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マジックを演じるために知っておくべきこと(連載6)

  連載6です。今回は「独断マジック格言」解説の中編です。8個の格言と解説となります。数年前からSNSで公開していた、僕が勝手に考えたマジックに関するあれこれです。共感できるものもできないものもあると思いますが、マジックに関する何かを考え始めるきっかけになれば嬉しいです。


「演目の有効尺は不変である」
  ある演目を適切な説明と演技で表現した場合、複数のマジシャンが演じても演技時間はほぼ同じになります。全ての演目には演目としての「有効尺」があり、それらは不変であると考えます。もし短くなる場合は説明不足や緊張で速くなってしまったと考えられますし、長くなった場合はマジックとはあまり関係ない部分で観客を「楽しませた」と考えられます。ただ、本当に楽しませたなら問題はないのですが、演目と並行して行われる何かで楽しませられる人はマジシャンではない何かの方が向いている気がします。また、時間を持たせるために無理に長くする事はマジシャンの評判も観客の満足感も著しく落とす事になります。


「マジックが観客に手を出されやすいのは、数字やカードを尋ねたりスポンジやコインを握ってもらっているから。コミュニケーションが必要なのに無条件で「一方通行でお願いします」というのは無理な話なのである」
  事前にマジックを披露する事を理解してもらい、時間やルールなどを相手に承諾してもらって演じているのに、その約束を破ってしまうような極端な場合は例外ですが、マジックを見て湧き上がった感情として道具を確認したくなるのは仕方のない事です。ですが、もしその要求をうまくかわせないなら、マジシャンはコミュニケーションのラインを先に越えない構成にすべきです。コミュニケーションのラインを越えるというのは、観客全体へのセリフや呼びかけではなく、一部の観客に行動を伴う課題を依頼する事です。このラインをマジシャンが先に越えると、その観客の精神的な負担が軽くなり、他の観客や進行を気にせず声を出して質問をしたり条件を出したりする可能性が高まります。

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