東京学芸大学 2017 E類教育支援専攻 多文化共生教育コース 小論文 模範解答

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問1
「天下りは官僚文化である」

問2
 日本の官僚制において、キャリア官僚は、同期入省者がほぼ横並びに昇進していく。しかし、事務方のトップである事務次官は一名であるから、その他の同期キャリア官僚は同様の地位を得ることができない。したがって、上位ポストに就くことができなかった者は、早期に退職することによって、省庁による斡旋を受け、それぞれ退職時の地位に応じた待遇の職位を得られる仕事先に再就職する。それゆえ、「天下りは官僚文化である」という文は、「天下り」という元々は神が天界から地上に下ること指す神道の言葉が、日本におけるこうした官僚制の構造や慣習の実態を示唆する点で、正当なものだと言える。(277字)


問3
 官僚制における「天下り」の問題点は、官民の癒着や利権の温床化などが挙げられる。したがって、法律によって、退職後2年間は原則として職務に関わる営利企業に再就職することを禁じたり、再就職後に出身省庁に対して口利きをすることに対し刑事罰を設けるなどの対応を行ってきた。さらに、天下りを含めた公務員の再就職問題の解決策として、65歳まで定年延長することが再任用で働いている職員自身から提案されている。それゆえ、天下りを官僚文化として容認しない取り組みや機運があることから、天下りは官僚文化であるという文の主張は、官僚制が抱える問題を克服しようとする人々からは否定されるべき点で、正当性を欠くと言える。
(295字)



 表から、日本にはすでに二百万人以上の在留外国人がおり、さらにベトナムやネパールなどの東南アジアからやってくる人々が大きく増えていることもわかる。それゆえ、今後、日本においても外国人と多文化共生社会を成す努力が必要だと考える。というのも、日本では少子高齢化が今後進行し、そこから生じる国内の労働者不足の問題を、外国人を招き入れることで解消しようという案もあり、外国人との共生は不可避となることが考えられるからだ。しかし、課題文から、フランスにおける「同化」政策や、イギリスにおける「多文化社会」の容認に加え、両者のいいとこ取りをしたと言われるドイツの「統合」移民政策も功を奏さなかったことがわかる。 
 それでは、日本における多文化共生社会のあり方はどうあるべきだろうか。私たちは異質な他者に対して寛容となり、異質な他者との共有点や妥協点を探りながら、共に生きる力を身につけていくことが必要だと考える。なぜなら、外国人と共に生きるためには、日本人のあり方を押しつけたり、文化的多様性を認めない事態を回避していく必要があるからだ。したがって、多文化共生について我々が自ら積極的に学ぶ必要があり、教育をとおして異質な他者と共生する方途を備えることが望ましい。そのためにも、移民政策に頼るだけではなく、隣にいる外国人と共に生きようとする意志を持ち、皆が多文化共生社会の形成に努めることが求められると考える。(596字)


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