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#サイパン ピックアップトラック❗️

朝食後、ビーチに顔を出してみる。マグカップになみなみと注がれたコーヒーを美味しそうに啜(すす)りながら、海を眺めているBJを発見した。昨晩、お互いに酔っ払っていながらも約束したことは、ちゃんと覚えていた。

『10時に出発しよう。7箇所案内するよ!料金は1人55ドルでいいか?』とBJ

『もちろんだよ。じゃ!後で…』

一度、ホテルのラウンジに戻り朝食を済ませてから部屋でのんびり過ごすことにした。約束の時間にBJが用意して待っていたのは…普通の乗用車タイプのクルマだった。

『オレたちピックアップ・トラックの荷台がいいんだけど…』とオレとナオが聞けば…

『昨晩話しはしていたけど…ピックアップ・トラックの荷台は乗り心地悪いぜ!』とBJは気遣ってくれたが…

『ホントにオレたちピックアップ・トラックの荷台がいいから!』と、無理を言って、BJの友人からピックアップ・トラックを借りてもらうことにした。BJが言うには…

『変わってんな!あんたら…今までオレが見てきた多くの日本人が、暑いだの…エアコンが無いだの…道が悪いだの…快適な移動じゃないと文句言われたけど…あんたら、快適じゃない方が良いなんて…サイパンに住めるぜ❗️』だってさ…

ほめられてるのか⁉️  からかわれてるのか⁉️ わからなかったが…悪い気はしなかった。

『ちょっと待ってて!クルマを変えてくるから…』そう言い残してBJが姿を消して、待つこと30分ほど。ボロボロのピックアップトラックが姿を現した。思わず…

『うわぁー!チョーカッケェー‼️』とオレとナオは大はしゃぎ

『ホントにこんなボロボロだけどいいか?』とBJは。オレたちの反応が心配そうだったけど…

『イメージ通りだよ!サイコー‼️』と、予想に反したオレたちの上機嫌ぶりには、さすがのBJも理解できなかった様子だった。荷台に乗る前にゴザを渡された。

『汚れていて、じかに座ると痛いからこれを敷いたほうがいいよ!』

BJは、どこまでも優しい男なのだ。

ちなみに…サイパンで2009年当時は、ピックアップ・トラックの荷台に人を乗せて走ることはOKとされていた。アメリカ本国では、ほとんどの州で荷台に人を乗せて走ることは禁止されていただけに…アメリカンロードカルチャーの貴重な生き残りとも言える。

荷台に乗っていると…道行く地元の人たちや、同じくトラックの荷台に乗った地元の人たちから声をかけられた。

『よお!乗り心地はどうよ?』って聞かれた。その度に…『最高だよ‼️』ってオレたちが笑顔で答えるもんだから、運転中のBJも上機嫌だった。荷台に乗ってる外国人ってよっぽど珍しいらしく、その日は、一日中そんな感じでオレたちを見た地元の人たちが笑顔で話しかけてきてくれた。

ピックアップ・トラックの荷台での開放感は…オープンカーに乗っている時の感覚とも違い、風を切るバイクとも違った。

四方を遮ぎるものがなく、風がダイレクトに全身をすり抜けていく感覚は非日常的な体験だった。サイパンの青い空と荷台の上での開放感とのコラボレーションは、オレとナオにとって最高の思い出となった。

荷台に乗ったオレたちを、BJが案内してくれようとしていた7箇所は…

バンザイクリフ❗️  ラストコマンドポイント❗️  バードアイランド保護区❗️ カラベラ洞窟❗️   グロット❗️    スーサイドクリフ❗️        バウバウビーチ❗️

これらの中には…50年前の戦争の傷痕(きずあと)がシッカリと残っていたものもあった。





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