2018年度 聖路加国際大学 看護学部 一般選抜 A方式 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


昔の日本では三世代同居型の家庭も一般的であり、両親以外に多くの大人が子どもに接し、家庭教育を担っていた。また、地域の人々とのつながりも現在よりも密接であり、人々がどの家の子どもたちも地域の子どもとして見守り、育てていた状況があった。
 さらに、子どもたちも地域の年の違う子どもと接したり、幼い子どもの世話をする経験を豊富に持つなど、子育てを支えるしくみや環境があった。しかし、現代においては都市化、核家族化、少子化に加えて、地域における地縁的なつながりの希薄化などの複合的な要因により、地域社会の人々と子どもたちとの接触が失われつつある。その結果、子どもたちに触れる機会がないため、子どもたちに対する理解や寛容さが欠ける大人が増えたといえる。したがって、現代社会において子どもたちの存在が忌避される現象が生じるのは、地域社会のあり方の変容が一因であると考える。
 それでは、子どもが忌避されることのない社会を成すためには、何が大切だろうか。子どもを産み育てることが世帯ごとの私的な営みになってしまった現代社会においては、子どもたちに対して地域社会として向き合う大人たちの取り組みが重要だと考える。というのも、大人自身が子どもたちに触れる機会を失っているからだ。したがって、近隣の子どもたちが集まる祭などの機会に、子育てをしている世帯以外の地域の大人も巻き込んで参加してもらうなど、地域社会の交流を活発化させる取り組みが必要だと考える。また、かつては「子は国の宝」と言われたように、社会全体として公的な子どもたちの地位や身分を確立する必要があるといえる。というのも、今後、我が国では少子化が進行し、子どもたちの存在は国力に直結する面もあり、ますます重要になるといえるからだ。したがって、子どもの存在が忌避されるような風潮や価値観を正し、公的な子どもたちのあり方について啓蒙する取り組みが肝要だと考える。(796字)

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