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#人生初のHold up!?なんで?

日中は波も良くなることはなく、クラブハウスのデッキに座ってボォーっと海を眺めていた。視線のずぅ〜っと先には南極大陸があるなんて不思議な感じだ。海以外に何もない”超”が付く贅沢な空間にいる。あとは波があれば最高なんだけどなぁ!

この時期のオーストラリアの日没は21時ごろ。なので夕方といっても、まだ太陽がサンサンと照っていて昼間のようだった。

日本では経験できない日の長さに驚きながらも、波があればタップリと波乗りができてラッキーなんて思っていた。でも、日が完全に落ちる21時以降は急激に気温が下がって寒くなる。

オーストラリアに来るまでは”夏は湿気でベタベタするもの”と思っていたので湿気がなくカラッ!としたオーストラリアの気候に少々戸惑った。湿気が無いとこんなにも空気が冷たく感じるもんなんだ。そのへんのことを考えて洋服を持ってこなかったのでTシャツに半ズボン、それに薄手の長袖とペラペラな長ズボンが一枚づつという軽装で来てしまっていたことを少し後悔した。

そうそう・・・昼間、こんな事があった。

隣町の『Torquay(トーキー)までちょっと買い物に行ってくるよ。ティム!』と一声かけて出かけようとしたら『歩いたら30分ぐらいかかっちゃうぜ!オレの自転車使えよ!』って貸してくれた。

さすが自転車だ。海風を受けながらTorquay(トーキー)までの一本道を颯爽と走っていた、まさにその時!突然、横にパトカーが並んで何やら早口な英語で話しかけてきた。でも、何言ってるのか全くわからなかったので、素通りしようとしたら・・ウゥー!ってサイレンがなって、ちょっと怒り気味のポリスが降りてきて『・・・・』また、何ごとか早口な英語で言っている。

『What!? なに!?』ってオレも返事する。

『フェンスに向かって手を上げろ』のジェスチャーをするポリスメン。

さすがにこうなると、言ってることはわからなくても、ただならぬ状況が理解できた。フェンスに手をつき両手を上げながら、内心・・オレ、何かしたか?自転車に乗ってただけじゃねえか!そう思っていた。ポリスメンがオレに質問する。

何となぁく『どこに泊まってるんだ?』って聞いているようだったので・・

『JanJucSurfClub (ジャンジャックサーフクラブ)』って答えたら、ポリスマンすぐにどこかに電話して何か話しているようだった。その間、オレはフェンスに両手をついてずぅ〜っとHold up(ホールド・アップ)だった。

電話を切ったポリスメンが戻ってきて何やら話してくれたが、それも早口すぎてわからない。ただ、自転車を乗らないで押して帰れ!って言っていることはジェスチャーで理解できた。

で、なんでオレHold up(ホールド・アップ)しなくちゃならなかったのか?

なんてことはなかった。オーストラリアでは自転車に乗るときはヘルメットの装着が法律で義務付けられていて、オレがノーヘルだったから捕まっただけだった。

今でこそ日本でも自転車に乗る時、ヘルメットをかぶる人をたまに見かけるようになったが、1996年当時の日本で自転車に乗るのにヘルメットをかぶる人は、まだいなかったと思う。

国が違えば法律も違うのは分かるけど、これは厳しすぎだよなぁ!

結局、その後自転車を押して買い物に行って、押してクラブハウスまで戻ってくることになった。車道を迂回しなくちゃならなかったから、歩くより時間がかかったかもしれない。

『ティム!今度からヘルメットも一緒に貸してくれよぉ〜!』





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