R-1グランプリの攻略法
今年もピン芸人ナンバーワンを決めるR-1グランプリを見た。
決勝を見始めるまで、去年のR-1のことは一切覚えてなかった。
あれ?ゆりやんが優勝してたんだ。
どんなネタだっけな、と思い返したところ、1本目のネタは仕事中のゆりやんが事務所内のあらゆるものにツッコむネタだった。
あれは最高だった、面白すぎた。
あと、去年のR-1で覚えていることは、クリーピーナッツの歌を多用しすぎていたことだ。いい曲なのにもったいない。
さて、今年のR-1グランプリをみて、いくつか攻略法が見えてきたので書いている。
ネタは審査員が見ている
当たり前のことだが、審査権を持っているのは、お客さんではなく審査員なのである。たまに、観客が赤や白の札を上げたり、色のついたゴルフボールを入れて審査するシステムがあるが、R-1グランプリでは審査するのは審査員である。
ただのギャグだけでなく、ストーリーをつけ一貫性のあるネタで勝負する、と言っていたサツマカワRPGは正しい。
自分の好きなネタで勝負することも大事だが、審査員好みのネタをコンテストに出すのが必要なことである。
ネタで笑う観客を審査員が見ている
大事なことを付け加えておくと、審査をするのは審査員だが、審査員は観客の笑いの量を審査の対象に入れている。
お笑いとは本来、目の前の観客を笑わせることである。
コンテストではこれが、少し厄介である。
観客の反応がすべてではないが、観客の笑いの大きさが多くの場合で加点の対象になっている。
出場者は観客に一般ウケするようなネタで、玄人が喜ぶようなテクニックをねじ込まなければならない。
審査員は人間性とバックグラウンドを見ている
これはコンテストにとって良いものかわからないが、R-1グランプリでは、「誰が」どんなネタをするのかを重要視している審査員がいるように見えた。
コンテストの常連であれば、前年よりもレベルアップしたネタを作らなければ審査員を喜ばせることはできない。M-1では、そんな様子を何度も見てきた。
素人から見れば、このようなコンテストで初めて見る芸人が多いので、全員、今日初めて知った体でネタを見ることが重要かと思っていた。知っている芸人が出ればむしろアドバンテージだと思っていた。
同一のコンテストで同一の審査員と演者であれば、前年比の審査があってもよいと思うのだが、全員がそうではないので、それは対等な審査になっているのだろうか?少し疑問に思った。(全員を知らない状態で審査するのは不可能、新人発掘オーディションではないので)
普段一発ギャグを得意としている芸人が、告知なしでギャグを控えめにしたネタをやって減点されていた?当日のネタだけでなく、芸人の得意分野や背景を含めて、審査されているように見えた。審査員も芸人なので関係性や付き合いがあるだろうし、当日まであえて出場芸人のことを調べないという審査員もいる。
改めて、どんな審査員がいるかを把握しておくことが、攻略のうえ必要だと感じた。
名の知れた芸人にとっては、実力が知られていて期待値が上がるのでコンテストには不利のように見えた。また、無名の芸人にとっては、爆発力が大きくなるチャンスのようにみえる。
もちろん、実力派芸人にとっても、期待の壁を越えられれば大チャンスである。
見た目のインパクトで期待値を下げておく
ここで、ある仮説が浮かんだ。
出オチになるような、見た目で笑わせることができれば、それ以降の笑いの期待値を下げることができる。
そこで期待値以上のネタを提供できれば、審査員に好印象を与えることができるのではないだろうか。
見た目に特徴のない、シンプルな容姿だと、ネタに深みが出てしまい、笑いを期待してしまう。
反対に、見た目で笑いの限界を低めに提示しておけば、ネタの本編で笑いを爆発させることができそうだ。
後半の笑いの爆発力が大事
審査員はネタの展開の幅広さや、転調、後半の伸びを重要視しているように見えた。
審査員それぞれの審査の内訳はそれぞれだが、単純にネタで笑わせることだけでは足りないようだ。
文章であれば起承転結、曲であればAメロBメロサビと、流れるような盛り上がりが必要なのだ。
ボケの量をカウントする審査員もいるが、少ない手数で笑いを作るのもスキルのひとつだとみなされる。
ここから考えられるのは、相対的なボケの量をコントロールし、笑いのクレシェンドを作っていけば審査員にウケるということだ。
前半は笑いの量が少ないほうが有利かもしれない。
錆びないネタのほうが面白い
いろいろ考えてみたが、審査員受けを考えてネタを作るより、本人が面白いネタをやってくれたほうが視聴者は喜ぶ。
ほとんどの歴代優勝者のネタは今見ても面白いネタだ。
AメロBメロと作り上げるよりも、どこをみても面白いネタが最強だ。
初めから笑えるほうがいいし、知的じゃなく、ばかばかしいほど面白くてもいい。優勝しそうな芸人は決勝一戦目から面白そうな流れを持っていく。
審査員はそれぞれ独自の審査基準を持っている。
笑いの大きさ、独特の設定、ストーリーや一貫性、人間性、スキル。
スキルの内容こそさまざまで、言葉の言い回し、溜め、空気など、挙げればすべて含まれるかもしれない。
あれ?ギャグは不利なのかな?ギャグよりもばかばかしさのほうが加点かな。コンテストではギャグで落とすことは難しいのかな。
今年のR-1グランプリはだいたひかるを思い出させるような、お見送り芸人しんいちが優勝した。
自分の予想とは異なる結果になるから、お笑いコンテストは面白い。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?