見出し画像

HaritoraとVIVEトラッカーどっちがいい? ※動画差し替え、記事の一部を書き換えしました

■HaritoraからHaritoraXへ

VR界隈で、にわかに話題になっている噂のフルトラッキングデバイス「Haritora」。
個人プロジェクトとして開発・発売されていましたが、先日、株式会社Shiftallさんと共同でハードウェア開発されると発表されましたね。

性能は据え置き、価格はフルセットで3万円以下、入手もしやすくハードウェアの強度も向上、バッテリー内蔵と、素晴らしいスペックです。
細かい点、開発の経緯やスペック、詳細な使い方などは公式やレビューサイトでお調べ下さい。

また、筆者は主にCluster(https://cluster.mu/)を根城にしているのですが、Haritoraはまだ対応していないようで…早く対応してくれないかな…

2021年4月追記:Haritoraがclusterに対応しました。cluster社さん、izmさんありがとうございます!


■このnoteについて

前置きはこのくらいにして、この記事は、「結局Haritoraの精度ってどんなもんなのよ」「結局どっちがいいの?」という疑問の手助けになればいいなと思って作成しました。
もちろん、そもそも価格や動作原理の点で土俵が違うので、Haritoraは不利ではありますが、Haritoraならではの利点などもありますのでその点は後述します。

尚、筆者はそっち方面の技術には明るくなく、また、あまり設定を詰めるなどといったことをしていません。
あくまで一般ユーザーの視点ということでご容赦下さい。

■簡単な環境とか

・Haritora(初期ロット) ソフトウェアはver0.1.8
・VIVEトラッカー 3個
・ベースステーション2.0 2個
・OculusQuest無印 VirtualDesktopでPCVR無線化
・その他トラッカーやHaritora固定具
・そこそこなPC(Ryzen2700X、RTX2070S、MEM32GB)

どちらも腰トラッカーはマウンタで腹のあたりにつけています。


■とりあえず録ってみた

VRChatで直撮りしてみました。とても使いづらいカメラ…

まずはVIVEトラッカーから。

ベースステーションの位置があまり良くないので若干カクカクしていますが、6点トラッキングにも関わらず足の動きをかなり正確に捉えています。
私的にも、ほぼ違和感のない動きです。

続いてHaritora。
※追記:最初にアップロードした動画があまりにも酷かったので差し替えました。具体的にはHaritoraConfiguratorを再起動しました。

(順番は違いますが)上のVIVEトラッカーとほぼ同じ動きをしています。
正面を向いている時はいい感じですが、方向転換や移動などするとやや違和感のある動きになってしまいます。
ドリフトがあるのは仕方ないですが、膝の曲げ具合や足の開き具合など。
また、複雑な動きや早い動きも苦手です。
このあたりは、センサーの取り付け位置を工夫すれば改善出来るようですが、『ある程度の調整』ではこのくらいが限界でしょう。

↓バーチャルキャストでの様子


■癖はあるけどVIVEトラッカーには無い良い点もあるよ

ともかく、一癖も二癖もあるHaritoraですが、前述した通りメリットもあります。

まず、VIVEトラッカーはベースステーションから光(赤外線)を出して、それをセンサーが幾つもついたトラッカーが受けることで位置を測定しています。
それ故、ベースステーションから直接トラッカーが見えない体や物の影に隠れてしまうと、トラッカーを見失います。いわゆるトラッカーが飛んだ状態ですね。このため、原理的にうつ伏せなんかは不得意です。

その点、Haritoraはセンサー内部のジャイロセンサーで、つまり体に装着するセンサーのみで位置を測定しています。机の下、布団の中、うつ伏せでも、問題なくトラッキングすることが出来ます。

↓Haritoraによるバーチャル腕立て伏せ

また、VIVEトラッカーはある程度部屋が広く、物があまり無い状態ではないと上手く動作しません。
Haritoraは、机に向かって椅子に座ってようが、こたつに入ってようが(熱で壊れるかもしれないのでおすすめしませんが)トラッキング出来るということになります。

