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ポンコツ社畜が新疆ウイグル自治区に行った話② ~空港で野宿

12/28日の成田20時30分発、成都行きの飛行機で私の無鉄砲旅行がスタートした。途中機内食配布等で何回か起こされつつ、成都に到着したのは1時35分。まずは中国への入国審査がある。

飛行機から降りて、まず最初に目にしたのがこの看板であった。

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中国籍じゃない人は、ここで指紋をスキャンするようにということなのだろう。しょうがないので、並びの列に辟易としながらも機械の前に立ち、スキャンをする。
「左手の四本の指を中央に置いてください」
という日本語アナウンスに従ってみたのだが、私の指に問題があるのか
「左手の四本の指を中央に置いてくだ左手の四本の指を中央に置いてくださ左手の四本の指を中央に置いてくださ」
と機械が壊れたようにしゃべり始めた。

そんな人は周囲におらず、どんどん人がはけていって私もあせりだした。意を決した私は、近くにいたカワイイ眼鏡警備員女子に
「ちょっとコレ、いつまでたっても終わらへんのやけど?」
みたいなことを訴えかけた。そしたら
「あー、おk」
と言われてそのまま入国審査に行くように促された。その後の入国審査で同様の機械で指紋をスキャンされて、そこは一発でOKで問題ないらしかった。だったらやらすなや。

さて、深夜2時に成都双流国際空港でほっぽりだされた私は途方に暮れた。なぜなら深夜のトランジットとか野宿とか一切経験がないのである。私は誉れ高い元箱入り娘であり都内の中高一貫校のぬくぬく温室で割と鷹揚に育てられた系である。

実は近くのホテルを予約したのだが、翌日8時の飛行機に乗るのにうっかりすると寝過ごす可能性があると思ってキャンセルしたのだった。移動とかタクシーの運ちゃんとのやりとりがめんどくさいし。

ベンチに座して男らしく朝を待とうと思ったのだが、なかなか心休まる場所がない。床に人が転がっているわりと衝撃的な光景に目を背けつつ、心休まる場所を探し回って3階にあがってみたところなにやら入ってもよさそうな休憩所があった。

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中には現世の穢れを見事に体現したような薄汚れたクリームイエローのソファがあり、そこに人がごろごろ転がっている。

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空いているところを見つけ、バックパックを枕に横になってみたところ、

キャー!!たばこの吸い殻が!2つも!ソファーに!落ちてる!
私、汚いところで寝たことなんてないのに…

いや、こういう経験を私は積みに来たのではなかろうか。こういう経験を経てこそ立派な漢になれるのではないか。そう思ってブーツを脱ぎ、インド雑貨屋で買ったブランケット的なものにくるまって目を閉じた。

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数時間ぐらいうとうとしたところで、たばこのにおいで目が覚めた。見ると、後ろの兄ちゃんがたばこをふかしている。普通、なんかこういうとこで吸わなくない?普通?と思ったら
「コラ~!そこでたばこ吸わない!(推測)」
と係員のお姉さんが注意しにやってきて、後ろの兄ちゃんは「ギャハハ」と笑ってたばこを吸うのをやめた。

怒られたらせめて気まずそうにするものだろうと思っていたけれど、もはやそういう私の価値観は死んでいるのかもしれない。昨今仕事で見る若者そういうの多いし。そのほうが後腐れなく怒れるし、そういうご配慮なんですねきっと。
(③につづく)


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