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ポンコツ社畜が新疆ウイグル自治区に行った話③ ~カシュガル着
結局あまり眠れなかったが、チェックインを済ませカシュガル行きの飛行機に乗った。途中から、なにやら景色が日本ではありえないことになってきて、ああ自分ついに来たなあとじわじわ思った。
ウルムチ経由で到着したのが15時過ぎ。ウルムチは雪であったが、カシュガルはなんだかえらい埃っぽいと感じた。
ホテルまではタクシーで行くつもりだった。普通、空港にいったらタクシースタンド的なところがあって、そこに行って行き先を告げればなんとかなるだろうと考えていた。
ところが、カシュガルにはタクシースタンドがないのである。
一応ちらほらとタクシーはいるのだが、乗りたい人は並んで順番を待つでもなく、めいめい適当に運ちゃんをつかまえてタクシーに乗っているように見えた。
これは引きこもりコミュ障にはつらい。私の心が辺境の地で全力で閉じていくのを感じた。
20分ほどそのまま右往左往し、指がかじかんで凍り始めたところで空いているっぽいタクシーを見つけ、意を決して至近距離に近づいて「ヘイヘイ、エクスキューズミー!!」的な感じで呼びかけたら「ああ、乗れよ」みたいな表情をしたので、車に乗り込むことにした。
なお、日本のタクシーみたいにドアがさっと開くみたいなことを期待してはいけない。ドアは自分で開ける必要がある。
運ちゃんはおそらくウイグルの人であった。当然英語は通じないので、google検索でホテル名を出した画面を見せて、ホテル名を連呼&シャウトしたらどうにかわかってくれた。
駅のロータリーから出ようとしたところで、なにやら見知らぬ兄ちゃんが運ちゃんに話しかけて、乗ってきた。世界トップレベルのペシミストの私は、この人ら私を拉致しようとしてるのかしら?と疑心暗鬼になった。私を拉致って金を請求したら、たぶんそこそこ円にはなるだろう。さすがに男2人では私はたぶん抵抗はできまい。
そんな私の心配をよそに、しばらく走ったところの途中の道で、同乗していた兄ちゃんは料金を払わずに降りて行った。
知り合い乗せただけかよ。
ところで、なにかさっきから日本語でぼそぼそ言っている声が聞こえる。緊張しながら耳を澄ませてみると、
「その200m先を右方向です」
「300m先、左方向です」
と言ってて、何かと思ったら日本製のカーナビがしゃべっていた。
カーナビは日本製なんだね?
しばらくして車が止まり、ここだぜ、みたいな表情を運ちゃんが見せたので、料金を確認した。約30元。相場通りの値段である。サンキュー的なことを言って車を降りた。
今回、宿は一か所しか予約できるところがなく、5つ星だが中心地からかなり外れたラディソンブルカシュガルというホテルであった。コワモテの警備員が入り口で睨みをきかせている、荷物検査もされるというネット上の評判だったので大層ビビっていたが、
なにやら警備員は私を見てニタニタしていた。
え、何?日本が誇る私の顔がなんかそんなおかしいの??と思いつつ、チェックインを済ませ私はようやくホテルのベッドに腰を下ろすことができた。
初日はさすがになにもやる気がせず、ウェルカムスナック的に出されたものを食べて、風呂に入って寝た。最初この梅干しの種みたいなものは何ぞと思ったが、殻を割ったらアーモンドが出てきた。味はピスタチオもアーモンドも謎の甘辛い味だった。
なお、警備員氏はチェックアウト最終日まで終始ニタニタ笑いだった。
(④につづく)
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