20240604 背光反射というのがあるのを知る。


この記事おもしろかったです。

背光反射は虫や魚によくみられる姿勢制御機能であり、明るい方向に背中側を向けようとする反射的な行動になります。
比較的大きな動物にとって上下感覚は重力を感知することで認識されます。
しかし小さな虫や魚にとっては空気や水の粘度が無視できない問題であり、適切な重力を感知することを阻む要因になりがちです。
そのため小さな虫や魚には重力と反対の方向(上)を光の明るさによって感知し、明るい方向に自動的に背中を向ける姿勢制御システムが存在します。
(※あくまで光に背中を向ける性質であり、光に近づく性質ではありません)
・・・

以上の結果は、虫たちに備わった背光反射という世界の上下を認識する単純な仕組みが人工光源によって乱されたことが、虫たちを光の周辺に拘束し続ける原因であるとを示唆します。

上下は大事らしい。

虫であれば、空気と地面の境界側と、空気のより上層側の区別。
魚であれば、水と地面の境界側と、水と空気の境界側。

人間はわりと重いので、重力の引っ張りが実感できるので、引っ張られているほうが地面で、それを「下」って呼びます。

虫や魚は「上」や「下」なんて言葉は使いませんが、どっちに何の境界があるかという違いは解らないと困るわけで、でもそれを重力の引っ張りで区別するのは難しい。空気や水のネバネバで体が浮いちゃうから。

なので光を使って、光の明るいほうが上空側、光が暗いほうが地面側、そういう判断をしてるっぽい。で、地面のほうに腹をむけて、光のほうに背を向けて動きましょう、ってことらしい。



人間が火や電気で照明を使うより前なら、虫や魚も太陽の光だけで判断すればよかったので、惑うこともなかったのでしょうが、人の「夜も明るくしたいんだ!」欲求のせいで、ちょっと困ったことになりました。

困ったことになったのなら、困らないようにするんですよ。ってことで、

そのため研究者たちは、ライトトラップで捕らえられる蛾が減ったのは、人工光に引き寄せられないように蛾たちが進化したと考えるほうが妥当であると結論しています。
人間にとって数十年という期間は一生の一部に過ぎません。
しかし年間3~7回もの世代交代を行う虫たちにとっての数十年は、人工光を避けるように進化するのに十分な期間であると考えられます。
実際、以前に行われた別の研究では、強力な選択圧がかかると虫たちは飛行能力や夜間活動の割合、感覚能力などさまざまな機能を急速に進化させることが実証されています。

いつまでも光のワナになんて捕まらねえぞ!

で、ライトトラップには引っ掛からないようになってきたけれど、
フェロモントラップには変わらず引っ掛かっちゃうらしい。

・・・光よりもフェロモン💗上下よりもフェロモン💗

やっぱ蛾にとっては生殖が最重要項目なのだろうから、そこは果敢に突っ込んでいかないと、何のために成虫になったのか、って話なのだろう。

そう思うと、トラップに引っ掛かることなく頑張っていただきたい、なんてふうにも思いますが、別に私は蛾は好きではないし、できれば私の近くには来ないでほしいし、まあ適度な数で生きたり死んだりしててもらえるといいかなと思います。



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