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親愛なる平安名すみれ様へ。

 2020年1月19日、新プロジェクトが始まるという発表をさいたまスーパーアリーナで聞き、それ以来『ラブライブ!スーパースター!!』、そしてLiella!とは3年半ほどの付き合いになっています。長いような、短いような、そんな不思議な気分ですね。

 それからしばらくして1期生5人と出会って、そしてその日はやって来ました。忘れもしない、2021年1月30日。Liella!が初めて生放送を行った日。デビュー楽曲「始まりは君の空」の試聴動画が公開された日。そして、私が他ならぬ貴女に惹かれ始めた日。

 この時はまだ、貴女がどのような道を歩んできたのかは全く知らなかったけれど、自身には当たらないスポットライトから悲しげに目を逸らす幼き日の貴女を見て、なぜだろう、貴女のことを無性に知りたいと―まだその気持ちにはっきりとは気がついていなかったけれど―思ったのです。

 2021年7月11日、結ヶ丘女子高等学校で貴女が過ごす日々を追い始めましたが、それは容易なことではありませんでした。誰よりも素直じゃない貴女は、滅多に本心を出さないから。

「素直じゃないわね。」

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』1期第8話「結ばれる想い」

 そうして悩みながら貴女に向き合った分だけ、新たに迎える仲間にかけたこの言葉で笑ってもしまいます。でも、自身のことを棚に上げたこの言葉もまた、貴女らしさなのかもしれませんね。

「勝たなきゃいけないんでしょ!? あんた…絶対勝たなきゃいけないんでしょ…?」

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』1期第10話「チェケラッ!!」

 きっと音楽科にも手が届かず(これは私の推測ですが)、生徒会選挙でも選ばれず、そしてセンターとしても認められることはなくて。そうやって自信を失い続けてもなお、素直になれず仲間と交わした契約を守り抜こうとして、追い詰められて叫んだこの言葉。
 ようやく貴女の本心を知ることができて、私は本当に嬉しかったのです。自身の適切な立ち位置を見極め、誰よりも冷静に正解を探し、見つけた正しさを貫き通し、そのためには自身の本心を隠してしまう。それはすごく寂しい割り切り方のように見えてしまうかもしれない。
 でも本当は、たくさんの想いと情熱があって、人には見せずとも努力を重ね続けていて、掴みかけた光も手放してしまうほどに仲間のことを気にかけて守ろうとしていて。そんな貴女の姿は、私にとっての憧れになりました。

 そして同時に、貴女が人生で背負ってきたものの大きさを、重さを、全て受け止めることはとてもとても辛くて。これほどまでに、一瞬で心を抉られたのは初めてだったと思います。

 そこから今に至るまでの私は、憧れる貴女の想いを全て受け取めようと、必死に貴女の物語を辿ってきました。貴女のこれまでの人生を想像し、貴女の振る舞いについて考え、貴女と同じ世界を見るために感情移入をしたのです。

「いいえ、今回のことで分かった。私はさ、そういう星のもとに生まれているの。どんなに頑張っても、真ん中で輝くことはできない。」

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』1期第4話「街角ギャラクシー☆彡」

 どんなに頑張っても認められない苦しさも、

「もう!何なのよったら何なのよ!」

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』1期第12話「Song for All」

 みんなの期待に応えられなかった悔しさも、

「みんなでステージに立っているんでしょ。誰のせいとか、誰のおかげとかじゃない。みんなで作り上げるものでしょ、スクールアイドルって。」

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』2期第3話「優勝候補」

 みんなで作り上げるステージだからこそ、自身の責任をも強く感じていたことも、

「あんた、プロデュースとかなんとか言いながら、私たちを利用してお金儲けしようとしてるんじゃないの?」

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』2期第5話「マニーは天下の回りもの」

 自らの経験と知識を駆使して、Liella!と仲間を守り導こうとずっと必死だったことも、

「ありがとう、可可。」

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』1期第10話「チェケラッ!!」

 ライバルに囲まれた世界でずっと一人で戦い続けてきた先に、心から繋がる仲間ができた喜びも。

 憧れている貴女の想いを受け取りたくて、憧れている貴女が見ている世界を見たくて、憧れている貴女の全てを知りたくて。そうして見えてきた貴女は、とにかく不器用で、素直じゃなくて、気持ちを外に出せなくて。でも本当は感情が豊かで、人に見せずとも努力家で、本当に仲間が大好きで、そして誰よりも仲間のために頑張っていて。

