#落胆
スカイバスは順調にメルボルン市内を走っていた。
たしか!?目指すホテルはSpencer St(スペンサー・ストリート)沿いにあるらしいんだけど、どこかな?
Kings Gate Hotel(キングス・ゲート・ホテル)の真ん前にバスが止まらないことはわかっていたが、どれもこれも外観が同じようなホテルばかり。『目指すホテルはあれかな!?』この時、バスの運転手さんに確認すればよかったんだろうけど・・あとの祭りだった。
当てずっぽうで降りたその場所は、なんと目指すホテルまで30分ほど手前だったことを道ゆく人に聞いてわかった。ガァーン!
Spencer Stで間違えてバスを降りてしまったオレだった。
当然、乗ってたバスは走り去ったあと。時折来る、同じようなバスの運転手さんに聞いたりしてみたが・・『そっちには行かないよ!』って言ってるようだった。なんとか粘って、スカイバスが常に何分かおきに空港と市内とを往復していることを聞き出すことができた。しばらくの間、次に来るであろうバスを待つことにした。
またスカイバスがやってきた。バスの運転手に同じこと伝えてみる。
『I want go Kings Gate Hotel.』キングス・ゲート・ホテルに行きたいんだけど?
何やらバス仲間同士で話し合っている様子だ。どうやら、わざわざKings Gate Hotel(キングス・ゲート・ホテル)まで乗せて行ってくれるらしい。
えっ!ホントに!また奇跡が起こった。ホントそう思った。
もちろん乗客はオレ一人。
なので・・貸切状態でバスはホテルに向けて出発してくれた。正直、重いボードケースを持って歩いていることに少し嫌気が指していたので、この優しさにはジーンと来るものがあった。
こんな時、親切なバスの運転手さんと会話ができればいいんだろうけど、なんせ言葉が出てこない。感謝の気持ちと、申し訳ない気持ちとが複雑に入り組んでなんとも言えない感情だった。ちゃんと英語を覚えよう!そう思ったことは確かだった。運転手さんに厚くお礼を言って別れた。
『ヤッタァー!やっとホテルに着いたぁ!』部屋は541号室。ベッドとイス、それに小さなクローゼットのあるシンプルな部屋だった。これで一泊A $25(約2,500円)は大満足だった。
部屋で荷物の整理をしていたらハラがグゥーって鳴った。そう言えば、今日一日色々なことが目まぐるしくあって、機内食と空港でドーナツを2個食べただけだった。
ホテルのカウンターに行って『Is there food shop in this area?』って聞いてみる。ちゃんと伝わったか心配になったが、『Collins St(コリンズ通り)沿いに何軒かあると思うよ。』って教えてくれた。
ホテルを出てから思った。あれっ!Collins Stってどこだ?肝心なことを聞いてくるのを忘れてた。そんな時は近くにいる人に聞いてみる。道ゆく人に尋ね、だいたいな場所を確認した。
そこまで行く道すがらキョロキョロ辺りを見渡しながら歩いていくと、確かに何軒かの飲食店らしき店が並んでいた。どんな食べ物が美味しいかもわからなかったのでサンドウィッチを売っているような店に入ってみた。
そこはパッと見た感じ、日本にもあるSubwayみたいな雰囲気の店だった。パンの種類、具材、ソースなどの好みを店員に伝えて作ってもらう。サンドウィッチを2つと水(現地の人はナチュラル・ウォーターって呼んでた)で空腹を満たした。
気がつけば外はうっすらと暗くなってきていた。ここだと周りが高いビルばかりで夕日のオレンジ色すら確認できない。暗くなってきたし、寄り道もしないで、さっききた道をテクテク歩いて帰った。
ホテルへ戻るとカウンターで伝言を受け取った。日本のバイト仲間ダイさんからだった。
『ジェニファーの部屋の電話番号!ここにかけてみて。おそらくルームメイトが出るはずだから・・』という内容の伝言だった。
おぉー!ついに連絡が取れたのかぁ!?ヤッター!数分後・・オレの喜びは落胆へと変わった。電話の向こうのルームメイトが言うには・・
『いま、ジェニファーは実家に帰っていて3日後じゃないと戻らないよ。』英語力の乏しかったオレでも、ダメなんだ!ということはハッキリとわかった。
途方に暮れた。
『明日はレンタカー屋へ行ってみよう!』
もう寝る!
こうして、オレの長い長い1日目が終わった。
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