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?