また、バーチャル世界に住んでいるような長時間フルトラッキングする人にとっては、稼働時間の面も心配でしょう。
VIVEトラッカーは、だいたい4時間くらいでバッテリーが切れます。一応モバイルバッテリーを接続しながら使用は可能ですが、取り付け位置の関係でそれぞれに小型のバッテリーをつなげるのが現実的でしょうか。
Haritoraは、各センサーがメインの腰センサーに有線で接続されています。つまり、腰センサーにさえ電力が供給されていればいいわけですが、このHaritora、驚異的に消費電力が少ないらしく、手にすっぽり収まるくらいのサイズのバッテリーでも平気で10時間以上動きます。HaritoraXは内蔵バッテリーで7時間以上らしい+モバイルバッテリーで延長可能とのこと。

これらのことから、VR空間に24時間フルトラしてるような人にとってはかなり魅力的なのではないでしょうか。

■Haritoraはやっぱり癖が強いが…

Haritora装着例は公式サイトを見てもらえばわかるのでここでは割愛しますが、それなりに手間がいります。
腰トラッカーをベルトで装着、太ももとすね用をそれぞれ装着、モバイルバッテリーを接続…(これはHaritoraXでは無くなるはず)。
取り付け位置やキャリブレーションによっては思い通りの動作にならないことも多々あります。座っても足がガバーっと開きっぱなしになったり、足が裏返ったり…
また、センサーの取り付け位置ズレは大敵です。バンドがずり落ちたらアバターの骨格が崩壊します。
そして、何もしてなくても数十分で位置ズレします。このあたりは相対位置しか取得できないジャイロセンサーの欠点といえます。

コストについては、VIVEトラッカー+ベースステーションよりは低コストとはいえ、現状はベルトやLANケーブル、モバイルバッテリー、M5StickCというハードウェアが別途必要等と、本体+1万円前後かかると思ったほうがいいでしょう。
(その点HaritoraXは3万円ぽっきりで全部入りっぽいので良いですね)

一方、Haritora専用ソフトウェア「HaritoraConfigurator」のUIや機能は簡潔でわかりやすいです。
特に、その場でVRコントローラーを下に向けて5回トリガーを引くことでキャリブレーションする機能は、使用中に何度もキャリブレーションが必要なHaritoraには必須の機能ともいえます。

そして、なんと言ってもHaritoraは、現在進行形で進化し続けています。TwitterかDiscordに報告すれば爆速で対応してくれます。機能や動作の改善アップデートがかなり頻繁にあります。
(現在、ハードウェア製造とソフトウェア開発を製作者一人で行っているため大変そうでしたが、製造が外部になるので開発は更に進むはず?)

■まとめ

少しだらだら書いてしまいましたが、まとめに入りましょう。

【VIVEトラッカーのメリット】
・正確で素早い動作を表現出来る
・トラッカーやベースステーションを追加することで更に精度向上
・大企業のサポート
・導入例が多くネットに無数に情報がある
【VIVEトラッカーのデメリット】
・コストが高い(特にベースステーションが既設ではない場合)
・環境による制約が多い
・稼働時間が比較的短い

【Haritoraのメリット】
・導入コストが比較的安い
・外部センサーに頼らない動作が可能
・狭い空間でもOK
・VIVEトラッカーでは出来ない動作が多々ある
・個人制作特有の爆速サポート、進化
【Haritoraのデメリット】
・装着、調整難度が高い
・正確な動作、素早い動作が苦手
・頻繁なキャリブレーションが必要

VIVEトラッカーは、コストはある程度かかってでも正確なトラッキングを実現したい人、ネットに情報がある前提で導入に苦労したくない人、環境がある程度整っている人に向いています。

Haritoraは、設定や装着の調整をゴリゴリして楽しめる人、ハードウェアやソフトウェアに造形が深くハックに興味がある人、フルトラ環境が狭くVIVEトラッカーを設置しにくい人、出来るだけコストを抑えたい人に向いていると思います。

■最後に

正直いうと、現在はVIVEトラッカーばかり使っています。
そもそも生息地であるclusterで対応していないのもありますが、「出来るだけ正確に動きをトラッキングしたい」「そこそこ広い空間を確保出来ている」「一回の稼働時間が現状最大4時間程度」なので、Haritoraを使う機会が少ない感じです。
とはいえ、雑談部屋でのんびりするといった時にはHaritoraも使っています。