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ポンコツ社畜が新疆ウイグル自治区に行った話⑤ ~カラクリ湖ツアー

カシュガル観光で残されたのはあと約1.5日程度である。これを有意義に過ごすため、現地でカラクリ湖へのオプショナルツアーを手配した。これまた直前&おひとり様なのでまあ、高い。夫に言ったら確実にお小遣い制への移行を迫られる金額である。

でも、私こういう楽しみのために人に嫌われながら仕事してるの。ここで金使わなきゃいつ使うの。また、勢いをこめてツアー申込ボタンを押下した。

ツアー催行会社からの連絡は非常に速かった。なにやら、
「通行許可をとるのに必要だからパスポートの写真を送れ、至急」
と書いてあった。よくわからないがパスポートの写真を撮って送り付けた。

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翌朝、8時に起きたがまだ日が出てすらいないので、朝食会場に向かう。ヨーグルトがなぜかおいしい。ただ、ここは辺境の地なのでフタがきれいにとれるとかそういうことを期待してはならない。最高にイライラしつつナイフをフタにがしっと突き立てる。

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ガイドとはホテルのロビーで待ち合わせと書いてあったので待ってみたが、15分経っても来ない。5分たってガイドが現れなかったらツアー催行会社に電話せよとあったので、電話口でガイド氏来ないで?と言ったら「確認しますお待ちください」と言われた。しばらく後にガイド氏が現れ、「ぽんこつさんですよね?すみません、外で待ってました」とおっしゃった。
待ち合わせホテルのロビーじゃなかったのかよ。

車に乗り込んだところでガイド氏から、
「時期的に冬なので、レストランとかも一切あいてないので途中の村でお弁当を買って行きます。あと山道で片道4時間半ぐらいかかるので覚悟せよ」みたいなことを言われた。
この時期観光に来る人いるんですかね?と聞いたら
「いや、いませんね。普通は夏です
とすがすがしい答えが返ってきた。

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しばらく走ったところで、検問みたいなところに通される。ガイド氏が私のパスポートのコピーと思われる書類を持って詰所みたいなところに行ったら、なんか公安みたいなのがやってきて、車のドアをあけて片足つっこんできた。

あー、これ終わったわ。完全に終わったなあ…と呟いていたら、
公安氏は「ねえねえ君、英語しゃべれる~?」みたいなことを言い出す。「ああ、少しはな」と答えたところ以下のようなやりとりが発生した。

公安氏:「ねえねえねえ、今の時間ってコンニチハなの?オハヨウゴザイマスっていうべきなの~?
ぽんこつ:「正確にはオハヨウゴザイマスだな」
公安氏:「キャハ、オハヨウゴザイマスだって!(そういって仲間の方を見る)ところで君、学生なの~?どこから来たの?このAICHIって書いてあるのは何かな~?」
ぽんこつ:「ふつーに観光客だよ。AICHIはオリジナルアドレスだがいまは東京に住んでて東京から来たんだよ」
公安氏:「へえ~、東京なんだ~。じゃあ、通っていいよ。ありがとー、ハヴァナイスデー、サヨナラ~、キャハハ~

ナニコレ。

なにやらあまりの緊張感のなさに腰を抜かしてしまった。その後も、検問がいくつかあったが男性の公安はおおむねこういう感じであった。

しばらく、カシュガル郊外のぶっちゃけ何もない風景を楽しんだ後、ガイド氏から「ここの村でお弁当を買って行きます、10分ぐらい停車するんで降りてもいいです」と言われたが、インドア派なので「寒いからいいっす」と答えて車内にひきこもることにした。さすがにこのへんまで来ると100%中国感はない。

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さて、ここからしばらくしてなにやら景色がおかしくなる。

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途中、ガイド氏が「トイレ行きますか?」と言ってきたのでそうします、と答えたところ、公園みたいなところに入っていった。ああここにトイレがあるんだな、と思ったら
「あ、そういえば冬で閉鎖されてました。その辺でしてきていいです」という恐怖のフレーズが来た。

一応結構迷ったが、我慢して不測の国際問題になることは避けたい。私は山ガールで、お花を摘みに行ったと思えばいいんじゃないのか。ここ山じゃないし私はガールじゃないけど。

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いろいろな喪失感やらなんやらが胸に去来するが、カラコルムハイウェイの荒涼とした景色は私を癒してくれた。

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途中ものすごい悪路になって、揺れすぎてうっかりすると脱輪するかもな、みたいな状態になった。案の定脱輪しているトラックが向こうに見える。
ガイド氏に「あの車大丈夫なんですか?」と聞いたところ、「ああ、あれはタジキスタンの車ですね」とのこと。そういうことを聞いてるんじゃねえ。

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そんな感じでだいたい片道4時間半すぎたあたりで、ガイド氏がついたで、みたいなことをおっしゃった。カラクリ湖である。

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ムムターズアタ山があるはずなのだが、、隠れとるー。晴れてたら美しい山並みがよりよく見えるんじゃないのかと。

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さて、ガイド氏にここでお昼にしましょうといわれ、ポロ(炊き込みご飯的なもの)を渡される。絶対冷えてるだろうと思ったらかなり暖かくて感激。これ絶対にうまいやつ。

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そろそろ戻ります、と言われたので「まさか、来た道をそのまま戻るんすかね?」と聞いたところ、「そうですよ」とこれまたすがすがしい答えが返ってきた。ですよねー。

帰る途中で見かけた、湖のほとりのキルギス族の村。人ほとんど住んでないと聞いたけど、いるところにはいるんですな。

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カラクリ湖ツアー、往復9時間かかったが、本当に行ってよかった。
お金ふっとんだけどな!

カシュガル観光として残されたのはあと半日。そして、最後の最後でカシュガルの行く末みたいなものを垣間見ることになるのである。
(⑥につづく)

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