私を叶える物語―TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第11話「もう一度、あの場所で」

 TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』も残すところあと2回。今回は第11話の感想を書いていきます。しかしほんといつもヤマ場ですねこの作品は…今回もすごかった…。

 冒頭は地区大会の結果発表から。今までのすみれであればこんな場面でもすました態度を示しそうなところですが、今回は自身がセンターを務めたからか、あるいは可可の夢が懸かっているからか、珍しくやきもきするような表情が見られました。オープニング後のクラスメイトの前でも嬉しさがにじみ出ていて、すみれは本当にかわいいですね。そして前回を経てもなんだかんだ平常運転なクゥすみたすかる。しかし恋は回を経るごとにどんどんボロボロになっていきますね…理事長に深堀りされなくてよかったね(

 というわけで今回はかのんのお話。かのんがついに自分自身と向き合う時が来ました。第3話くらいで解決みたいな感じなのかな、と思っていましたがそこはきっちり答えを出してくれましたね。
 さて、今作の楽曲の中で私が大好きな歌詞があります。

喧騒が 歌いだす
街にあふれるメロディ
こんなにもどきどきは
近くにいて背中をぎゅっと押すから
―未来予報ハレルヤ! / Liella!

 第1話挿入歌「未来予報ハレルヤ!」の2番、これほど澁谷かのんというキャクターを端的に表している歌詞はないでしょう。高校生になったかのんはどこか控えめで遠慮がちな印象も強かったですが、今回かなり強引とも言えるようなやり方で「あの頃のかのん」を取り戻そうとした、千砂都の第6話での語りがそれをよく示しています。

「かのんちゃんはいろんなことを教えてくれた。前に進む大切さだったり、新しいことを見つける楽しさだったり。」

 スクールアイドルと出会ってから、仲間の想いや夢を共に背負って立つことでここまで歌い続けてきたかのん。だからこそ置いていかれた「あの頃のかのん」の好きも怖いも含めた想いに向き合い、そして一緒に進むことができる―。かのんの「私を叶える物語」はここに結実したのです。
 そこから歌い始める「私のSymphony」はズルいでしょうよ。正直なところ今回この曲を挿入歌として入れることは想定内だったのですが、この流れはズルいって。この話に入れるための楽曲と言わんばかりに歌詞が完全に物語の通りで、まあここまで化けるとは…。それからエンディング曲をさも挿入歌のように扱うんじゃない。そりゃ第9話で全員版にならんわけだ…入れるならここしかないですね。

 しかしLiella!の名前が決まる第9話で「みんなで叶える物語盤」に収録されていた「Dreaming Energy」、そしてかのんが本当の自分を叶える第11話で「私を叶える物語盤」に収録されていた「私のSymphony」って…完全にここまで織り込んだ展開だったんですね。ラブライブ!シリーズ永遠のテーマである「みんなで叶える物語」から新たに打ち出された「私を叶える物語」。一般公募オーディションのこともありキャスト観点の話なのかと思っていましたが、2次元と3次元を巻き込む展開が特徴のラブライブ!シリーズがそれで済ませることはありませんでした。今作の構造を振り返ると、第1話・第11話がかのん、第2話・第3話が可可、第4話・第10話がすみれ、第5話・第6話が千砂都、第7話・第8話が恋とそれぞれの「私を叶える物語」がありました。そして第9話と次回の第12話はタイトルからも分かるように「みんなで叶える物語」。2つの大命題が混在するこの物語を、よくもここまで美しく仕上げてきたなと感心するばかりです。
 というわけで次が第12話、ついに今シーズンのラストの話です。(放送休止を抜きにして)話のあまりの充実っぷりにものすごい長さだと感じてしまいました。東京大会の課題は「独唱」。CD展開的にあと1曲挿入歌が別にあるとは思うのですが、ついに個人的シリーズ最強である”あの楽曲”が来てしまうのでしょうか。心して放送を迎えようと思います。


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