「私はね、ショウビジネスの世界に返り咲きたいの。ここで結果を出して、目立って目立って目立ちまくって、あの世界に舞い戻らないと行けないの!だから、こんなところで負けてなんかいられない。」
「…本気で言ってるの?」
「…。」
「ねえ答えて!」
「本気よ…。」

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』2期第9話「勝利のために」

 そんな貴女―大切な仲間の夢を守るために、全てを一人で抱え込んでしまう貴女の気持ちに近づけたからこそ、貴女の心に刺さる棘の鋭さと痛みを感じ、こんなにも苦しかったことはないというほど、胸が張り裂けてしまいそうなほど心が痛み、感情が押し潰されてしまいそうになってしまって。
 それでも、貴女と同じ気持ちでいることを諦めたくはなかった。貴女が抱える痛みから逃げ出してはいけなかった。それが憧れる貴女の想いを、貴女の人生を理解するということだから。憧れるのならば貴女の全てを、青春の痛みまでも背負っていたかったから。

「本当に、すみれは余計なことばっかりするのですね。可可の嫌がることばかり…。可可が決めたことに反対ばっかりして、可可が言うことにいつもいつも口を挟んできて…。」
「うるさい!うるさい!うるさ…!」
「本当…大嫌いデス…。」
「うっ、うぅっ…。」
「大嫌いで…大好きデス。」

TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』2期第9話「勝利のために」

 深く暗く寒く息苦しい海の底で、大切な仲間のことを想いながらもずっと一人で彷徨っていた貴女に、ようやく差した陽の光。スポットライトとは違う、きっと貴女が心の底から求めていた太陽の温もり。仲間を守ろうと必死だった貴女の想いが報われた瞬間、私もまた救われた想いでいました。

無邪気な君 負けない君
近くで見てきたから分かるよ
(Starry Heavens)
そんな寂しい顔で笑わないでもう
イジワルな未来なんて消してあげる

Starry Prayer / 平安名すみれ(CV.ペイトン尚未)

 貴女が守ろうとしてきた大切な仲間は、どこか貴女に似ています。幼き日、スポットライトに憧れ、純粋に夢を抱いていた笑顔の貴女に。そして、夢破れ続けることの苦しさを誰よりも知っていたからこそ、大切な仲間に同じ思いをさせたくなかったのですよね。あの時守れなかった夢と笑顔を、成長し強くなった今なら守れるのではないか―いや、絶対に守らなければいけないと。
 そうして貴女が手にしたものは、幼き日に夢見たものとは少し違っているのかもしれません。でもそれは―笑顔の仲間が隣にいてくれることは、これまで必死に駆け抜けてきた貴女だからこそ手に入れることができた、何よりも大切な宝物。その温もりと幸福を私も感じ、貴女がこの世界で幸せになれてよかったと、心から思っています。

もっとね 笑顔でいて欲しいから
はるか遠く目指すんだ
聴こえてくるよ さあ かけ出そう
手をつないで未来へ

未来の音が聴こえる / Liella!

 そして貴女は、Liella!の仲間と一緒に、もっと笑顔でいられる未来を約束してくれました。この先の未来に何が待っているのか、それはまだ誰も分からないけれど、これまで向き合い続けてきた貴女の約束ならば、きっと大丈夫だと信じられるのです。大切な仲間の夢を、そして自分自身の夢を掴むために、誰よりも努力してきた貴女が約束してくれたのですから。


 出会った時には結ヶ丘に入学したばかりだった貴女が、気がつけば3年生になりましたね。これからの1年は、貴女にとって結ヶ丘の地で過ごす最後の1年。そこにどんな物語が待ち受けているのか、そしてどんな未来に辿り着くのか。もしかしたら、これまでの2年間とは比べ物にならないくらい、向き合うのが大変な1年かもしれません。

 でも、この1年がどんなに大変なものだとしても、貴女にとってかけがえのない結ヶ丘での青春を、最後まで一緒に駆け抜けたい。貴女のことを全部知りたい。貴女の人生を想っていたい。

 悲しみも、
 苦しみも、
 痛みも、
 楽しみも、
 喜びも、
 幸せも。
 貴女の感情のどれひとつからも逃げずに向き合っていたい。

 それがどれだけ険しいことだとしても、最後の1年を貴女と一緒に駆け抜ける覚悟はできています。憧れている貴女に追いつくために、私ができる唯一のことだから。

 親愛なる平安名すみれ様。これからも、この結ヶ丘での青春を貴女とともに。貴女が駆け抜ける青春と、貴女に訪れる未来が幸せなものでありますように。

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