思い出の品々 その6
天袋は発見の場
亀の歩みで進みつつある実家の整理。
前回、天袋から出て来た思い出のカバンについて書いたけれど、実はそれより前にもうひとつ中身不明の段ボール箱を見つけていた。
見つけていたというより、天袋を開けたらいきなりそこにそれはあった。
天袋の収納物は概ね丁寧に梱包されていて、表面にメモ書きがあるものは中身が想像出来るけれど、何も書いていなければ開けない限り内容不明だ。
当たり前か。
ただし、流石は我が両親。きちんと梱包して収納しているだけあって、全てに表書きはなくとも、収納エリア別にカテゴライズされている。
カバンのあったエリアには兄弟の幼少期の思い出の品が纏められていた。
手前にあったのは、「思い出のおもちゃ」と記された箱だった。(ちなみに、カバンの箱には「勉強中のカバン」と記されていた。)
しかし、「思い出のおもちゃ」と言われても何のことやら。やはり開けねば分からない。
なので開けてみた。
出て来たのは積み木とブリキのクルマたちだった。
ダンプカー、救急車、オート三輪、クラシックカーと、ブリキのクルマたちが大勢を占めていた。
それから、独楽と地球儀も入っていた。
それとは別に、箱の横には入りきらなかったのであろう大型のブリキのダンプカーが、新聞紙でくるまれた状態で仕舞われていた。
思い出はレトロ
この歳になれば、幼少期というと半世紀以上前の時代。なので「思い出の品」イコール「レトロな品」とも言える。
半世紀近く眠っていたブリキのクルマたちは、まさにレトロ玩具の風合い。美品だったり箱入りだったりすれば、皆相当な値打ちもの、かも知れない。
思わず「これはお宝発見か?!」などと思ってしまう。
けれども、残念ながら入っていた箱などは疾うの昔に処分されてしまったようだし、錆やら黴やら埃やらで相当ダメージを受けている。
美品とは到底言い難く、使用感或いは老朽感はかなりのものだ。
試しにフリマサイトを覗いてみると、同程度の年代と思しき劣化したおもちゃが展示されてはいるものの、やはり箱なしで無名メーカーのダメージ品だと「Sold」の表示は殆どない。
我が家のクルマたちも、お宝とは成り得なそうな気配だ。
念の為、売ってみようという気持ちは芽生えているけれど…。
思い出がなければ更にレトロ
レトロ繋がりということで、件の天袋ではなく別の押し入れから発見したものにも触れておきたい。
それは小型電気製品たち。
既にレコードプレイヤーやカセットデッキについては書いたけれど、ここでは主に台所関係の品々だ。
もっとも、電気コンロやホットプレートなどは、今までの人生の中で何かにつけて目にして来たものたちだから、多少古いものを発見したところで感動モノというほどではない。
けれども、電気ゆで卵器には驚いた。まるで記憶にない品だ。
製品としては、令和の時代であっても通販サイトを検索すればいろいろとヒットする。今現在でも販売されている製品だ。
ただ、押し入れから出て来たものは、最近のプラスチックボディのものとは一線を画す何とも言えない風格のある一品だ。
昭和30年代半ばの東芝製。箱付き。上蓋は開けた時に崩れ去ってしまったけれど、取説もちゃんと残っている。
コンセントにプラグを刺して試用するのには少々勇気が要る。なにせ湿気た場所で半世紀近く眠っていたのだから。
スイッチオンして火や煙でも出ようものなら、ご近所も巻き込んで大騒ぎになりかねない。
それでは洒落にならない。
なので試し茹では我慢する。
本体の風合いも良いけれど、取説もなかなかだ。挿し込まれている台所の写真からして懐かしさに溢れる高度成長期の昭和の風景だ。
思い出のない品だけれど、ただ捨ててしまうのには惜しい。だからと言って、取っておいてどうなるものでもないし。
それなりの雰囲気のある部屋だったらオブジェになるかな。
出品してみるか。
欲が出た。