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遊び心と緊張感…が欲しい

というわけで日産新型フェアレディZに30分ほど試乗しました。

日産 フェアレディZ(’23)

この車、絶賛受注停止中(2024年3月現在)でディーラーに行っても試乗することができません。商談どころかカタログすら貰えないらしく、つまり今現在売る気が微塵も無い車になります。ほんまにどういうこと?

公道では全然見かけないし、転売はされまくってるし…何?

それはともかく乗ってみたいということで、横浜にあるグローバル本社ギャラリーで試乗予約しました。GT-RやZの予約は結構すぐ埋まるみたいなので、早めに予約したほうがいいですね。

本当はGT-Rに乗ってみたかったのですが、そっちは30歳以上じゃないと乗れない、と…キッズお断りということみたいです。どうせ買えないしいいか…。

かっこい〜怒

まぁ新型Zが発表された瞬間は「超ほしい!」と思っていたので、気になる存在だったことは確かです。

まず単純に、見た目がすごく良くなりました。賛否は分かれるみたいですが、S30ZやZ32のデザインを上手く取り込んで現代風にアレンジしたセンスは◎
人目を引きますね。
今回採用されたイエローやオレンジ、青はかなり目立つビビッドな色ですが造形が負けてないです。

あーしの周りの人々からはすこぶる評判が悪いですが…。先代よりかっこよくない?

この色すき

さらにはパワーユニットも大幅に増強されていて、ビッグマイナーチェンジらしいですが実質フルモデルチェンジ並に変更点は多いです。

今回の試乗車はバージョンST、665万円のトップグレードでした。19インチの鍛造ホイールに対向キャリパー、機械式LSD、BOSEスピーカーが標準装備。

そういうわけで素直にワクワクしながらエンジンスタート。

……

ん…?

静か〜

アイドリングしてるはずなのにエンジン音がほとんど聞こえてこないね。

思わず「え…静か〜」って言っちゃったんですけど、どうやら遮音性がめちゃくちゃ向上していることに加え、最近の騒音規制をクリアするためにはここまで静かにしないといけないらしく、この時点で3リッターV6ツインターボ感は皆無です。

というか、走り出しても全然静かです。フロント255・リア275のかなり太いハイグリップタイヤを履いてるはずなんですが、ロードノイズもかなり低減されてます。

窓ガラス触ってみてください!って言われたので触ってみたら、たしかになんか厚い…
スポーツカーにあるまじき静けさです。

それに加え、普通に乗り心地が良いです。

長時間乗ってても全然疲れなさそうですね。電制ダンパーは"ニスモ"じゃないと装着されないので、スポーツモードに入れてもこのままです。いい意味でも悪い意味でも思ってたんと違う感じですね。

600万円以上するのに電制ダンパー付いてないんかとは思いますが。

スポーツカーというよりかは、高速道路をゆったり流せるスペシャリティカー、昔の言い方だとデートカーって感じですかね?

エンジンは405馬力ということですが、これも扱いにくさは全く無いです。元々乗用セダンに載っていたエンジンなのでそりゃそうなのかもしれませんが…。9速ATはぽんぽんすぐにシフトアップしていって、なおかつ変速ショックもほとんど無いので街乗りで不快になることもありません。

スポーツモードにするとBOSEのスピーカーから若干エンジン音みたいなのが聞こえてきますが、これもかなり控えめです。シビックタイプRのはかなり大音量で壮大でしたが、Zは回さないと音が小さいし、回してもそんなに音はデカくないです。

踏み込んでいくと流石はハイパワーなだけあってぐんぐん車速は上がっていきますが、ドラマティックな感じはありません。気付いたらスピード出てるねみたいな。

ブレーキも若干遊びがあって、踏み込んでいくと効いてくるタイプ。これもどっちかというと、快適にドライブするためのつくりですよね〜。

なるほどね〜

完璧に、おじさん向けですね

言葉の節々から「あんまり楽しそうじゃない感」が滲み出てたと思いますが、少なくとも市街地乗ってるだけだとなんにも面白くない車でした…。

シビックタイプRを買った知り合いのおじさんは「腰が痛いよー😭」と言いながら笑顔で乗ってるし、あーしが以前借りたGRスープラなんかもお世辞にも乗り心地が良いとは言えない車でした。

さらに上記2台はアクセルを踏み込むとわりとエグい音を出しながら猛突進するので、最高に楽しいですがその分乗ったあと疲労感はかなりあります。

Zはなんか…「若い頃S30Zとかに乗ってて、今はスポーツカー降りたけど、子供が巣立ったからもう1回スポーツカー乗りたい…けどガチすぎると腰痛いし、速すぎても身体がついてこれない」みたいなおじさんがメインターゲットになってるのがよく分かります。

だから、スポーツカーとしては色々ナーフされた車になってるんだと思います。

もし自分が乗るなら、最低限、減衰力を変更できる車高調とマフラー、バケットシートを入れたいですね。

内装は、他の日産車のシフトノブが流用されてたりZ34と同じ部品が使われてたり色々気になるところはありますが、それは百歩譲って良いとして、なんかもっと…各所にステッチを入れたりとか材質を変えたりとか…遊び心が欲しいです。
赤黒のツートンもあるみたいですが、そうすると今度は一気にチープになる。最近の欧州車のラブホみたいなゲーミング内装もあんまり好きじゃないですが、これよりはマシです。

これはZニスモの内装だけどシフトノブは共通

大人向けなんだったらこれでいいのかもしれませんが、スペシャル感はあんまりないです。

ちなみに価格に見合った内装かというと、残念ながら20点です。

価格は539万円〜ということですが、別に安くはないけどプレミアムブランドの競合と比べれば安いですよね。別に安くはないけど。内装がね…。

でも商品力と価格のバランスという点では妥当かなと思います。実際売れてるし。古い車なのに令和の車としてリボーンできてる。

妥当かなとは思いますが別に安くはないです。(念押し)

……

というわけで総評としては「速いしかっこいいけどあんまり楽しくはない(安くもない)」になってしまうのですが…。

今回は市街地を走っただけなので、ワインディングを走ったら…もしくは6MTモデルに乗ったら…また違う感想になるかもですが、今回乗った限りだと正直自分はあんまり欲しいとは思えませんでした。高速道路で踏みまくったら「楽しーーーー‼️」ってなりそうですが、免許を犠牲にしないと楽しめないんじゃなぁ。

ただ、普段「楽しい」に振りすぎてる車に乗ってるせいで感覚が麻痺ってる可能性はある。実際自分がおじさんになったら「こういうのでいいんだよ」とか言いそう。

もう少しハードなZが欲しい人向けには"ニスモ"も出てますが、約920万円て…。一般的な若者には手が出ませんね。

とはいえ、世の中を見渡すと金持ったおじさんしかスポーツカーなんか買ってないので、そっちを向いた車しか作ってくれないのは当然といえば当然です。

今後もこんな感じのスポーツカーばかりが発売されると思うと少し寂しいです。

それとは別にシンプルに日産が終わってるだけっていう説もありますが…。なんにせよ嫌な時代に生きているんだなぁという感じですが、各社スポーツカーは常にラインナップしてほしいですね。

老後になったら買います。


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