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上京0か月目の話


思い返せば、大人になるにつれ東へと進路を向けていく半生でした。

西日本の片田舎に生まれて、日本海の近くで育ちました。
大学進学を機に18歳で関西へ移り、そのまま大阪で就職して、新卒からの数年間を過ごしました。
だんだんと仕事を任されるようになっていく中で、ある時プレッシャーに押し潰され、休職しました。

そうして決まったのが東京への引っ越しです。

決して高尚な目標があったとかそんなことではなく、「体が限界だからもう辞めようと思っている」という私に、東京で働いていた恋人が「じゃあ一緒に住む?」と救いの手を差し伸べてくれて、ありがたくその誘いに乗ったというのが大きなきっかけです。

とは言っても、葛藤や困難はもちろんありました。
生まれ育った故郷からは東京は、今よりもっと遠くなります。
新幹線も通っていないので、帰るときは飛行機か、特急か、半日以上高速バスに揺られるか…。
もしこのまま東京で結婚や子育てをすることになったら、もう気軽に家族に会ったり、大変な時も頼ったりすることは難しくなるんだなと思ったらそれはもう気持ちが揺らぎました。
現に今体調を崩してメンタルも落ちていて、そんな中東京という大都会でやっていけるのか、不安で仕方がありませんでした。

また故郷だけでなく関西にもとても愛着がありました。
大学時代を過ごしてできた友達や、同じサークルの先輩、バイト仲間も多く関西に住んでいます。
元々父が大阪の生まれだったこともあって仲の良い従姉妹も近くに住んでいるし、恵まれたことに学生時代最も仲の良かった親友がともに大阪で就職が決まったため、彼女ともすぐ会える距離に住んでいました。
ようするに私は、大切な人がたくさん身近にいる環境でこれまで過ごしてこれていたんだなと、この地を離れる状況になって痛感しました。

それに、仕事やお金のことも不安でした。
恋人は一緒に住もうと言ってくれてはいるけれども、現在は実家暮らしです。
2人で暮らす家を見つけるにあたって、一馬力でやっていけるほど東京の家賃相場は甘くありませんし、結婚もしていないのに恋人に頼りきりになるわけにはいきません。(家賃に関しては正直舐めておりましたので賃貸情報を見て目ん玉飛び出ました。大阪ってまだ安かったんだなぁ。)
転職してまた同じ失敗を繰り返さないか、そもそも正社員で雇ってもらえるのか…。
引っ越し費用だって、前職でそこそこの年収は頂いていたものの高ストレスによる散財で貯金は全然なく、資産を切り崩しながら休職している状態でしたので、ここから捻出できるのか?という感じでした。
生きていくためには転職するより今の職場に復帰したほうが早いのでは?と決断を焦ったりもしました。

家族や親友、恋人にも、たくさん相談してたくさん意見をもらいました。
でも誰に聞いても、”こうすればいい”という明確な答えは得られませんでした。
当たり前ですよね。結局決めるのは私自身なのですから。
それでもこの歳になって、こんな状況になるまで気づかなかったんです。
大学を卒業して一般企業に勤めて、これまでなんとなくある公式のようなものに沿って人生を送ってきました。
そこから正解のない残り80年近くの人生を、自分で決めて動かしていくということが、こんなにも迷いや不安を伴うものであると初めて実感しました。

考えて、悩んで、決めた!と思ったら、また揺らいで。
本当の本当に決めた!と思った道の脇に突如ハイウェイが建設されたりもしました。その時はまた迷いました。

そうしてようやく、東京へ住むことを決断したのです。
これが現在の私。上京0か月目です。

どうにかこうにか次の転職先もちゃんと決まって、2人で住む家もギリギリのところでなんとか審査に通りました。
また引っ越し業者を相見積もりしてあくどい値切り交渉をしたので、費用も捻出できそうです。

もちろん先に書いた不安が完全に消えたわけではありません。
転職先のことは実際に働いてみないと分からないし、誰かと生活を共にすることが時には苦痛に感じるかもしれません。
それでも、”自分が決めたことだから”という覚悟の推進力を信じています。
誰にも強制されていません。大阪でこのまま頑張ってもよかった。地元に帰って休んだってよかった。
だけどこの東京行きは、私自身が、選んだ道です。


まだ上京していないけれど、住み始めたらきっと慌ただしい生活の中で忘れてしまいそうなので、この決意の過程を見返せるようnoteに投稿しました。

昔上京した経験のある人も、今東京に住んでいる人も、これから住もうとしている人も、皆それぞれに決断の過程があると思います。
この記事がその時の気持ちを思い出すきっかけになれば幸いです。


現在の時刻は朝の6時56分。早起きではなく完全に昼夜逆転生活で、ニート生活のたまものです。
夜中に書いた文章だから、ひと眠りして、起きてまた読んだらこっぱずかしくなって消したくなっちゃいそう。
なのであんまり見返さずにお布団に入りますね。
東京に行くまでは、つかの間の無職期間を存分に楽しみます。
それでは、おやすみなさい。

部屋から見える朝焼けのあべのハルカス

#上京のはなし

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