H30年度 宮城大学 一般選抜 前期日程 論説問題 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


問1(1)
表Aからは、国宝指定の美術工芸品が首都である東京にて最も保有されていることがわかる。しかし、国宝指定の建造物は、数十件単位である他県と比較して、東京や大阪などの大都市圏には多くはないことがわかる。他方で、表Bからは、国宝指定の建造物は、奈良県、京都府を中心にその大半が西日本に集中していると言える。(149字)



問1(2)
図Bから京都における国宝建造物は、元来、市街地に密集して存在していたことが分かる。さらに、資料2から明らかなように戦後の人口増加は、京都市街地の開発を余儀なくさせたことが推測できる。その結果、一時には国宝建造物の景観が損なわれた経緯はあるものの、現在は、市街地と国宝建造物の共存関係が図られている。(149字)

問2
関東大震災時の東京市域においては、地震発生直後から46時間にわたり延焼が続き、延焼箇所は77か所に及び、市域全面積の約4割に達した。加えて、火災旋風により約四万人の命がごく短時間の内に奪われた。他方で、阪神淡路大震災時の神戸市では、地震発生の当日には1万㎡を超す大規模火災は14件発生し、地震直後およそ14分間の間に60件の火災が同時多発的に発生した。しかし、地震後二日後以降は徐々に火災数は一桁台へと徐々に漸減した。以上のような被害の差異が生じた要因は、地震のあった当日の風速にある。東京市域の風速がおよそ10m/sを超えるものであったのに対して、神戸市では風速3m/s以下と比較的低風速であった。(293字)

問3
京都市には日本の国宝指定文化財が市街地の中にも集中的に存在するため、大規模地震発生時には文化財の倒壊や転倒破損に加えて、火災被害などの影響を大きく被るという問題点があると言える。この問題点を解決するにあたって、第一に文化財の管理機関に対して、文化財の倒壊や転倒防止対策に係る費用を賄い、耐震化の促進を行う必要があると考える。というのも、大規模地震発生時には、震動による文化財被害が生じることが容易に想像できるからだ。第二に、消防機関に対して、消防施設の整備や人材配置に係る財政措置の拡充を行う必要があると考える。というのも、十分な消防体制を整えることによって、火災から文化財を保護する必要があるからだ。第三に、各種専門家に対して、被災文化財を一時的に保管する場の確保や救出のための全国的なネットワークの構築を行う必要があると考える。なぜなら、救出した文化財を適切に保存、修復する必要があるからだ。(398字)


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