見出し画像

都庁プロジェクションマッピングの経済波及効果18億円は本当か?

前置き

最初に都庁プロジェクションマッピングに対する個人的な評価を書いておきます。

「経済波及効果の根拠を明確に示してくれないと評価できない」
「おそらく費用対効果が悪く、クオリティも高くはないので、来年度は継続すべきでない」

別に中止して貧しい人たちに配分すべきとは思いません。
地方自治法に則って、最小の経費で最大の効果を挙げてほしいだけです。
ただし、現状は経費に対して効果が見合っていないのではないかと疑念を抱いています。

費用

ニュースやSNSでは経費が48億円と書かれていたりしますが、それは一連のプロジェクションマッピング事業全体で2年分の予算であり、都庁だけだと2023、2024年度で16.5億円です。

2024年度の都庁分の予算は7億円とされています。

都庁プロジェクションマッピングを見に行った感想

一応見に行きました。

1回の上映に複数作品が含まれており、2回の4つの作品を見ましたが、「まぁ、うん…」といった感想です。

この大きさのプロジェクションマッピングは都庁でしか見られないとは思いました。

作品のクオリティですが、私はクリエイティブな職業柄、制作者の方にリスペクトありますが、都庁との相性なのか投影していても都庁の壁や窓が認識できる状態で少し見づらさを感じました。

東京駅のプロジェクションマッピングをSNSで見て持った期待値を超えることはなかったです。

効果

小池都知事は経済波及効果を定例会見で述べています。

「令和5年度の予算額が7億円だったのですが、経済波及効果というのは約2.5倍の18億円というふうに申し上げているところでございます。」

実際に見に行った身からすると経済波及効果18億円という数字は信じがたいです。質問された記者の方には経済効果の内訳まで聞いてほしかったです。


導線とお金の落とし所

18億円の経済効果には都庁プロジェクションマッピングがあってもなくても落とされるお金を含めているのでは疑っています。

プロジェクションが主目的で東京に訪れた人がどれだけいるでしょうか?

私が見に行ったのは新宿御苑が主目的で、税金の使い方として話題になっていたからついでにでした。今回のクオリティであれば今後もプロジェクションマッピングを主目的に都庁に行くことはないです。

以下の記事で言及されていますが、訪日外国人観光客は展望台が定番ルートでプロジェクションマッピングのことは来てから知るようです。

もちろんゴジラ好きだったり、主目的で訪れる方も一定数いると思ますが、お金の落とし所があまりありませんでした。

都庁の広場には、フードトラックが4台あるだけと少しびっくりしました。
交通費含めても1000円使えばいい方だと思ます。

展望台は無料なので、都庁内外のレストランとお土産屋くらい。
食べたりお土産買っても平均して2000円いけば落とした方だと思ます。
ただ定番観光ルートなのでプロジェクションマッピングの影響か微妙です。

一番高いところだと京王プラザホテルの都庁側が確約された部屋がグレードによるが、安くても3万円や5万円の部屋だと思います。
それも都内の別のホテルに泊まるか都庁の前のホテルに泊まるか程度の違いでしょう。

たしかに、都庁前広場に人が来るようになった意味では「無」から「有」を生み出しているが、都内の別の場所連れてきただけに感じます。

何も観光地がなかったところに観光地を作り出すのとは別の話です。

経済波及効果の検証

一応計算する。
今年2月25日の開始以来約3カ月で20万人が訪れたとのことで、12月まで同じペースの場合、70万人程度訪れることになります。

悲観的なパターン

実際に行ってみたときの感覚的には、フードトラックで何か買うのは100人に一人くらい、プロジェクションマッピングの前後で都庁展望台に登るのは10人に一人くらいでした。都庁プロジェクションマッピングのために京王プラザホテルに泊まるのが1日3部屋あると想定したケースで

フードトラック:70万人/100 * 1000円 =  700万円
展望台:70万人/10 * 2000円 = 1億4000万円
京王プラザホテル:3部屋 * 30日 * 11ヶ月 * 5万円 = 4950万円
合計:1億9650万円

楽観的なパターン

フードトラックは10人に一人で、展望台では3000円を落とし、京王プラザホテルに毎日30部屋にわざわざ予約したケースで

フードトラック:70万人/10 * 1000円 =  7000万円
展望台:70万人/10 * 3000円 = 2億1000万円
京王プラザホテル:30部屋 * 30日 * 11ヶ月 * 5万円 = 4億9500万円
合計:7億7500万円

うーん、2桁億は厳しそうで、18億はいかないんじゃないですかね。

ホテルも都内の別のホテルからお客さんを奪っているだけの可能性もありますし。


まとめ

したがって冒頭に記載した個人的な評価になりました。

「経済波及効果の根拠を明確に示してくれないと評価できない」
「おそらく費用対効果が悪く、クオリティも高くはないので、来年度は継続すべきでない」

費用対効果だけでなく、入札の指名停止となっている電通の100%子会社である電通ライブに委託しておりモラル的にどうなんだなという議論もあります。

推測で計算している部分もあるので、経済波及効果の内訳が示されることがあればまた何か書きます。


発信の参考にするため「スキ」をいただければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?