時間軸が離散的な息子氏と、多様な脳味噌の個性について ~その②
【前回の話はこちら↓】
※免責事項的なアレ:できる限りやりとりを正確に思い出して書いたつもりですが、必ずしも医療情報の正確性を保証するものではありません。その旨十分に予めご了承のうえお読みになり、お困りの際には専門家にご相談ください
シュッとした先生、登場
電話予約をしてから1週間後。私はカウンセリングを予約した児童精神科にいた。待合でしばらく待っていると、「…ぽんこつさん、ぽんこつ太郎さん」と呼ばれたのでそそくさと席を立って、診察室に入った。
精神科を速攻で予約しておきながら言うのもなんだが、私は精神科のお医者さんに対していいイメージをもっていなかった。「こっちがいろいろ訴えているのに先生が全然話きいてくれねえ!」みたいなことを聞いたことがあって、コミュニケーションとるの大変だろうなと身構えていた。
ところが、今回何やらシュッとした、感じのいい先生が出てきたのでしょっぱなから腰を抜かした。
「ぽんこつさんですね。一回お電話でお話お伺いしてるので、だいたいのことは理解しています。今からご説明します」といって、手際良くホワイトボードを取り出し、おおよそこんな感じの絵を描いてくれた。
「世の中には2種類の人が~」
「世の中には、2種類の人がいます。私や太郎さんはたぶんこの左側の人たち。私たちは、体験の時間の軸が連続していて、「前こうだったから今度はこうしよう」とか「次はこうなるからこれをやろう」とか思いますよね」
「…はあ、普通はそうなんじゃないすか」
そうですよね、と言いながら頷く先生。
「お話を聞く限り、息子さんは右側のタイプです。体験の時間の軸が連続していないタイプ。「前こうだったから」とか「次はこうなるから」というのがわからないのです」
「え?常に俺は今を生きるぜ!みたいなモードってことですか」
「…はい、まぁ、そうです」
ナニソレ。
「…それ、病気ですよね?」
「違います、個性です。怒りっぽい子とか、優しい子とかいますよね?そういう個性と同じです。脳味噌の構造の問題なのです。」
「それは後天的なものですよね?何か育て方が悪かったとか?」
「いいえ、生まれながらにそういうのは決まっています」
…ハ?
「…息子さん、怒られた後でケロッとして「今日のご飯なに?」とか言ってきたりしません?」
「そうです、あれは私すっごい疑問で(…この先生超能力者?)」
「それも、前の経験とのつながりがあまりよくわかってないからです」
「…。」
強烈なフラッシュバック現象
「…それでですね、こういう人は昔の出来事が突然フラッシュバックすることがあります。私たちは昔の嫌なことを思い出すことがありますが、嫌な思いが昔よりは若干薄らいでたりするじゃないですか。」
…うん、まあそれは普通そうなんじゃないの。
「ところが、こういう人はその時の嫌だった思いをその時のまんま、フルで思い出します。」
「…。」
「学童でゲームができなかったことを思い出して泣き止まなかったというのはまさしくそれだと思います」
「…。」
なんで過去に起こったことを思い出してそんなに泣くのか(しかもゲームを制限したぐらいで)まったく意味不明だったのだが、そうかその時のショックをフルに味わっているのか。ここにきて初めてハラオチした気がした。
離散な時間を生きる息子と連続な時間を生きる親と
「息子氏さん、何かに夢中になると没頭してしまうということですが、この今しか見ていない、っていう個性のせいもあるかと」
「はい、本を読みだすと話しかけてもドン無視ですし、最近はラジオを聞いてて親がラジオおしまいよ、といっても全く反応しなくて…」
「…ラジオとか、超シブいですね」
つまり、私が「宿題やりなさいよ。やらないとあとで困るし、昨日も怒られて困ったでしょ?」とかいったところで、今の楽しいことしか見えない彼には完全に意味不明だったらしいのである。
じゃあ、時間軸が離散的な息子氏と連続な私とで一体全体どうやってコミュニケーションをとればいいんだろうか?
それとも、私たちは親子なのに一生わかりあえないままなのだろうか?
【その③につづく↓】
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