2016 東京学芸大学 E類教育支援専攻 ソーシャルワークコース 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


課題文では、16.3%という子どもの貧困率について具体的数値を示し、日本の子どもの貧困問題について述べられている。政府による対策は、税制改革や社会保障政策の展開が目指されるものの、財源不足や具体的な目標もないためうまく機能していない。したがって、社会福祉を担う政府の役割と責任は大きい一方で、現実に今、貧困状態にある子どもを救うために、NPO法人の活動が活発化している。NPO法人の活動からは、われわれにもできるこどもの貧困対策があることが示唆されている。それでは、「貧困の連鎖」を断ち切るにはどのような対策が必要だろうか。

第一の対策として、貧困状態にある家庭におけるひとり親などの労働環境の改善が重要であると考える。なぜなら、子どもの貧困は、収入の少ない親が増えてきたことが要因だと考えるからだ。というのも、ひとり親は、子育てとの両立を図るべく、非正規雇用職を選択する傾向にある。というのも、勤務時間などに融通を利かせられる等のメリットがあるからだ。しかし、パートタイムの仕事では、いくつかの非正規雇用職を掛け持ちしても、賃金が安いため、世帯がどうにか暮らしていける収入にしかならない。その結果、子どもを育てるのには、十分な収入が得られないという問題があると考える。したがって、労働環境の改善や、企業との賃上げ交渉を行っていくことが重要だと考える。

第二の対策は、養育費の支払いの徹底が重要だと考える。課題文でも説明されているように、子どもの貧困は、ひとり親の世帯収入が少なく、親が貧困であることに起因する。また、もともといた両親がひとり親となるのは、親が亡くなる場合に加えて、親の離婚によるものも多いと考える。さらに、親の離婚において、子どもの養育費等について十分な協議や対処が行われないまま離婚が成立し、ひとり親となる場合も多数あり、養育費の不払いなども社会問題化している。それゆえ、両親が離婚する場合に、子どもの養育費について、より厳密な規定を設けることによって、ひとり親となる世帯の生活ならびに、子どもの生活や将来に経済的に不安のない体制を整える必要があると考えるからだ。そのためには、民法などの法改正や新たな法整備が必要となる。したがって、ひとり親世帯の親や子である当事者に加えて、法律の専門家、さらには実際の法整備を行う官僚や国会議員などがこの課題に向き合う必要があると考える。(991字)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?