重いのに軽い
はい。Zを試乗したあと「アリアも空いてますが…」と言われたので乗ってみました。しかもこちらは、高速道路に乗って「やっちゃえ日産」ができるということで1時間の試乗コースをお願いしました。
この車も例に漏れず受注停止中ですが、長納期に痺れを切らしたお客さんが「もう待てへんし要らんわ!」つってキャンセルしてるので、行き場を失った車両がすぐに手に入るパターンがたまにあるみたいです。
試乗車はアリアB9のe-4ORCE、つまり4駆のトップモデルでした。最高出力は290kw(約400馬力)。ただし車重は約2.3トンとスーパーヘビーなのでめちゃくちゃ速いというわけではありません。
航続距離は560kmらしいですが、これは全くアテにならない数字なので実際には400km走れば良い方だと思います。
内装はアンドン的な間接照明があったりレザーの色にはブルーグレーを採用してたり、"枯山水"をモチーフにしたフロアマットがオシャレ、ですよね!(圧)と言われたので「はぇ〜」と思いましたが、800万円というプライスに対してこれが適正なのかどうかは微妙なところですね。ただしZやGT-Rよりは遥かにマシです。
でも外装、見た目は個人的にはすごくかっこいいと思います。この"暁-アカツキ- サンライズカッパー"とかいう色もなかなか良いですね。なにそれ?
内外装はともかく走ってみる。
お〜
全く重さを感じさせずにフワッと加速してフワッと減速しますね。2トン超とは思えないような動き。
パワーは「意図的に抑えてる」らしいので、出だし超速い!とかは無いです。ガソリン車からの乗り替えだったらこれくらいの制御のほうが自然で馴染みやすそうですね。
e-4ORCEはアテーサ譲りの技術らしく、結構スポーティな走りが楽しめます。コーナーではアクセル踏みっぱでも自然に介入してきて綺麗に曲がれる。モーターならではの緻密な制御って感じで面白いです。
スポーツモードにするとスピーカーから「コォォーーーー」と電車が加速するときみたいな音が出てきます。体感超速いわけではありませんが、0-100km/h加速は5.1秒らしいです。なかなか速いですね。
「あんまり速い車にしても、ブランドイメージを毀損する可能性があるので…」と言っていましたが、日産のブランドイメージ……バックフォグピカピカさせてる35GT-Rの隊列が湾岸線ウロウロしてるとかそんなイメージ?
正直その言い分はよく分かりませんが、とにかく控えめにしているらしいです。
乗り心地はというと、悪くないです。ただし、たまーに雑誌とかで書かれてるように段差を越えたときに前後に揺れる変な癖があります。前後にバカデカい重量物を積んでいるので「物理現象」以外の何物でもないと思いますが…。
しかしまぁ、重いわりにはとにかく全ての動作が軽いです。踏み始めから最大トルクが発生する恩恵をこれでもかと感じました。最小回転半径は5.4mと、なかなかに小回りもききます。試乗コースは転回する箇所があり、「こんなデカい車で転回…嫌だなあ」と思ってましたが、難無く転回できて良いなぁと思いました。
なので、乗ってて大きさや重さをほとんど感じません。軽いわけないのに軽さを感じる、不思議な感覚でした。
あとはプロパイロット2.0。本当に手放しで走ったので「すげ〜」と思いました。もはや運転ではなく、ゆりかもめかなんかに乗ってるだけみたいな感覚。
ただし、手を離せる条件が結構厳しいらしく、だったらアイサイトXとかとそんなに変わらんか…。
……
このインフラの整ってない国で積極的にこの車を選ぶ理由は分かりませんが、(国産の)妙に走行性能が高いSUVが欲しい方には良いんじゃないでしょうか。国産だとあんまり速いSUVって無いしね。
そうじゃないならマカンとかGLEとか…のほうが普通に使える上にダイナミックな走りが楽しめそう。
あ、でもこの車も"ニスモ"が出るのか。カーチューン仕様みたいな見た目のやつが。
今もまともに生産できてないのにこの車はいつになったら買えるようになるんですかね?ボンネットに変な海苔が付いてておにぎりみたいでバカダサいので買うつもりはありませんが…。
国産EVのフラッグシップはとにかく「走り」を強調したいみたいで、うーんという感じです。確かに4駆制御は見事だと思いましたが、もうこの国に「先進的な」モノづくりは不可能なのか…と若干不安になりました。最近の中国のEVは走行性能や信頼性はともかく、新技術がバンバン使われてますからね。車以外の部分(主にソフトウェア領域)は新興メーカーにかなり遅れを取ってると思います。
車好きとしては電動巨大ラジコンブームが収束してくれると嬉しいでつが…。世の中の流れなんでしょうがないですね。
次回はソルテラ(FWD)乗ります。ほんとは4駆に乗りたかったんですけど4駆ありませんでした。公用車なんだからケチるなよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?