思い込みの呪いと、4000字の魔法
「奈美と結婚しても、ダウン症の弟くんの面倒を見る自信がない」
高校生の時、付き合っていた彼氏が言った。
ショックだったのは。
明るかった彼の、思いつめたような表情でも。
とつぜん切り出された、将来の話でも。
障害のある弟を、否定されたことでもなかった。
っていうか結婚とか急になにを言い出してんねん、どうしてん。
なにより「弟は私に面倒をかける存在で、私がその面倒を見なければならない」と思われたことがショックだった。
今まで、弟を面倒だと考えたことがない。
そりゃ弟